「退職成仏ノート」とは? 好きなことを仕事には危険? モヤモヤから見える“本音”の見つけ方
「今の仕事を続けるか、転職か、副業か、それとも独立か」。そんなふうに迷った経験のある人は少なくないはずだ。特に「好きなことを仕事にしたい」という願いがあるほど、その迷いは深まる。そんな“働くモヤモヤ”に向き合うためのヒントをくれるのが、「退職学®︎(resignology)」の研究家・佐野創太さんだ。
『ゼロストレス転職 99%がやらない「内定の近道」』(PHP研究所)や『「会社辞めたい」ループから抜け出そう! 転職後も武器になる思考法』(サンマーク出版)の著書を持ち、これまで1000人以上の「辞めたい」相談に乗ってきた佐野さんに、働き方の選択で迷わないための「本音」の見つけ方を聞いた。
モヤモヤは「本音を見つける鍵」
そもそも「好きなことを仕事にしたい」のか、それとも単に「今の仕事を辞めたいだけ」なのか、自分でも分からなくなることはないだろうか?
「その悩みは、“今の働き方に何らかのモヤモヤがある”というところから始まっているんですよね」と佐野さんは語る。
たとえば、「仕事に飽きてきた」「会社の方向性に違和感がある」といったネガティブな感情は、できれば目を逸らしたくなるものだ。だが佐野さんは、それこそが大事なサインだという。
「ネガティブな感情は“本音の疼き”です。否定するものではなく、自分がどうしたいかを教えてくれる“ちょっと厳しめの先生”なんです」
とはいえ、「本音に向き合う」と言っても、どうすれば見えてくるのか?
書いて整理する「退職成仏ノート」と「人間関係の仕分け」
佐野さんが提案するのは、まずネガティブな感情を書き出してみることだ。
「おすすめは“退職成仏ノート”です。イラっとしたこと、不快だった会話、どうしても納得できなかった社内の出来事など、思いつくままに書き出します。誰に見せるものでもないので、“会社のロゴが好きじゃない”とか、“同僚が朝から不機嫌なのが嫌”とか、小さなことでもOKです」
さらにもう一つの方法が、「人間関係の仕分けノート」だ。
「社内の人間関係を、“つながり”“しがらみ”“無関心”の3つに分類して、自分の感情を整理するんです。これはいわば“心のゴミ箱”をつくる作業で、吐き出すことで本音が浮かび上がってきます」
本音は「グラデーション」でできている
こうした方法で見えてくるのは、「白か黒か」では割り切れない、自分の感情のグラデーションだ。
「たとえば“職場に大きな不満はないけれど、本当はもっと好きなことを仕事にしたい”なら、副業という選択肢があります。一方で、“職場の人間関係をまるごとリセットしたい”なら、転職の方が適しているかもしれません」
副業か転職か、あるいは起業か。選択肢の正解は一つではない。大事なのは「自分がどこに向かいたいのか」を、ちゃんと自分で知っていることだ。