<母、施設はイヤ!>70代の母「バカにしないで!」頑なに施設を拒否⇒父の負担が心配【まんが】
私は40代のトモエ。中学生の子ども2人と夫との4人暮らしです。うちの近くに実家があり、70代の両親が2人で暮らしています。2ヶ月前、72歳の母が足を骨折して、しばらく入院しました。先日やっと退院したのですが、母は歩行時の不自由さが残ったうえ、認知機能まで低下し、介護が必要な状態となってしまいました。高齢の父が1人で母の介護をするのは大変だと思った私は人の手を借りることを提案しますが、母は頑なに拒否します。
近い将来、両親の介護が必要だとは思っていました。しかし母の骨折をキッカケに、介護が想定よりも早まってしまったのです。母の骨折は治り、リハビリも受けましたが、立ち上がるときも歩行時も手すりや人の支えが必要です。しかも認知機能の低下も認められたため、要介護認定を受けました。
父が母に「デイサービス行ってみないか?」と提案したそうですが、母は「施設」という言葉を聞くだけで、激怒して話にならないのだとか。同世代だとまだ元気な人も多いだろうし、母のプライドや抵抗があるのかもしれません。「何度も話そうとしたけど、俺も母さんもこの話題になるとストレスが溜まるだけだから、もうあきらめたんだよ」と話す父。
母は入院以来、環境の変化やストレスにめっきり弱くなってしまいました。興奮したり混乱したりしやすい状態です。 元気な頃のように物事を判断するのは難しいので、「デイサービスに行くことになっているから」となかば強制的に施設に通うことになるかもしれないとも思いました。でもそうしたら母は恐怖を感じて混乱してしまいそうです。 だからこそ施設に通うなら、できるだけ母も納得した状況で、穏便に施設へ通ってほしいのです。
おだやかな表情で話す母「忘れていた……」寄り添う姿勢と思いやり
母のデイサービスの件は平行線のままです。私が実家に様子を見に行くと、疲れた様子の父がソファで休んでいました。やっぱりこんな生活、父のためにも長く続けられないなと感じました。
母は退院してからめっきりストレスに弱くなってしまい、情緒が安定しづらい状況です。それゆえ、父も母とのやりとりには、かなり気を遣っているようなのです。それに、父は疲れきって、介護について考えたり話したりするのさえ億劫なようです。父はガマン強い反面、頑固なので、父は父で問題だと思いました。
さっきはつい私もカッとなってしまいました。しかし、しばらくして母が少し落ち着き、「子どもたちは元気なの? 仕事の調子はどう?」なんて……なにごともなかったかのように、優しい表情で話しはじめました。
私は、ひさびさにかつての母を見た気がして嬉しくなりました。
父の介護負担を減らしたいのは本心ですが、私自身がダブル介護を避けるためにも、母の施設への通所もしくは入居はマストだと思い続けていました。今もその気持ちは変わりませんが、もう少し母の気持ちに寄り添う必要がありそうです。 物理的な介護は、極端な話、誰にでもできる内容です。認知機能が低下しているから、母は話がわからないかもしれないと思うこともありました。 でも母の気持ちを汲んであげるのは、私が娘として母にしてあげられる大切なことなのかもしれません。
突然の宣言にビックリ「ワタシ通うわ~!」成功のキッカケは一体?
父は甲斐甲斐しく母のために世話を焼いていましたが、父自身も母と離れる時間や休む時間が必要だと感じはじめている気がしました。
母に通う気がないからと、施設の件を放置していましたが、父の様子から、施設探しを再開することなりました。複数の施設を実際に見学してみると、それぞれ施設で、年齢層や雰囲気がだいぶ違うことを知りました。そのなかでも、リハビリに力をいれている良さそうな施設を見つけました。アクティビティの種類も多く、楽しそうな施設でした。
母の抵抗をなくすため、「介護サービス」「介護施設」などとは言わずに声をかけてみました。
すると「トレーニングならいいかもね」と、母からは前向きな反応が!
施設の見学にはいったものの、母はまたゴネるかもしれないと思っていたので「私、あそこなら通う!」という母の言葉には驚きました。
母は、かつて仲良くしていたお友だちに声をかけられ、意外なほどすんなりと施設通いを決めます。久しぶりに、友だちとおしゃべりできたのも気分転換ができて楽しかったのかもしれません。
母が施設に通い始めたおかげで、父も以前のように趣味の時間や友人と過ごす時間ができ、笑顔が戻っています。自分の時間ができたことで心の余裕もできたのか、父は母との会話も楽しんでいるようです。 そんな父をみて、自分の時間を作り自分を大切にすることで相手のことも大切にできるのだとあらためて感じます。 今回の母の介護の一件で、家族といえども「配慮と尊重」は欠かせないし、「自分を大切にする重要性」も強く感じ、子育ても似たところがあるなと深く考えさせられました。