GW後半は流れ星が見られるかも【みずがめ座η 流星群2025】エータって何?いつ・どこを見るといい? 博物館学芸員が解説
みずがめ座流星群がゴールデンウィークに見ごろを迎えます。
この時期、キャンプ場やコテージで過ごす人も多いでしょう。そうでなくても、連休中は少しぐらいの夜更かしは大丈夫!
たまには広い夜空を眺めて、流れ星を探してみるのもいいのでは?
富山市科学博物館 天文担当の学芸員さんに、見どころや流れ星観察のポイントを教えてもらいました。
そもそも流れ星ってなぁに?
流れ星って、絵本や映画などではよく見ますが、どんなものか知っていますか?
よく知っているという人は、飛ばして読んでくださいね。
流れ星は「星」じゃない
実は、流れ星は、いわゆる「星」ではありません。
宇宙空間にただよう砂のような小さい粒(固体粒子/流星物質)がもとで、そのなかには、ほうき星(彗星)が残したチリ(固体粒子)がもとになっている流れ星もあります。
その小さな粒が地球に近づいて地球の大気と衝突すると、高温になって光を放ちます(プラズマ発光)。この発行が、私たちが流れ星として見ている正体です。
粒の大きさは、直径わずか1mmから大きくても数cm。とっても小さいのに、きらっと輝いて見えるんですね。
流星群ってなに?
では、多くの流れ星を見ることができる流星群とは、いったい何なんでしょうか?
地球が太陽の周りを回っている道(公転軌道)と、小さなチリをまき散らしていくほうき星(彗星)の通り道が交わる時、たくさんの流れ星を見ることができます。これが流星群とよばれているものです。
地球が彗星の軌道を横切る日時は毎年ほぼ決まっているので、特定の時期に特定の流星群が出現するというわけ。
おもな11の流星群と3大流星群
国立天文台がおもな流星群として挙げているのは、次の11の流星群です。
しぶんぎ座流星群(12月28日~1月12日)こと座流星群(4月14日~4月30日)みずがめ座η(エータ)流星群(4月19日~5月28日)みずがめ座δ(デルタ)流星群(7月12日~8月23日)ペルセウス座流星群(7月17日~8月24日)りゅう座流星群(10月6日~10月10日)オリオン座流星群(10月2日~11月7日)おうし座南流星群(9月20日~11月20日)おうし座北流星群(10月20日~12月10日)しし座流星群(11月6日~11月30日)ふたご座流星群(12月4日~12月20日)
このうち、安定的に多くの流れ星をみることができる3大流星群は・・・
しぶんぎ座流星群ペルセウス座流星群ふたご座流星群
それぞれ1時間あたりに、しぶんぎ座流星群は30個、ペルセウス座流星群は40個、ふたご座流星群は60個程度の流れ星が見られると言われています。
(※月明かりや街の灯りの影響を受けないなど条件が整った際に見える数です)
5月上旬にピーク! みずがめ座η(エータ)流星群
みずがめ座ってどんな星座?
星占いなどで知られる12星座は、太陽が天球上を移動する際に通過する12の星座(黄道12星座)を用いたものです。
おひつじ座、おうし座、ふたご座、かに座、しし座、おとめ座、てんびん座、さそり座、いて座、やぎ座、みずがめ座、うお座。
みずがめ座は黄道12星座の第11番目の星座です。
ギリシア神話では、大神ゼウスが愛娘のヘーベの代わりとしてさらった美少年ガニメーデスがかつぐ水瓶とされています。
秋の宵空で見やすい星座ですが、目印となるような明るい星がないので探すのが少し大変。秋の四辺形と、南に位置するうお座の1等星フォーマルハウトの間を探すと見つけやすいですよ。
みずがめ座η(エータ)流星群の”エータ”って どういう意味?
実は「みずがめ座」と名のつく流星群は、「みずがめ座η(エータ)星」のほかに、7月末にピークを迎える「みずがめ座δ(デルタ)流星群」があります。
このηやδは星につける符号です。
星の呼び方のひとつに「バイエル符号」というものがあり、星座名の後ろにギリシャ文字をつけて「○○座α(アルファ)星、β(ベータ)星、γ(ガンマ)星…」などとよびます。
みずがめ座流星群は、放射点(流星が、そこから放射状に出現するように見える点)が「η星」付近か、「δ星」付近かで区別しているのです。
流星のピークは 5/6 見ごろは夜明け前
みずがめ座η流星群の一般的な出現時期は、4月19日~5月28日にかけてです。
流星群自体が最も活発になるのは、2025年は5月6日の昼12:00ごろ。
日本では昼の明るい時間帯なので観察できませんが、活発な時期は比較的長く続くため、6日と7日の夜明け前が見ごろになりそうです。
実際に見える流星の数は、空の暗い場所で1時間あたり5個から10個程度と予想されます。また、この半分くらいの流星が流れる期間は長く、5月3日から9日ごろまで続きます。
3大流星群に比べると数は少ないですが、せっかくの連休、チャンスがあるんだからチャレンジしてみてもいいかもしれませんね。
どっちの方向を見ればいい?
みずがめ座は、5月6日午前3時半ごろには、東から南東の空低くに見えます。
流星は、放射点を中心に放射状に出現します。ただし、放射点付近だけでなく、空全体に現れます。方角は関係ないので、なるべく空の広い範囲を見渡すようにしてください。
また、屋外の暗さに目が慣れるまで時間がかかるので、最低でも15分ほどは観察を続けるとよいでしょう。まちの灯りや月明かりがあると観察しづらいので、それらの光が邪魔しない方向を見るのがオススメです。
ちなみに、日本では未明から明け方の限られた時間にしか見られませんが、南半球では放射点が高くなるため、活発な流星群として知られています。
GWに南半球に旅行する人は注目してくださいね。
ハレー彗星が母天体
流星群の元となるチリを放出した天体を「母天体」と言います。多くの場合、彗星ですが、母天体が小惑星である流星群もあります。 みずがめ座η流星群の母天体はハレー彗星で、10月のオリオン座流星群と同じです。
観察に必要なものは?
みずがめ座η流星群は、流れ星の数は少ないので観測しづらいですが、望遠鏡や双眼鏡などの特別な道具は必要ありません。肉眼で十分に観察できます。
ただし、あると便利なのは、星座早見盤。
流れ星を観察する合間に、星座や星を調べることで学びや発見も広がります。
みずがめ座の近くには金星が明るく輝いています。
また、この時期は宵空から夜中にかけては、うしかい座のアークトゥルス、おとめ座のスピカ、しし座のデネボラを結んでできる「春の大三角」や、北斗七星の柄の部分からアークトゥルス、スピカを結んでできる「春の大曲線」を見つけることができます。流れ星を待ちながら、空に輝く星々をじっくり観察するのもよいですね。
暗い場所で観察することになるので、車に気をつけるなどくれぐれも安全の確保と、他人の迷惑にならない場所を選ぶようにしてください。
富山市科学博物館では寝転んで楽しめるプラネタリウムがありますし、1年を通して「星空観察会」も実施しています。
天文に興味を持ったら、ぜひ富山市科学博物館に足を運んでみてくださいね。
【富山市科学博物館】
住所 富山県富山市西中野町1丁目8-31
営業時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)