色が変わる沖縄の県魚<タカサゴ> グルクンの名で知られる県を代表する美味しい魚
「グルクン」という言葉を聞いたことがありますか?
グルクンは沖縄県ではメジャーな魚で、居酒屋などにいくと名前を見ることができる魚です。
グルクンというのは1種のサカナだけを指す名前ではなく、沖縄で見られるタカサゴの仲間の総称として使われます。中でも一般的にグルクンとして知られ、沖縄県の県魚としても愛されている「タカサゴ」は美味しい魚として有名です。
沖縄の県魚「タカサゴ」
「グルクン」は一種の魚類のことを呼ぶわけではなく、タカサゴ科の魚類のことを指します。
沖縄にはグルクン科の魚類は約10種ほどいますが、その中でも親しまれている魚種である「タカサゴ」にスポットを当てて紹介しましょう。
郷土を代表する魚である「県魚」として、1972年5月15日に沖縄の県魚として認定されており、制度が導入されてから最初の魚となりました。
主な分布は奄美大島以南、西太平洋の亜熱帯と、主に暖かい地域に暮らす魚です。成魚は30センチほどになり、サンゴ礁や岩礁域の近くを群れで泳いでいます。
グルクンの旬は夏で、唐揚げや塩焼きで食べられているほか、かまぼこの原材料としても使われています。
名前の由来は泳ぐ様子から?
正確な由来は定かではありませんが、グルクンという名前の由来は「群れ(グル)をなして泳いでいる」や「ぐるぐる泳いでいる」と諸説あります。
正式な和名であるタカサゴの由来ですが、「たか」は漁師用語で岩礁のことを指し、「さご」は小魚を指す言葉のため、「岩礁帯に住む小魚」という意味がはじまりと言われています。
色が変化しやすい魚
タカサゴは海の中で見ると青緑色をしています。しかし、外敵に襲われたり威嚇をしたりすることで興奮すると、体色が赤みがかったピンク色に変わります。
興奮しているとき以外にも、眠っているときや、死んでしまったときにも色が変化するそう。
そのため、スーパーや市場などで見かけるタカサゴとは印象がずいぶん違うかもしれません。
沖縄でタカサゴを見てみよう
生きているタカサゴは、水族館で見ることができます。沖縄美ら海水族館では、筆者が訪問した際に約6種のタカサゴ科の魚を展示(2022年時点)していました。
沖縄県以外の場所では、名古屋港水族館やマクセルアクアパーク品川、鳥羽水族館などにも展示例があります。
野生のタカサゴを見るなら「釣り」
また、沖縄の海であれば、野生のタカサゴを見ることができます。
岩礁やサンゴ礁の近くを回遊していることが多いため、釣りの対象魚としても人気。サビキ釣りで釣ることができるので、もし釣り上げられれば体色が変化するところも間近で見られます。
筆者は座間見諸島で釣りをした際に、同行者が釣りかけたのを見ることができました。釣りエサにアタックをかけた瞬間、瞬時に体色が赤くなったのでとても感動しました。
私が釣りをした時期は旬になる6月頃。地域によって釣れる時期は変わりますが、沖縄に行った際はぜひ野生のタカサゴを探してみてはいかがでしょうか。
近年はタカサゴの漁獲量は減少
タカサゴは日本初の県魚として認定され、沖縄の食卓にも欠かせない存在です。
しかし、近年はタカサゴの個体数減少や漁の変化などで漁獲量は減ってきており、見かける機会も少なくなっていくかもしれません。
限られた海の資源に配慮して漁獲量を抑えつつも、これからも県魚として愛され続けるといいですね。
(サカナトライター:秋津)