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【青春18きっぷおすすめ旅】岡山発2泊3日、予土線3兄弟に乗って四万十人情旅(予土線・予讃線ほか)

さんたつ

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日本最後の清流と謳われる四万十川(しまんとがわ)。その流域を走る予土(よど)線は沿線の人々の暮らしを支えつつ、ラッピング列車などアミューズメント要素もある、地元にも鉄道ファンにも愛されるローカル線だ。そこには美しい日本の原風景と、温かい人々との出会いがあった。

「岡山発2泊3日、予土線3兄弟に乗って四万十人情旅」のルートはこちら!

【1日目】
岡山駅→瀬戸大橋線・予讃線→宇和島駅(泊)
【2日目】
宇和島駅→予土線・土讃線→高知駅(泊)
【3日目】
高知駅→土讃線・予讃線・瀬戸大橋線→岡山駅

「予土線3兄弟」って知ってる?

長男/しまんトロッコ

四万十川に映える山吹色のボディが特徴。トロッコ車両とそれを牽引する専用気動車の2両編成( 写真=マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ)。

次男/海洋堂ホビートレイン かっぱうようよ号

「かっぱの世界」がコンセプト。車内には、かっぱの親子の間に座って写真が撮れるコーナーが!

三男/鉄道ホビートレイン

初代新幹線0系デザインのワンマン列車が山里を走る姿は、なんともいえない愛らしさ。車内には鉄道模型の展示も。

【1日目】岡山駅→宇和島駅 利用者数3億人を突破した瀬戸大橋線で、いざ四国へ!

快速「マリンライナー」で瀬戸大橋を渡り、岡山から四国に突入(写真=レイルマンフォトオフィス)。

2024年3月1日に全線開通50周年を迎えた、愛媛の宇和島市と高知の四万十町の約76㎞を結ぶ予土線。今回は「予土線3兄弟」をコンプリートする旅へ出た。

1日目のハイライトは、愛媛を南下する途中にある下灘(しもなだ)駅。青春18きっぷのポスターでおなじみの場所だ。下に国道が開通するまでは日本で一番海に近い駅だっただけあって、穏やかな瀬戸内海を眼下に望む素晴らしいロケーション。この日も多くの観光客が訪れていた。

【松山駅】ロングセラー駅弁を手に入れよう!

『kiosk松山銘品館』で購入できる「松山名物醤油めし」880円 (写真奥)と「松山名物醤油めしと真鯛あなごの弁当」1180円。いずれも事前予約が確実。
「松山で長年愛された名物駅弁・醤油めしを旅のおともにどうぞ」と、『kiosk松山銘品館』の長船愛弓さん。

【下灘駅】『下灘珈琲』海と空と、淹(い)れたてのコーヒー

アイスコーヒー500円。愛媛県産みかんジュース550円は、3種類の柑橘(かんきつ)の中から選べる。
ころんとかわいいキ ッチンカーが目印。

下灘駅の向かいにあるコーヒースタンド。注文を受けてからハンドドリップで淹れるコーヒーやカフェオレのほか、愛媛県産みかんジュース、レモンスカッシュ、ハーブティーなどがそろう。夏期限定のアイスクリーム500円もおすすめ。

☎089-992-1755
14:30~日没(土・日・祝は11:00~日没)、悪天候時休
愛媛県伊予市双海町大久保39-1
JR予讃線下灘駅下車すぐ

下灘駅ホームにやってきた「すまいるえきちゃん号」。

【宇和島駅】『ほづみ亭』郷土料理の宇和島鯛めしに舌鼓

宇和島鯛めし御膳3300円は、おからを使った丸ずしや野菜じゃこ天、ふかの湯ざらしといった郷土料理に天ぷらなどが付く。
甘じょっぱいタレも美味な太刀魚(たちうお)竹巻き1400円。
代表の石丸敏光さん。「南予地域の郷土料理づくしをお楽しみください!」。

そのむかし、海賊たちが船の上で食べたのが起源とされる宇和島鯛めし。ご飯に新鮮なタイの刺身をのせて、卵を溶いた出汁でいただく。ほづみ亭の鯛めしは出汁のおいしさに定評があり、鮮度のよい刺身との相性は申し分なし。

