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池袋駅の隣の「雑司が谷駅」には何がある?【住みたい街の隣も住みよい街だ】

さんたつ

001隣の街も住みよい

東京都豊島区随一のターミナル駅、池袋駅。都内どこへ行くにもアクセス抜群、遊ぶにも食事するにも買い物するにも、なんでも揃っていてとてもにぎやかな街だ。しかしその隣駅はどんな駅なのだろう?ということで、【住みたい街の隣も住みよい街だ】第6回は池袋駅の隣駅、地下鉄副都心線「雑司が谷駅」周辺を散策します!

キアズマ珈琲

地元の人に聞いた「都電が走り風情ある街」

2008年に開通した地下鉄副都心線「雑司が谷(ぞうしがや)駅」。

駅を出ると、まずとても静かだった。池袋駅はすぐそこのはずなのに、閑静な住宅地といった雰囲気。高い建物はなく空は広い。

池袋方面を見ると高層ビルが見える。分かりやすい!

すぐ近くの商店街には和菓子屋さんや喫茶店、薬局などがポツポツと並んでいる。

大塚で大人気のおにぎり屋さんの流れをくむ『おにぎり・とん汁 山太郎』は、これまた行列ができるほど人気で、平日の昼でも程々に人がいた。

駅近くの鬼子母神通り商店睦会。

買い物袋を下げた地元の方らしきお兄さんに声をかけ聞いてみる。住みやすさってどうですか?

後に声をかけた地元の方の話も一緒にまとめると、以下のような感想だった。

・なんと言っても池袋に歩いて行きやすい
・都電が通っていて風情がある、コンパクトな街
・サンシャインシティの前の『西友』も使える(なお『サンシャイン西友』という店名だ。『西友』界で一番カッコいい店名じゃないか?)
・鬼子母神(きしもじん)周辺や雑司が谷公園、雑司ケ谷霊園など緑も多い
・都電は大塚駅などに行けて便利(平日の朝夕ラッシュ時は3~5分間隔、日中は6~7分間隔と本数が多い)
・地下鉄有楽町線の東池袋駅も使える

雑司が谷駅前には都電荒川線(愛称「東京さくらトラム」)も通っている。今はこんなにカラフルなのか! なお線路の下に道路を通す工事中だそうだ。

そうなのだ、雑司が谷駅のすぐ近くには都電荒川線の停留場「鬼子母神前」がある。こちらは大正14年(1925)に開設されたとのことで雑司が谷駅の大先輩だ。

都電荒川線は東京に残る唯一の路面電車で、沿線には桜やバラなど花の見どころや、歴史・文化に触れられる名所旧跡がたくさんあるそうだ。

うわ~、散歩好きには魅力的だ!

鬼子母神堂に向かう参道のケヤキ並木。古いものだと樹齢400年になるそう。
明治44年(1911)当時の写真があった。ケヤキたちよ、よく無事で残ったなあ。
安産・子育ての神として信仰されている鬼子母神堂。境内には何と江戸時代から続いている駄菓子屋さんがあって楽しい。

お次は先ほどのお兄さんに教えてもらった雑司が谷公園に向かってみることに。

備蓄倉庫など災害対策を兼ね備えた「雑司が谷公園」

行ってみると、新しめのきれいな広場だった。2020年にリニューアルしたばかりで、小学校の跡地だそうだ。集会施設を備えたテラスもあり、お弁当を広げのんびりしている人や、習い事をしている人もいた。

芝生が広がり寝転がりたくなる公園。テニスやフットサルができるコートも。
ボルダリングもある。

施設の方に声をかけてみると、元々この辺に住んでいた方で「雰囲気がよくて大好きな街!」と即答していた。

昔は都電しかなかったけど、雑司が谷駅ができて終電時間が延びたことで便利になり、さらに住みやすいとのこと。

ただ、この辺りは住宅密集地なので火災などが起きたとき心配。そこで災害が起こった時のために、この公園には備蓄倉庫やソーラーパネルによる蓄電など、防災施設が備わっており避難所としても使えるようになっているのだという。

近所にこういった施設があったらとても心強い。

人が集まるコミュニティの場でもあり、災害対策も兼ね備えた公園だった。

「雑二ストアー」と商店街の趣がたまらない

公園の施設の方に「雑ニ(ぞうに)ストアー」見に行ってみるといいよと教えてもらった。かつて多くのお店がひしめき、かなりのにぎわいを見せた商店街の名残が見られるという。

ぞうに……? ごった煮みたいにごちゃごちゃしてるってこと? と思ったが、どうやら「雑司が谷2丁目」の略だ。

唐突に、はっきりと「雑二ストアー」を見つけられてテンション上がる。
かつてはこの通りの両サイドにお店がひしめき合っていたのだ。
このアーケードは、今はすべてシャッターが下りている。ほんの短い通りだけど、とんでもなく趣のあるスポットだった。

アーケードを抜けた先には雑司が谷弦巻通りがあり、昔ながらのお店がいくつか残っている。

なかでも、お総菜が買える『いせや食料品店』は昔ながらの外観や、気軽に立ち寄れる雰囲気がとてもいい。創業してちょうど100年経ったという。

お店のお母さんが活況だった商店街の当時の様子を教えてくれた。
6の付く日は特売日(ちょうどこの日は6日だった)。この商店街の昔からのお決まりだそうだ。
お総菜を買って公園でいただいた。上品でおいしい!

