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木梨憲武がさまざまなジャンルのプロたちを“筆”として総動員するという一大エンターテインメントに迫る

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木梨憲武

2024年4月からWOWOWにて放送された、誰もが楽しめるアートのすばらしさを木梨憲武の目線で伝える番組 「木に梨はなる ~みんなのアート~」がスタジオを飛び出し、7月14日(日)、15日(月祝)にTOKYO DOME CITY HALLにやってくる。木梨が音楽、スポーツ、ダンス、お笑いなどさまざまなジャンルのプロたちを“筆”として総動員し、そのパフォーマンスを通して一緒にアートを生み出していくという、今までに見たことのない2日限りの一大エンターテインメントになるという。そんな一大エンターテインメントの仕掛け人・木梨に、今思い描いているストーリーの一端を紐解いてもらった。

――さっそくですが、『木に梨はなる 真夏の大収穫祭2024 ~みんなのアートミュージック~』はどういった内容を予定されているのでしょうか?

いままでも「アルバムに向けて」とか、普通の形のライブは何回もやってきたんですけど。今回はただ歌うだけじゃなく、そこにアートを絡めて。「音楽とアートが結びつかないかな?」とか、「笑いと音楽とアートが結びつかないかな?」とか。さらにアートの意識が無いスポーツ選手にも、アーティストとして初めて参加してもらったり。なにがどうなのか分からないまま、みんなに出演OKしてもらって。番組(「木に梨はなる ~みんなのアート~」)の中で実験的だったことが、お客さんがたくさん来ていただいたら、どんな楽しんでもらえるエンターテイメントに繋がるかな?というところで、僕を含めたスタッフチームでミーティングしてる最中です。

――番組でやっていた実験的なことや、そこで生まれたものが下地になっている?

そうですね。歌手の人には歌ってもらうんだけど、そこにアートとして参加してもらう人もいたり。意味わかんないと思うんですよ、来るメンバーの人たちも(笑)。なので、それも含めてOKしていただいている方には本当に感謝しかないです。詞とか音楽で感動したり笑ったりするだけじゃなくて、そこに作品が出来ていくことで残るものがあるので。それをチャリティでそこにいる方や、欲しい方たちにお譲りするという形で。いろんなジャンル、いろんな演出やパフォーマンスを通じて、いくつか作品が出来ていくんだろうなというのが現状です。

木梨憲武

――音楽や笑いをアートに結びつけるというのは、番組でもやってきましたが。それをイベントにすることの意味や、生のライブでやる理由について聞かせて下さい。

WOWOWさんが「そうしたい」っていうからです(笑)。ただ、「なにかライブやりましょうよ」ってことで、イベントありきというのは(番組の)企画段階からお話を聞いてて。そんなミックスしたのはやったことないし、面白そうなんで「やるやる!」って言って。絵の具でグチャグチャになったり、自分自身がアートになるのか? それを形にするのに紙に転写するのか? はたまた、グラフィックに落とし込むのか? ダンサーの人たちもただ踊るだけじゃなくて、そこに絵の具があったりするだろうし。それをWOWOWさんが記録として撮ってくれるので、上手く編集したいと思っています。

――生のライブですし、“みんなのアート”と銘打ってるくらいですから、お客さんも巻き込んでみたいなことも考えているんですか?

ところが話してると、今回は会場がTOKYO DOME CITY HALLなので。椅子だ、じゅうたんだってあるところで、会場に迷惑かけられないっていうのは、もう大人なんで分かってて(笑)。お客さんもその覚悟で来てくれるんだったら、ビニールシートでも敷くのか? 「だったら、野外でやれば良かったのに」になるのか? (みんなが参加出来るように)出来るだけ準備はしたいと思ってるんですけど。本当だったら、「お客さんも全員、白い洋服着て来て下さい」と事前にアナウンスして。みんな暴れまわるんで、色が付いたらそれを作品として着て帰れるなとか思うんですけど、なにせホールなので。意外と規則正しくやると思いますが、そこの中での演出とかで表現出来たらと思います。

――音楽とアートはイメージ出来るんですが、お笑いやスポーツはどう結びついていくのでしょうか?

