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池袋『旧江戸川乱歩邸』がリニューアルオープン。日本の探偵小説の父・乱歩の暮らしとこだわりを垣間見る

さんたつ

P5271861江戸川乱歩邸

立教大学の池袋キャンパスに隣接する『旧江戸川乱歩邸』は、作家・江戸川乱歩が約30年間暮らした邸宅。2002年に立教大学が譲り受けて保存・公開してきた。2024年に立教学院創立150周年記念事業の一環として改修が始まり、2025年5月19日にリニューアルオープン。内容もより充実し、見応えのある施設にパワーアップした。

旧江戸川乱歩邸(江戸川乱歩記念大衆文化研究センター)(きゅうえどがわらんぽてい)

乱歩の人となりにも興味が湧いてくる品々がずらり

母屋の洋館のタイルは同色の特注品で修復された。

母屋のなかは、乱歩が暮らしていた頃の様子をできる限り残して改修されており、床や照明などは当時のまま。展示スペースとなっている応接間は天井の高さも特徴的で、乱歩自身が設計したというこだわりがうかがえる。

応接間は調度品も再現されていて、今にも本人が戻ってきそうな雰囲気。

作家だけでなく人としての平井太郎(本名)にも焦点を当てた展示室では、「作家・乱歩と人間・太郎、二つの人生に出会う場」をコンセプトに資料を紹介。「展示環境が整備されたことで、以前はできなかった乱歩自筆の資料の公開ができるようになりました」とは、立教大学大衆文化研究センターの杉本さん。

展示室。

自身に関することは全て記録・整理していた乱歩の自分史スクラップブック『貼雑年譜(はりまぜねんぷ)』や、収集した江戸時代の和本を収納するための手作りの紙の箱など、乱歩の几帳面で根気強い性格が伝わる精緻な品々がずらり。書物だけでなく、カメラや編集機材、町内活動の記録など多岐にわたる活動を垣間見ることができて、人となりにも興味が湧いてくる。

ほかにも、当時の写真をもとに再現した書斎では乱歩になりきった写真を撮ることができるほか、乱歩の作品や関連書籍を手に取って読めるスペースも。2025年7月には図録も刊行予定だという。

母屋の裏手にある土蔵。
土蔵の中に入ることはできないが、棚に整然と並んだ書物を入り口からのぞき見ることができる。

「リニューアルオープン以降、老若男女問わず多くの方にご来館いただいています。乱歩のファンだけでなく、たまたま寄ってみたという方も多いですよ」と杉本さん。「乱歩は二次創作にも寛容で、アニメ化や舞台化など作品世界が広がり続けています。ぜひここをきっかけに興味を持ってもらいたいです」。

旧江戸川乱歩邸(江戸川乱歩記念大衆文化研究センター)(きゅうえどがわらんぽてい)
住所:東京都豊島区西池袋3-34-1 立教大学池袋キャンパス内/営業時間:月・水・金の10:30~16:00(祝の場合は休)/アクセス:地下鉄有楽町線・副都心線要町駅から徒歩6分

取材・文・撮影=中村こより
『散歩の達人』2025年7月号より

中村こより
もの書き・もの描き
1993年東京生まれ、北海道育ち。中央線沿線に憧れて三鷹で暮らした後、坂のある街に憧れて現在は谷中在住。好きなものは凸凹地形、地図、路上観察、夕立。挑戦したいことは測量と東海道踏破。

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