「不毛でも切実で苦しく愛おしい」「“天才あるある”系名画」熱烈コメント到着!『ノーヴィス』
ローイング(ボート競技)の世界に魅入られたある女性の、情熱という名の狂気を纏った激浪の物語『ノーヴィス』が、11月1日(金)より公開される。このたび、無類の映画好き9名たちから熱烈コメントが到着した。
監督自身の体験を基に描く、常人が辿り着けない深淵の世界
「ノーヴィス/novice」とは、新入り、初心者のこと。スポーツ分野においては競技者の分類として使われ、一定のランクに達していない初心者のことを指す。大学のボート部に入部したアレックスが、「困難だからこそ、挑戦するのだ」というJ.F.ケネディの言葉を胸に、己の限界に打ち勝ちたいという一心で過酷なトレーニングに身を投じていく。そんな本作は、デイミアン・チャゼルの『セッション』、クエンティン・タランティーノの『ヘイトフル・エイト』、ザック・スナイダーの『ジャスティス・リーグ』、ギレルモ・デル・トロの『パシフィック・リム』など錚々たるハリウッドメジャー作の音響で活躍してきたローレン・ハダウェイによる満を持しての初監督作だ。大学時代にローイング(ボート競技)に自ら没頭した体験を基に作り上げられ、自身で脚本と編集も担当。
主演は『エスターファースト・キル』のイザベル・ファーマン。撮影前の6週間、毎朝4時半に起き、1日6時間の水上トレーニングを行って、過酷な撮影に耐えられる精神と肉体を手に入れたファーマンの妥協のない迫真の演技に、「第20回トライベッカ国際映画祭」において主演女優賞が贈られた。本作は同映画祭で作品賞と撮影賞も受賞。
<コメント>
新井英樹(漫画家)
冒頭数分の痛いキャラ描写だけで「面白い!」と確信。肩を力ませ努力と執念だけを武器に、勝利を求めるヒロインが熱量全開でのたうち回る。人間が必死に自分を確立させようとする戦いは、不毛でも切実で苦しく愛おしい!
ジャガモンド斉藤(映画紹介人/お笑いコンビ)
イザベル・ファーマンが(相変わらず)狂ってる! …と思いきや、だんだん普通だと思えてくるのは僕だけだろうか?競争社会に放り出され異常な焦燥感にかられて、自滅する。“青春”てこういう痛々しいものだし、ひょっとして未だにそのサイクルから抜け出せてないんじゃないか…?「そうだよ」この映画の最後のカットが、そんな僕の不安に答えてきたかのようで怖かった。
ISO(ライター)
数字と優劣に固執する持たざる者の強迫観念が、輝かしい青春のすべてを破壊していく。「努力すれば報われる」という言葉に呪われたイザベル・ファーマンの相貌は『エスター』よりも恐ろしかった。これほど鋭く、狂気的で、悲痛なスポーツ青春映画を他に知らない。
LiLiCo(映画コメンテーター)
頑張らなければ生き残れない。努力して自分を追い込む姿勢はカッコいい。しかし人間はムキになった瞬間に醜くなる。それをそのまま描いてるからこそ引き込まれる。オンナの様々な気持ちが激しく溢れ出る1本!そしてまた生きるために漕ぎ続ける…
ビニールタッキー(映画宣伝ウォッチャー)
勝利への執着、たゆまぬ努力、困難に挑むチャレンジ精神。これらの明るく前向きなフレーズが異常な執着心と極限まで自分を追い込む精神によってダークに染め上げられていく。鬼気迫る演技と圧倒的な存在感のイザベル・ファーマンから目が離せない。
春日太一(映画史・時代劇研究家)
そこまで頑張る必要がないのに、頑張り過ぎて自身を追い込んでしまう主人公。周囲からの「リラックス!」という叫びは、呪いのような上昇志向に囚われた我々現代人への呼びかけにも聞こえる。そんな声を無視してわが道を貫く主人公の姿は、痛快にすら映った。
樋口毅宏(作家)
「純粋な狂気」を宿した「青春映画」を黙殺するな!安易な共感を拒否する、「天才あるある」系名画。
高橋諭治(映画ライター)
この映画は恐るべき18歳の少女のポートレートだ。内なる狂気に駆られるかのように、または悪魔に憑かれたかのように、自分自身の限界超えに挑み続けるその姿に身震いせずにいられない。
ナマニク(文筆業 / 映画評論家)
軀も心も友情も引き千切り、赤剥けた手でオールを漕ぐ……。自己破壊的な執念に畏怖を覚え、破壊による自己発見に光を感じる。『ノーヴィス』は“一番になる”本当の意味を教えてくれた。
『ノーヴィス』は11月1日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、シネマート新宿ほか全国ロードショー