木梨 サッカーボールに色付けて、キャンバスに一発蹴ってもらっただけでも、世界に一枚しかない作品になるから。大久保(嘉人)くんとか城(彰二)くんとか来てくれるから、彼らが蹴っただけで作品になるし。城くんにはその後、俺が卵を投げるとか、そういう思い出もアートとして残して(笑)。サッカー選手もそれだけでアートになるって、分かっていなくて来てると思うんで。そこに後から手を加えるのか、そのままなのか? その辺は作品を見て、後からみんなで決めようかなと思ってたり。あとスポーツ選手でお声がけしてるのは、長州力さん。アートなんで、“リキラリアート”って(笑)。僕でもスポーツ選手でもいいんですけど、絵の具をつけてリキラリアットを食らって。その一発で弾け散る色が、アート作品になるんじゃないか? と。それを長州力さんに電話したら、「ちょっと意味分からないけど行く」と言ってました。そこからどういう形でアートになるかな?ってところで、+αでどういう風に演出だったり、パフォーマンス出来るかは、まだ1ヶ月あるんで考えます。あと電話したのが、宇崎竜童さん。やまなみ工房っていう、滋賀の知的・精神、身体に障がいを持つアートチームのところにこの間行って、そこの子たちも来てくれるんですけど。宇崎竜童さんがやまなみ工房にギターひとつで行って、みんなの前で「おじさん歌うよ」って歌ったって話も聞いたんで。「宇崎さん、やまなみの子たちも来るよ」って言ったら、「分かった、行く!」って言ってくれました。14日は松崎しげるさんが「愛のメモリー」を歌いに来てくれるんで、「じゃあ、愛をテーマにして、何か作品出来ないかな?」とか。そこで出来た作品を現場でオークションなのか分からないですけど、欲しい人にお譲りして。やまなみ工房は100人くらいいるんで、何人来てくれるか分からないですけど。興味ある人たちに何人か来てもらって、作品が出来ないかな?と考えています。

木梨憲武

――WOWOWに「木に梨はなる ~みんなのアート~」の中で、印象に残ってる瞬間や「これはアートになるな」と思った瞬間、イベントに反映出来るなと思った瞬間など、覚えているシーンがあったら教えて下さい。

前回、自分の展覧会(「木梨憲武展 Timing ─瞬間の光り─ 」)で、全国を回らせてもらうためのポスターも偶然生まれたもので。自分のアトリエでペンキやってたら少し付いたんで、結局、顔も頭も全身ペンキだらけになって、それを急遽カメラマンを呼んで撮ってもらって、それがポスターになったりしたんで。畑に行って泥だらけになることとかはあるんですが、ペンキを自分で自分に塗ってみようとかっていうのは、なかなかタイミングが無いと思うんで。本当はこのライブでそういうところまで行きたいなと思ってます。WOWOWの放送でもクロちゃんとか、アイドルの子とかダンサーチームとか、もう後半楽しくてしょうがないんですよ、めちゃくちゃで(笑)。最後は「うわぁ、気持ちいい! 楽しい!」って快感になってるんで、イベントでもそこまで行きたいなと思ってます。そういうところまで行くと、自分たちも子供に戻れるくらいの楽しいどっかまでね、勝手に気持ちを連れてってくれるんで。そこで音楽に乗っかって、みんなで踊ったり出来んのかな?っていうのが、今日現在です。そうした時、「どのくらいの絵の具の量で、どのくらい水で薄めた方がいいのか?」とか、「もっと緩い方がいいのか、多少ボテボテの方がいいのか?」っていうのも、ミーティングで何回かテストしていて。例えば、ミュージシャンの人に太鼓を叩いてもらって、太鼓の上にどれくらいのペンキだと跳ねるのか? とか。明かりをどうしたらお客さんに届くように見てもらえるのか? とか考えていて。それがカッコ良かったり面白かったり衝撃を受けたりっていうのを、僕も一緒に味わいたいなと思ってますし。いくつの作品が出来るのか?っていうのも、楽しい現場だと思います。

――2日間内容が変わったり、2日かけて作品を作り上げたりするんですか?

そんな話もしてたんですけど、大きいキャンバスにひとつのテーマだけで表現しても、そんな大きいものを飾る場所がないと思うんで。みんなが家に飾りやすいように、カットしようと思ってます(笑)。カットラインは僕がやろうと思ってて、家なら廊下やリビングに飾るのに良いサイズに綺麗にカットして、額装しようと思ってます。一人で作る時もそういうことあるんですけど、めっちゃくちゃになりながらで、最初はテーマがなくても、後からテーマやタイトルが見えてきたりってことがあるので。意識だけどっかにアートっていうのを持ちながら、音楽を聴いてやろうかな?と思ってて。そこにダンスだったりパフォーマンスだったり、デジタルだったりアナログだったりっていうのが入り乱れると思うし。スポーツ選手やお笑いの人が張り切ってくれたりして、本当に実験ライブになるから。上手くいったら次があるし、上手くいかなかったらすぐ反省しながら謝ります(笑)。

――“子供に戻る”ってお話出ましたが、子供の表現にインスパイアされることもある?

