アメリカ大統領選挙、もしバイデン氏が撤退を決めたらどうなる?
7月12日(金)、ニュースキャスター・長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・15時30分~17時)が放送。午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーで、ニューヨーク在住ジャーナリスト・専修大学ジャーナリズム学科講師の津山恵子氏を招き、アメリカ大統領選挙について話を伺った。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「ここにきてバイデン大統領がかなり心配な事態になってます。記者会見で『トランプに大統領になる資質がなければ副大統領には選んでいない』っていう謎の発言があって、これはどうやらハリスさんとトランプさんを間違ったと。さらに北大西洋条約機構(NATO)首脳会議関連会合ではゼレンスキーさんを紹介するところを『プーチン大統領〜!』って紹介しちゃって、いちばんやってはいけないミスを犯してしまいました。アメリカの大統領がこれをやってしまうということで、まさに迷走もここに極まれりという状況になってきました」
長野智子「いやぁ、もうすごいですよね。なんか(民主党支持の)ジョージ・クルーニーも堪忍袋の緒が切れたっていう……。『バイデン大統領はもう撤退されたらどうか』って。寄付としてはかなり大口の方ですけども。相当混乱していますね」
津山恵子「そうですね。彼はいままでバイデンさんのための大きな資金集めパーティーをハリウッドで開いてきた大物なので、彼がニューヨーク・タイムズに寄稿して『撤退すべきだ』と言ってしまったので本当にビックリしています。それ以外に、同時にニューヨーク・タイムズで『バイデンがパーキンソン病の治療を受けている』という憶測の報道が出たんですけども、これも本当に気になっているところですね。パーキンソン病を患っていると体がカクカクしたり、言葉がちょっと不明瞭になるということがあるというふうに報じられています。これは大統領報道官が全面否定をしているという状況です」
長野「そうですね。日本にいると『コメントを間違えた』とか、そういうニュースが入ってくるんですけども。現実問題としてバイデン大統領が撤退をして新しい候補が出てくるっていうのは、どれくらいのリアリズムなんですか?」
津山「いま半日ごとに『辞めろ』コールが強まっているので、いつ変わるのかなっていう感じなんですけれども、最終的に判断をするのはバイデン大統領しかいないんですね。ただ、万が一、彼が撤退を決めた場合は、8月の半ばにシカゴで民主党全国大会というのがありまして、これが本当に一般投票みたいな形で4000人くらいの代議員が集まってくるんですけれども、この人たちが『わたしがAさんはいいと思った』とか『Bさんはいい』『Cさんはいい』という感じで投票して、最多数を獲得した人が正式に大統領指名候補という形になります」
長野「これは本来だったら、もしバイデン大統領が撤退するなら、カマラ・ハリス副大統領が代わりに、っていう流れなんでしょうけど、どうしてこのハリスさんはここまで人気がないんですか?」
津山「彼女はちょっと可哀想なところがあって、全国行脚ができない立場だったんですね。なぜかというと、上院議員の共和党と民主党の議員数が拮抗しているので、彼女が最後の一票を上院議長として打って、それでやっと民主党が多数派になるっていうことになっていたので、議会が開かれている間、彼女はワシントンを離れることができなかったんですよ。バイデンさんもオバマさんのときはそうでしたけど、大統領がワシントンを離れられないから全国行脚して『いま大統領はこういうことを考えてるから、君たちも協力してくれ』というような旅がらすをやって知名度を上げるっていうのが副大統領だったんですけども、ハリスさんはこれまでそれができなかったということで影が薄いよね、ということになっています」
長野「影が薄いということは、もし(候補で)新しい人が出てくるんだったら他の人になってくるんですか?」
津山「そうですね。でも、新しい人が二人も三人も出てくるとシカゴの大会が大混乱になると思うんですね。どのくらい多数を獲得するかっていうことで、候補者同士も大競り合いをやると思いますし、その中にカマラ・ハリスも入ってくると思うんです。ただ、やはり混乱を避けるためには、バイデン大統領が『撤退するよ』と決めるときに、『実は自分が心の中に決めている指名候補はハリスだよ』とか『カリフォルニア州(知事)のギャビン・ニューサムだよ』っていうふうに、彼が誰かを指名するっていうケースが、いちばん大会で混乱しないんじゃないかなというふうに言われています」