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「いつもの手法だが…」、「1次産業への思いは本音」 川勝知事の不適切発言に地元記者の見解

Shizuoka

県議会6月定例会で辞職する意向を示した川勝知事
県議会6月定例会で辞職する意向を示した川勝知事

■新規採用職員に訓示 内容報道後に県民から苦情殺到

静岡県の川勝平太知事の辞職表明は県民を驚かせた。突然の表明から3日経った今も、地元メディアの報道は川勝知事関連が中心となっている。川勝知事を取材してきた記者からは、あきらめや同情の声も出ている。

川勝知事は1日、新規採用職員に訓示した。その中で特定の職業を差別する発言があったと批判され、訓示の翌日に突如、辞職する意向を示した。不適切な発言と指摘されたのは、以下の内容だ。

「県庁というのは別の言葉で言うとシンクタンクです。毎日毎日野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたり、あるいはモノをつくったりとは違って、基本的に皆さんは頭脳、知性が高い方たちです」

この内容が報じられると、県民から県庁に苦情が殺到。その数は3日夕方時点で1700件を超えている。そして、職業差別と批判された発言がきっかけで、川勝知事は辞職を表明するに至った。

■「第一次産業は最も大事にしてきた」 発言を謝罪も撤回なし

川勝知事は辞職を表明した翌日の3日に記者会見を開いた。訓示の内容について次のように語っている。

「特に第一次産業、農業、酪農、あるいは水産業は最も大事にしてきた産業でありまして、そういう方々の心を傷つけたのだとしたら誠に申し訳なく、心からお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした」

「不十分な言葉遣いによって人の心を傷つけた。これはやはり大きい。傷つけたことには私の心も傷ついているので申し訳ないと思っています」

「不適切だとは思っていなかった。しかし、その一部だけを取れば差別発言とも取られかねないところがあるのは確かにその通り」

■誰かを引き合いにして褒める「川勝知事のいつもの手法」

発言を謝罪した一方、撤回はしなかった川勝知事。取材してきた地元メディアの記者は、今回の発言をどのように捉えたのか。こう話す。

「目の前の相手を励ましたり褒めたりする際に、誰かを引き合いにするのは川勝知事の手法です。リップサービスのつもりなのでしょうが、結果的に誰かをけなしてしまうケースは少なくありません。今回の訓示では新しく入ってきた県職員を激励する意図があったと思います。ただ、農業や水産業に携わっている方々が聞いたら気分が良い内容ではありません。これまで何度となく見てきた手法でしたが、今回の表現は度を越していました」

過去に不適切と指摘された発言も相手を称えるために、もう一方をおとしめるケースがあった。最近では、磐田市に本拠地を置く女子サッカークラブ「静岡SSUボニータ」が表敬訪問で訪れた際、「磐田は文化が高い。浜松より元々高かった」と発言した。

川勝知事は2021年、参院静岡選挙区補欠選挙に立候補した浜松市出身の候補者を応援する演説で「あちらはコシヒカリしかない。飯だけ食って、それで農業だと思っている」、「あちらは観光しかない」と訴えた。「あちら」とは御殿場市長を務めた別の候補者を指したと捉えられ、物議を醸している。今回の訓示と同じように、相手を褒める時に比較対象を用いたことで批判される事態となっている。

■第一次産業への発言「知事に同情する気持ちもある」

地元メディアの記者は、川勝知事の相次ぐ不適切な発言を問題視する。ただ、訓示の内容が「農業や水産業に対する職業差別」と批判されていることに対して、「川勝知事に同情する気持ちもある」と話す。

「これまでの川勝知事の発言や取り組みを見ている記者であれば、第一次産業に思い入れがあり、大事にしてきたことは分かるはずです。県職員は農業や水産業とは業務内容が違うと表現したかったのだと思います。もちろん、表現の仕方には問題がありましたが、第一次産業に従事する人たちを蔑むつもりはなかったと感じています」

川勝知事は県議会6月定例会の開会日に辞職する意向を示している。表明通りに辞職となれば、2025年に予定されていた県知事選挙は1年前倒しとなる。

(SHIZUOKA Life編集部)

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