県民が描いた〝長野の図〟に4.9万人注目 地元民には超重要な「他県民なら書かない要素」
読者は、自分が住んでいる場所の標高を、意識したことがあるだろうか。
2025年3月21日、とある長野県民がX上に投稿したイラストに、注目が集まっている。
「都会民から見たら長野県は山が近いし全部田舎と思われがちだけど長野の中でも田舎はある」
そんな呟きとともに、「じょあ」(@KSG2999)さんが投稿したのは。長野県を表現した図らしい。
しかし、地図ではない。県土の断面図のようなものである。
左側には「500m」「1000m」「2000m」「3000m」と記され、点線が横に伸びている。標高を示しているようだ。
「長野県の人が住んでいるところ」は、関東の山間部(=人が住める田舎)の先にある山を越え、そのさらに先にある標高500メートル付近の盆地のような地域。
そこを囲むのは人が「ほぼ住めない」山で、それよりさらに高い場所にある長野の山間部こそが「ガチ田舎」だという。
「長野県民はこの盆地を街としているので、その盆地の山の縁(もしくは間)を田舎扱いする。しかしすでに高地なのでこの山の縁はかなり険しい山となり、文字通りの谷間に住んだり、山の斜面に斜面に住むというような感じで、田舎レベルも高くなる」(じょあさんの投稿より)
どうだろう。この図、かなりユニークではないだろうか? おそらく、自分の地元を同じように説明しようとした時、多くの人は地図をエリア分けするような方法を使うのではないかと思うのだが......。
じょあ(@KSG2999)さんのポストには、4万9000件(3月26日時点)を超える「いいね」のほか、こんな声が寄せられている。
「長野県民の標高へのこだわりは異常。他県の人はこのイラストに標高は書かない。たぶん東京からの距離とか電車の所要時間とか書く」 「長野県人の標高マウント好き」 「長野県民って自宅の標高言えるんでしょ」
そして、自宅や実家の標高を言い合う長野人たちも集結。
どうやら長野の人々は、標高にかなりこだわりがあるらしい。
Jタウンネット記者は、じょあさんに話を聞いた。
標高で変わる、人々の暮らし
投稿者「じょあ」さんは、出身地は別だが長野県在住。登山が好きなので、標高には関心があるという。
長野県民の標高へのこだわりについて、こう語る。
「私は登山が好きなので標高を物差しにしていることにさほど違和感がないのですが、逆に登山をやらない他の長野県民も標高を気にしているのは面白いなと思います。人はやはり高いところが好きなのかなとも思います」
長野県で暮らしていると、標高を肌で感じることがあるという。標高によって気温や気象が違うし、たとえば「100メートル高くなるだけで雪が降り始める」といったことが、身をもってわかるのだとか。だから「関心がある人も多いのだと思います」。
今回のXの反響の中には、こんな指摘もあったという。
「長野盆地が300メートル前後で、松本が600メートル前後で、諏訪が1000メートルいかないくらいなので、盆地でも大分差がありますけどね」
長野県内の〝人が住んでいるところ〟でも、標高はけっこうバラバラだというものだ。
「今回描いたイラストは長野のごく一面だったので、それは自分でもわかっていました」とじょあさん。
それでも、あの図になったのには、理由がある。県の面積が広く、簡単に表現できなかったのだ。
「そんなところも長野県の魅力のひとつか、と改めて思いました」(じょあさん)
東西南北とはまた違う、「標高」という物差しで、長野を旅してみよう。新鮮な発見がきっとあるはずだ。