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日本は遅れてる?海外で加速するSNS利用の年齢制限。オーストラリアでは16歳未満禁止へ

アットエス

闇バイトや性犯罪など、子どもが巻き込まれる事件も増加

先日、オーストラリアの首相が「16歳未満によるSNSの利用を禁じる新法を可決する」と発表したというニュースがありました。海外では各国が、規制を始めたり、規制に向けた議論を進めたりしています。特に欧米で活発化し、アメリカのフロリダ州は今年3月「14歳未満のSNSアカウントの保有を禁止する」法案を可決しました。

今回は規制の動きやその影響について、SNSなどスマートフォンに関する記事を多く手がけるITジャーナリストの鈴木朋子さんにSBSアナウンサー影島亜美が話を聞きました。

「失神チャレンジ」など過激な行為や健康への懸念も

影島:各国で若年層に対するSNSやスマホ利用への規制の動きが広まっていますが、どうしてですか。

鈴木:子どもの心身への影響が世界的に問題視されているからです。特に海外では、TikTokで首を絞めて失神する様子を公開する「失神チャレンジ」や、SNSに自傷行為を公開しているうちにもっと過激なことを要求され、命を落とした子どももいます。

さらにSNSには中毒性があるという問題もあります。熱中し過ぎて勉強などができない、 昼夜逆転になり健康面を心配する保護者も多いです。加えて、SNS経由で闇バイトに応募してしまうなど犯罪に巻き込まれるリスクがあります。

影島:コロナ禍で子どもが1日10時間もTikTokを見ていたというニュースもありましたし、危険なトレンドも目に入ってきます。規制によって、そうした懸念がなくなることは歓迎できますが、規制によって生じるデメリットはないのでしょうか。

鈴木:今でも起きていますが、子どもたちが年齢を偽って登録する可能性があります。例えばTikTokは13歳から利用できますが、16歳未満にはDMを禁じています。そうした段階的な制限が無駄になってしまいます。

さらに禁じられたSNS以外のアプリで交流を始める可能性もあります。チャット機能はゲームなどにもあるので同じことになってしまうんです。隠れてSNSをやっている場合、トラブルに巻き込まれても大人には相談できなくなり、露見した時は深刻な被害になっているリスクも考えられます。

 影島:大人が気づかないうちに問題が大きくなることはよくありますよね。

SNSがきっかけの「性犯罪被害」は10年前の5倍

影島:日本では規制の動きはあるのでしょうか。

鈴木:香川県で「ネット・ゲーム依存症対策条例」が2020年3月に可決し、ゲームやスマホの利用時間を制限しましたが、罰則などの規定はありません。保護者からの反発もあり、基本的人権の侵害だと訴訟も起きました。日本全体での規制は特にありません。海外に比べて、まだ問題が深刻化していないからだと思います。

影島:自分のスマホを持つ子どもも増えましたね。

鈴木:子ども家庭庁の調査によると、小学生の7割がスマホを所有し、1日3時間以上のネット利用は6割以上です。

小学生の犯罪被害も急増しています。日本では、昨年SNSがきっかけで性犯罪被害にあった18歳未満の子どもは1665人で、小学生は10年前の5倍に増えています。

経験から身につくITリテラシー。親子の話し合いも大切

影島:単純に規制だけをすると、例えば親と一緒に危険性を学ぶ機会が減ってしまう懸念もありますよね。 

鈴木:その通りですね。子どものSNSは友人との交流がメインなので、規制によって周囲が一斉に使わなくなれば、一定の効果はあると思います。ただ、ネットでどう振る舞うべきか、情報が正しいかどうかといったITリテラシーは、経験から学ぶ面もすごく大きいです。例えば暴露系インフルエンサーの行動について、親子で話し合うことで親の価値観を伝えられます。

影島:難しい問題ですね。実際は、子どもだけでなく大人も犯罪や中傷などの被害にあうことがあります。私たちはどう対応するべきですか。

鈴木:プラットフォームも安全対策を講じていますが、リスクのある投稿の数が多く、ユーザー頼りの面もあります。危ない投稿を見かけたら「プラットフォームに報告する」ことが大事です。

子どもに関しては「フィルタリングの設定」が大切です。長時間の利用を防ぐことにもつながります。また、機能や設定では防げないこともあるので「親の見守り」が大事です。親子でSNSについて気軽に話し合える関係性を築いておくことで、トラブルに早く対処できると思います。

影島:鈴木さんありがとうございました。

2024年11月19日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。今回お話をうかがったのは……鈴木朋子さん
ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー
SNSのトレンドと子どものスマホ利用を中心に執筆、講演、メディア出演を行う。近著は「親が知らない子どものスマホ」(日経BP)、「親子で学ぶスマホとネットを安心に使う本」(技術評論社)、「インターネットサバイバル全3巻」(日本図書センター)など。

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