子供に戻って、怒られるまで大はしゃぎしたいですね。なにが怒られるポイントなのかはなんとなく分かってるんで、ホントはどこまでも行きたいですけど。独身時代にやってたのは自分の顔にいろいろ塗って、大笑いしながら半紙のような柔らかい紙を座布団の上に置いて、バン!って自分の顔を乗せて。ゆっくり剥がすと、一発で自分の作品が出来るんで。そこに書で“笑”って字を書いたのを、面白がってくれる自分の友達にあげたりしてました(笑)。自分の顔を絵の具だらけにして飛び込むとか、プライベートでそういう経験ってなかなか出来ないんで。そういうのを味わって欲しいと思います。あと昔、番組でやったのは、すごい大きなボックスに緑のペンキが入ってて。もうひとつのボックスにオレンジのペンキが入ってて。当時、Jリーグ立ち上げの時だったんで、ヴェルディvsエスパルスを表現しようと思って。俺は緑のボックスにボールを蹴ってるポーズでドボンと入って、逆サイドで勝俣(州和)がゴールキーパーのポーズでドボンと飛び込んで、一発勝負で飛び込むだけの大きな作品を作ったことをやけに思い出したりして。そういうところに近づけたらというか、超えられたらいいなと思ってます。お客さんもね、「そっち行って、色付けたいな」と思って参加したりして。子供たちがいたら、そんなのは絶対楽しいに決まってるから。そこも上手くミックス出来たら成功だと思うんですけど、やってみないと分かんないですね。……ま、そのどうなるか分かんないイベントをお客さんもチケット買おうとしてるし、こうして宣伝してもらおうと思ってるんですけど(笑)。絶対、楽しいと思います。

木梨憲武

――木梨さん自身のアートの原体験、初めてアートに触れた時のことって覚えてますか?

それをアートとして捉えてはいないけど、小学校の時に教科書やノートにずっとマンガ描いたり、4コママンガを描いたりはしてました。先生の似顔絵描いてみようとか、色付けてみようとか。あの頃の絵を取っておけば良かったと思ってますけど。「自分のやりたいことだけ表現としてやればいいんだ、それが後に作品として残るから。ノリちゃんの好きなことでいいんだよ」って、日比野(克彦)さんから教えてもらったのは後からだったし。それを「美術館でどう飾ろうか?」とか、「どういう演出にしようか?」って考えるようになったのも後からで。まずは作品を仕上げて現場に行って、配置とか考えるのが一番楽しい時間でもあるんですけど。「ここの配置はこうしよう。次の部屋はオブジェだらけにしよう」とかいままでやってきたことに、ライブのような音楽パフォーマンスを絡めたのが今回で。まぁ、その後も(とんねるずの)武道館が残ってて、たぶんそっちはアートは絡まないと思いますし。その後、横浜でやる自分のイベントなんかもあるんで、やることたくさんあるんですけど。どこも違う方向でお客さんに楽しんでもらえるようにね、表現の仕方がそれぞれ毎回違うんで楽しいです。

――音楽、スポーツ、お笑いといろんなジャンルの方がいらっしゃいますが、いろんなジャンルの方とコラボすることの楽しさを聞かせて下さい。

サッカー選手だったら蹴ってもらう、野球選手だったら投げてもらうとかが、基本的にあった方がいいと思うんですけど。それと音楽とって考えた時、「じゃあ、長州さんが歌うのか?」とか、なにしようかな?って考えるところまで含めて楽しいんですけど。DA PUMPとか荻野目(洋子)ちゃんとか、歌手の人が来てくれたら、持ち歌歌ってもらったり。荻野目ちゃんなんかは、「ダンシング・ヒーロー」を踊ってもらおうと思ってたりするんだけど。そこにアートをどういう風に結びつけるには、まず、荻野目ちゃんが絵の具でぐちゃぐちゃになってくれるのか? とか、DA PUMPは、白の衣装にしてくれるのか? とか。それは本人と事務所との兼ね合いです(笑)。

――これから先のイベントのお話もあったり、ドラマに出版にラジオと多彩な表現の取り組みをされてますが。木梨さんを奮い立たせる原動力ってどこにあるんですか?

いや、「何年先にこうしよう」とかまるっきりなくて。今日起きたことが形になるか?ってところで、それをやることによる準備もあるけど。そのリズムが最近早くなってきてて。アートだけでもこのイベントがあって、デジタルの展覧会があって、作品が貯まると何年かに一度やらせてもらってる全国ツアーがあって、普通の音楽のライブもあったり。「これが終わると今度はこっち」という感じで毎日、面白いですよ。

――最後にライブ以外の部分、イベント展示も準備中ということですが。現段階でお話出来ることがあれば、教えて下さい。

僕が会ったことのないパフォーマーの人たちもいっぱい来てくれるそうなんで、そういう人たちも一緒になって、全員がひとつになれる楽しいイベント。お客さんも含めて、全員ピースになるイベントにしたいというのが目標です。

取材・文=フジジュン 撮影=池上夢貢(GEKKO)
Hair&Make=北一騎(Permanent) Styling=大久保篤志

木梨憲武

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