公害の経験を風化させない、四日市で公害犠牲者の合同慰霊祭
四日市公害犠牲者の合同慰霊祭が9月7日、三重県四日市市の市営北大谷霊園内の慰霊碑前で行われた。昨年を上回る約100人が参列し、犠牲者への哀悼の意を表し、公害を教訓として、よりより環境をつくっていくことを誓った。
合同慰霊祭は2014年から「四日市公害患者と家族の会」(谷田輝子代表)と四日市市が共催して開いており、今回で42回目。最初に参加者全員で黙とうし、谷田代表が合祀者名簿を慰霊碑の前に捧げた。公害認定患者で9歳の若さで亡くなった谷田さんの娘の尚子さんと中部西小学校時代にクラスメートだった福井茂人さん(61)が花束を供えた。
森智広市長は追悼の言葉で、「四日市の環境は改善されたが、過去にあった苦しみを忘れてはいけない。歴史を風化させないよう、胸に刻んで参ります」などと話した。3年連続で参列した一見勝之知事は、亡くなった尚子さんとは同学年だといい、来賓あいさつで「子ども心に、四日市公害は他人事とは思えない体験をした。この悲劇を繰り返さないよう、固くお誓いします」などと話した。
追悼の言葉を読み上げる森智広市長
このあと参列者が1人ずつ慰霊碑前に献花をした。谷田さんは式の締めくくりのお礼の言葉で、心臓の病気で入院生活を送った近況を話し、「とても胸が痛かったが、尚子はもっと苦しかったのでしょう。当時を知る人も少なくなりましたが、私も頑張れるだけ頑張りますから、みなさんも、忘れずに、よろしくお願いします」などと話した。
市によると、この1年間に公害認定患者で亡くなったのは8人で、このうち6人を合祀者名簿に加えた。合祀者の数は1119人になり、生存している認定患者は277人になったという。
お礼の言葉を述べる四日市公害患者と家族の会の谷田輝子代表