☎0895-22-0041
11:00~13:20LO・17:00~21:00LO、日(連休の場合は最終日)休
愛媛県宇和島市新町2-3-8
JR予讃線宇和島駅から徒歩5分

【2・3日目】宇和島駅→高知駅、高知駅→岡山駅 予土線3兄弟コンプリートを目指す

星空の街・西土佐ならではの天の川や四万十川などポップアートで彩られた、江川崎駅の構内。
若井駅から徒歩5分のところにある田園風景を抜けて辿り着く若井沈下橋は、地元のシンボル的存在。

2日目、まずは早朝6時に宇和島駅から「鉄道ホビートレイン」に乗車する。幸運にも一番乗りで、実際に0系新幹線で使われていた最前列のシート(4席だけ!)に座ることができた。

あいにくの雨だが、山里の風景に立ち込める霧がなんとも幻想的だ。列車は1時間ほどで江川崎駅に到着。地のものが並ぶ『道の駅 よって西土佐』で朝食を調達し、しばし沈下橋など四万十散策へと出かけた。

次の「しまんトロッコ」に乗る前には、『よって西土佐』の名物駅長・林大介さんが駅まで駅弁を届けてくれた。「行ってらっしゃい」と素敵な笑顔に見送られ、トロッコ列車へ。

雨もあがり、さわやかな風が吹く車内では、誰もが四万十川と沈下橋が織りなす美しい景色にシャッターを切る手は止まず。ボランティアガイドの名MCも相まって、いつしか車内には一体感が生まれていた。

続く土佐大正駅では、しまんトロッコガイドの林瑞穂さんと清水正一さんが「移住の若者らが頑張りゆうけん」と、駅前のにぎわい拠点やコーヒースタンドを紹介してくれた。そこで地域の情報やコーヒーをいただき、明治から続く老舗酒蔵『無手無冠(むてむか)』へ。4代目女将の山本紀子さんが出迎えてくれた。

「夫が作った栗焼酎『ダバダ火振(ひぶり)』は今年で39周年を迎えたの」と話す自慢の一杯は、栗の風味がさわやかに香るすっきりとした味わい。杜氏(とうじ)の案内による酒蔵見学に加え、いろんな地酒を試飲させてもらいながらおしゃべりを楽しんでいたら、あっという間に列車の時間!と慌てていると、なんとスタッフの松下さんが駅まで車で送ってくれたのだ。

どこまでもやさしく温かい、そんな土佐大正の人々との出会いに名残惜しさを感じつつ、最後は「海洋堂ホビートレイン」に乗り込んだ。

予土線は四万十川の景色を楽しむものとばかり思っていたが、決してそれだけではなかった。風土に息づく人々の営みこそが、日本の原風景だと感じる旅になった。

【江川崎駅】『道の駅 よって西土佐』天然ものがそろう、四万十の道の駅

「地元の飲食店が作ったラー油など、ニッチな商品もあります」とスタッフの川井さん(左)。
道の駅の中にある『ストローベイルSANKANYA(サンカンヤ)』では西土佐栗のモンブランなど、地のものを使ったスイーツが味わえる。
土佐の郷土料理である田舎寿司は朝食にぴったり。
「西土佐の暮らしから生まれた地のものをお届けします!」と駅長の林大介さん。

四万十川流域で採れた新鮮な野菜をはじめ、鮎やうなぎ、川エビなど川の幸も網羅。さらに田舎寿司やパンなどの手作り加工品、銘菓などが目白押し。早朝は、自慢の農産品を出荷する生産者に会えるのもお楽しみ。

☎0895-52-1398
7:30~18:00(『ストローベイルSANKANYA』は10:00~17:00)、12~2月の火休
高知駅県四万十市西土佐江川崎2410-3
JR予土線江川崎駅から徒歩12分

【江川崎駅】レンタサイクルで沈下橋めぐり!

