あなたの水槽は大丈夫? 魚がたくさんいる水槽はキレイだけど……<過密水槽>に要注意
「過密水槽」とは、水槽の容量に対して魚の数が多すぎる状態のこと。見栄えは良いかもしれませんが、水槽内の環境や飼育している魚たちに悪影響を及ぼします。
過密水槽はなぜ良くないのか?
過密水槽が引き起こす悪影響と、過密水槽を避けるための対策についてまとめました。
魚にとって過密水槽は混雑状態
過密水槽では、魚がストレスを感じ、酸欠や病気、死亡リスクが高くなります。特に、初心者が買う水槽セットには小型のものが多く、水量が少ないため水質悪化が早いです。
そうした環境において、特に魚が多いと、ろ過が追いつかず有害物質が蓄積しやすいです。また、水槽内には酸素が溶け込んでおり、魚たちはその酸素を利用して呼吸をしているのですから、当然魚が多すぎると酸欠を引き起こす原因にもなります。
水が臭う、コケや濁りが出る……など水槽自体の見た目にも影響しますし、そういった状態はもちろん魚の健康を害します。
また魚の数が多すぎると、エサを十分に食べられない魚や他の魚に追いかけられて弱る魚、ケガをする魚もでてきます。
私自身もアクアリウム初心者の頃に、30センチ水槽に金魚やグッピーを多く入れて失敗しました。水はすぐ濁り、臭いもきつく、コケもひどくて数日おきの掃除が必要でした。
さらに、魚たちも酸欠のせいか、いつも水面ぎりぎりで泳いで苦しそうにしていました。
過密水槽にならないための対策
過密水槽は避けてあげると、魚たちも気持ちよく過ごせるでしょう。では、実際にどのような対策が有効なのでしょうか。
まず、なるべく大きめの水槽を用意すること。そして、上部フィルターなど濾過力の高い機器を選びましょう。
水槽を買い換えるまでは頻繫に水替えをして、少しでも水中の有害物質を減らすという手もあります。また、バクテリアが定着すると有害物質の分解にも一役買ってくれるので、バクテリア液を利用することも視野に入れましょう。
水槽の大きさは、魚の体長1センチにつき水1リットルが目安。飼育している間に成長する魚も少なくないため、将来のサイズを見越した飼育数を考えることが大切です。
水量や適正数に不安がある場合は、ペット用品メーカーの株式会社ジェックスが提供している、水槽計算サイト「おさかな飼育ガイド」が便利です。
魚が元気にすごせる水槽を目指してみよう
一見綺麗に見える過密水槽ですが、魚たちにとっては過酷な環境になりかねません。
飼育している私たちが水槽の環境、適切な飼育数をしっかり見直すことで、魚たちが元気に過ごせる環境を整えることができます。
大きな水槽や高い設備は必要ありません。小さな金魚鉢からでも、正しい知識と工夫次第で快適なアクアリウムは作れます。
ぜひあなたも無理のない飼育を心がけて、長く楽しめるアクアリウムライフを目指しましょう。
(サカナトライター:美琉)
参考文献
吉田恵史郎、金子豊二(2022)、キンギョ Carassius auratus を用いた観賞魚を健全に飼育できる最大許容密度の推定
松沢陽士、岡本信明(2023)、原寸大金魚館、小学館