『いせや食料品店』のお母さんの話によると、昔は商店が100店ほどあったという。散策すると今でもパン屋さんやお肉屋さん、魚屋さんなどが残っていて買い物に便利そうだ。

メンチカツが名物のお肉屋さん。食べたかったが残念ながらちょうど売り切れてた。
ひっきりなしに買い物客が入っていくお魚屋さん。

銭湯の面影と香りを残す『まいばすけっと』

商店街をのんびり散策していると、いまどき珍しく下駄を履いている若い男性とすれ違った。と同時に石鹸のような香りがする。銭湯帰りか⁉

商店街の風情もあいまって、ついそんな昭和の光景を想像をしてしまう。でも、さっきの『いせや食料品店』のお母さんが「銭湯がなくなっちゃった」と寂しがっていたし、気のせいか……。と思ったら、このまいばすけっと、よく見たら元銭湯だ!

2021年に閉業した「高砂湯」の跡地にできた『まいばすけっと』。よく見ると左にコインランドリーが残ってる!

石鹸の香りはコインランドリーから漂ってきた洗剤の香りだったのだ。銭湯好きとしては銭湯が減っていることは残念でならないが、スーパーが入ったのは住民にとっては助かるだろうな。

しかも建て直しではなく、タイルの外観など銭湯の面影がちゃんと残っているのがいい。

贅沢な時間が過ごせる洋風建築とカフェ

商店街がある弦巻通りは、緩やかに蛇行している。どうやら昔は川だったそうで、つまりは低地にある。

横道にそれて坂を上っていくと、豊島区内に現存する最古の近代木造洋風建築があるというので見に行ってみることにした。

白線がほぼ真ん中にある狭い通り。坂を上っていく。

『雑司が谷旧宣教師館』という洋館だ。明治40年(1907)にアメリカ人宣教師のマッケーレブ氏が建てた住居で、無料で見ることができる。

カーペンターゴシック様式という、木造で作られた装飾豊かなゴシック建築。シンプルなようでいてよく見ると意匠にこだわりを見ることができる。

19世紀後半のアメリカ郊外住宅の特色を写した住居。今ではスタバで見られる白と緑の配色。当時の日本では珍しかったそう。
玄関ポーチの方杖(斜めに補強されている棒部分)や、窓の装飾にも特徴的なデザインが見られる。
暖炉などは館の中央に集まり、周りはガラス張りで光がたくさん入って気持ちいい。

布教活動だけでなく、幼児教育の拠点として地域の人たちに記憶されているため、今でも大事に残されているのだそうだ。

庭園もきれいに整備されていてとても癒やされる。池袋駅周辺のにぎやかさとはほど遠い静けさ、ゆっくりと贅沢な時間を過ごせる場所だった。

最後の締めに、鬼子母神の参道(ケヤキ並木のところ)で見つけたカフェ『キアズマ珈琲』さんへ。
控えめな看板。

センスのいいインテリア、少し薄暗く、ジャズが流れる店内。若い時はこういう、まさに大人のためのカフェ、という感じに少し緊張していたものだけど今は落ち着く。散歩の締めにはぴったりだった。

本がたくさん並び、とても落ち着けるカフェでした。

キアズマ珈琲
住所:東京都豊島区雑司が谷3-19-5/営業時間:10:30~19:00/定休日:水/アクセス:地下鉄副都心線雑司が谷駅からすぐ

こんな感じで雑司が谷の散策は終了。池袋駅にすぐ歩いて行ける場所に、こんなに落ち着けるエリアがあるんだなあ。いや、どの街にもそういうエリアはある気はするけど、実際歩いてみないとわからなすぎる。

住宅密集地だからこその防災に特化した公園施設があることや、趣いっぱいの「雑ニストアー」の看板を見つけた時のワクワク、6が付く日で特売で買えたお総菜、石鹸の香りがする「まいばすけっと」など、そこに行かないと感じられないちょっとした発見が本当に楽しい。

さて、次はどの駅の「隣」に散歩しにいこうか。

取材・文=小堺丸子

※雑司ヶ谷鬼子母神堂の「鬼」の文字は一画目の点のないものが正当。

小堺丸子
ライター/ビル毛収集家
東京都葛飾区生まれ。上野・浅草あたりが庭。視点をちょっとずらした企画や、ガイドブックには載らないだろう地元の人ならではのプチ情報を取材するのが好きです。人にすぐ声をかけがちで、偶然出会った人が記事によく出てくるのが特徴です。趣味はビル毛集め(https://san-tatsu.jp/articles/294153/)。お散歩ラジオも始めました(https://podcasters.spotify.com/pod/show/osanporadio)。

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