駅や『道の駅 よって西土佐』などで借りられる、りんりんサイクルを利用して沈下橋を訪ねてみよう。
自転車で10〜15分の距離にある長生(ながおい)沈下橋(上)や中半家(なかはげ)沈下橋がおすすめ。

江川崎駅からは「しまんトロッコ」に乗車

一度聞いたら忘れられない「半家」の地名は、実は平家に由来しているとか?
「にしべん」は、四万十牛肉みそしぐれ丼(左)と四万十牛カルビ丼の2種類。

雨天時は開口部分に透明のカバーをするため、濡れることなく景色を楽しめる。車内では、ボランティアガイドから見どころに加えて半家、土佐昭和といった独特な地名などの由来説明も。西土佐のブランド牛・四万十牛を使ったしまんトロッコの駅弁「にしべん」(2種・各600円)をおともに乗車しよう(道の駅よって西土佐に事前予約を)。

しまんトロッコ●
春~秋の観光シーズンの土・日および夏休み期間中の毎日、宇和島~窪川間を1往復運転(トロッコ車両の乗車区間は土佐大正~江川崎間)。トロッコの指定席券は乗車日1カ月前の10時から発車時刻30分前まで、WEBで予約できる。https://www.jr-shikoku.co.jp/yodo_line/shimantorokko_web/

【土佐大正駅】『無手無冠』大地を愛し自然を生かす、酒づくり

杜氏の案内による酒蔵見学も可能(要予約)。
「ダバダ火振」は、小説家・池井戸潤がこよなく愛し、あの半沢直樹も作中で愛飲する一品だ。
酒蔵隣のショップでは全商品の試飲ができる。気になる銘酒を飲み比べして、お気に入りに出合おう。
4代目女将の山本紀子さん。

創業は明治26年(1893)。四万十川上流域の緑豊かな山間の地で酒造りを始め、現在は5代目が蔵を仕切る。清らかな水と有機肥料で育てた米の旨味を生かした酒「無手無冠」、そして4代目が生み出した栗焼酎「ダバダ火振」をお土産に。

☎0880-27-0316
8:00~17:00、日休
高知駅県四万十町大正452
JR予土線土佐大正駅から徒歩10分

【土佐大正駅】地域おこし、頑張ってます!

1989年に改築された木造のレトロな駅舎が印象的。
駅の隣には田中大夢さんが営む『気ままに珈琲』が。

1989年に改築された木造のレトロな駅舎が印象的な土佐大正駅(写真上)。駅前には地域おこし協力隊が運営するにぎわい拠点があり、まち歩きマップや予土線トレカなどを提供している。その隣には地域おこし協力隊出身の小野雄介さんが営むゲストハウス『SAMARU(サマル)』、同じく地域おこし協力隊の田中大夢(ひろむ)さんが開いた不定期営業のコーヒースタンド『気ままに珈琲』(写真中・下)も。

【窪川駅】「岩本寺」アートな四万十を体現する名刹

本堂の天井には、575枚の絵画が飾られている。これらは1978年に本堂を再建した際、全国の有志から寄せられたものだ。

不動明王、観音菩薩、阿弥陀如来、薬師如来、地蔵菩薩という五尊を本尊に祀る岩本寺。マリリン・モンローなどが描かれた本堂内陣の天井画のほか、境内には、世界で活躍するポップアーティスト・SHETA(シータ)によるアートも。

☎0880-22-0376
境内自由
高知県四万十町茂串町3-13
JR土讃線窪川 駅から徒歩10分

【高知駅】『日曜市』旅の締めくくりは土佐の台所で食道楽

全長約1kmに約300店が並ぶ(写真=高知県観光コンベンション協会)。

高知城のお膝元にある追手筋沿いで、江戸時代から300年以上続く街路市。新鮮な農産物をはじめ田舎寿司、田舎こんにゃくなどの加工品、いも天、冷やしあめなど食べ歩きにぴったりの美味のほか、日用品までそろう。

☎088-823-9375
毎週日曜の6:00~14:00頃(年始とよさこい祭り期間を除く)
高知県高知市折手筋
JR土讃線高知 駅から徒歩10分

取材・文=本田亜由美 撮影=西森ちえみ
『旅の手帖』2024年7月号より

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