「故郷の子どもたちの健康を守りたい」 広島大学留学生でスリランカ出身のスプン・ペーマラタナさんにインタビュー
広島大学修士課程2年生で動物資源科学を学ぶスプン・ペーマラタナさん(34)は、スリランカのパダヴィ スリプラ出身で、内戦の中で生まれ育った。故郷の水の衛生問題や子どもたちの栄養状態の改善に向け、研究を行っている。
スリランカでは、1980年頃に内戦が起こり、スプンさんの故郷は内戦の激しい地域となった。幼少期は、朝起きると道に戦車や軍隊がいたり、家族全員が内戦で巻き込まれてしまわないようバスにバラバラで乗車したりしたという。
2009年に内戦は終結したが、その影響で水が不衛生になった。汚染された水を飲んだことで多くの人が腎臓の疾患を抱え、亡くなった。現在でも水の衛生問題による被害は多く、きれいな水を確保するには、フィルターが置いてある施設まで何時間もかけて水を汲みにいかなければならない状況。北中部省によると2021年には、同地域で660人が死亡し、11,824人が慢性腎疾患を抱えている。
また、家畜の生産体制が構築されていない課題もある。そのため、乳児や子どもの健康に悪影響を与えている。一例を挙げると、スリランカでは乳児や子どもたちを育てるのに牛乳を使用しているが、十分に取れていないなど。
スプンさんはこれらの課題解決のために学んでおり、「故郷の子どもたちの健康を守りたい。子どもの頃の状況を『仕方がない』と諦めていたが、そうではない事を今の子どもたちに伝えたい」と話す。現在、ロータリー財団のグローバル補助金の申請へ向け準備をしながら、研究に励んでいる。(猪上)
プレスネット編集部