猫が『足』を噛んでくるのはなぜ?考えられる5つの理由 やめさせるための対応策も
猫が飼い主を噛むのはなぜ?
飼い主さんは猫の習性を理解した上で、猫に適した環境や暮らし方を提供する必要があります。少なくとも猫の心身の健康を維持したいのであれば、猫の「狩りをする」「縄張りや自分を守る」「要求を叶える」といった欲求を満たすことが必要です。
猫は、これらの欲求を満たすためにしばしば「飼い主の足に噛み付く」ことがあります。まずはその理由を明確にした上で、やめさせるための対応策を考えましょう。
猫が飼い主の『足』を噛んでくる理由
1.反射的に反応した
動物学者たちの研究により、猫は嗅覚や聴覚、視覚によって飼い主さんをきちんと見分け、自分にとって特別な関係であることを認識していることが分かっています。
そのため、猫が反射的に飼い主さんの足に噛み付いたときも、ちゃんと飼い主さんだと分かっていると考えられています。それなのに、何故飼い主さんの足に噛み付くのかというと、足の動きが狩りの獲物とよく似た動きをしていたからです。
小動物程度の大きさで、パタパタと忙しなく目の前を通り過ぎる飼い主さんの足を見て、狩猟本能が湧き上がり反射的に飛びついて噛み付いてしまったのだと考えられます。
2.飼い主の手足はおもちゃだと思っている
すべての猫にとって、遊びは狩りでおもちゃは獲物です。そしてごく一部の猫は、飼い主さんの手足はおもちゃと同じだと思っています。なぜなら、子猫の頃から飼い主さんが自分の手や足を使って一緒に遊んでいたからです。子猫に噛まれても痛くないため、甘噛みを許して遊び続ける飼い主さんが多いのです。
飼い猫は、成長しても子猫と同じように遊びます。愛猫に噛み癖をつけないためには、たとえ痛くなくても、手や足にじゃれつかせず必ずおもちゃで遊ぶように習慣づけましょう。
3.足を噛むことに特別な意味をみつけた
中には、飼い主さんの足を噛むことに特別な意味があると思っている猫もいます。例えば、飼い主さんを起こすためには足に噛み付くのが一番効果的であるとか、ご飯の催促に最も有効な手段は足を噛むことだ、というような具合です。
これらの思い込みは、すべて過去の経験に基づいています。猫は経験から日々学習し、最も効果的な方法をみつけて飼い主さんとコミュニケーションを図っているからです。
4.身を守る
猫は足音も立てずに近づいてくるため、足元の猫に気づかず、うっかり蹴飛ばしたり尻尾を踏んだりすることがあります。そんなときには、猫が自分の身を守るために危害を加えた足に噛み付くこともあるでしょう。
5.たまたま目の前に足があった
人と同じように、猫も全く関係のない第三者に八つ当たりをすることがあります。
上がれると思っていたテーブルに上がれず滑り落ちた、おもちゃが入っている棚の扉を開けられなかったなど気に入らないことがあったとき、たまたま目の前を飼い主さんが通り過ぎたとしたら、目の前の足に八つ当たりで噛み付くかもしれません。
猫が『足』を噛むのをやめさせるための対応策
噛み付かれたら騒がず黙って部屋を出る
足に限らず、噛み付かれたときに大きな声を出したり、叱りつけたりするのは良策とはいえません。猫が「かまってくれた」とか「一緒に遊んでくれた」と誤解をし、遊びたいときに噛み付くように学習してしまうことが多いからです。
噛み付かれたら、騒がず静かにそっと部屋を出ましょう。猫だけを残し、20〜30分程度別の部屋で過ごしてください。この対応を何度か繰り返せば、足などに噛み付いても自分の要求は叶わないことを学習するでしょう。
毎日一緒におもちゃで狩猟本能を満たす遊びをする
獲物のように見える飼い主さんの足を見ても落ち着いていられるように、日頃から一緒におもちゃで「狩りごっこ」をして遊びましょう。それだけで、十分に狩猟欲求を満たしてあげられます。
1回の狩りごっこは、長くても15分程度で構いません。猫が捕まえたおもちゃに噛み付いたり蹴りを入れたりして、捕まえた実感を味わった後にいつもの食事を与えるようにすると、より充実感が増すでしょう。
猫専用の居場所を複数作る
飼い猫にとっての縄張りは家の中です。しかし、その縄張りは猫だけのものではありません。飼い主さんやそのご家族、場合によっては同居している他の動物たちとも共有しています。
そこで、家の中にその猫だけの居場所を複数作ってあげましょう。季節や時間帯により、居心地の良い場所は変わります。それらの居心地の良い場所に、猫用の寝床やクッション、ブランケットなどを置いてあげるのです。
クレートや段ボール箱など、猫の体にジャストフィットした狭くて薄暗い隠れ家もいくつか用意しましょう。来客時などに、猫が逃げ込める場所にするためです。猫が隠れているときは決してちょっかいを出さず、安全な場所だと思わせてください。
さらに、部屋全体を見渡せるような高い場所や、外を見渡せる窓辺にも居場所を作りましょう。猫が縄張りの内外を見渡せる、絶好の見張り台になるでしょう。
まとめ
猫のしつけは、してほしくないことができない環境を作り、してほしいことをしたときに褒めることで行います。その際に気をつけたいのが、我慢させるだけではだめだということです。
今回の対応策でいうと、噛み付かれたときに黙って部屋を出るだけではなく、食事前の狩りごっこや見張り台、隠れ家などを含む猫専用の場所を作り、満たされ安心して過ごせる環境や暮らし方の提供も、並行して必要だということです。