エフエム戸塚 「災害時も役割果たす」 地域密着型ラジオ局
地震が発生した時に何といってもほしいのが、「災害情報」。テレビやラジオ、SNSなどを中心に取得することになるが、マスメディアが取り扱うエリアはどうしても広範囲になる。そんな時に役に立つのが地域密着型のラジオ局だ。戸塚区、泉区などで聴けるエフエム戸塚(福原稔代表取締役)は力強い味方になるだろう。
行政とも連携
周波数83・7MHzの同局は、戸塚区内にモレラ東戸塚スタジオ(JR東戸塚駅西口前)と、サクラス戸塚スタジオ(JR戸塚駅西口・サクラス戸塚内)を持つ。編成方針には自らを「危機管理メディア」と位置付け。災害時に緊急放送を発信する責務を果たすため、日頃から地域との関係性を重視し、住民に寄り添った番組制作を常に心がけているという。
また、行政との連携を積極的に推進。災害時などの相互協力に関する協定を戸塚区(2009年)、泉区(18年)、栄区(17年)と締結している。このほか、戸塚・泉・栄各警察署などと情報提供の覚書も交わしている。
安心感与えたい
発災時の同局の対応は以下になるという。▽震度5弱以上の地震が発生した場合、社員と社員の身近な人の安全を確認▽パーソナリティーに放送に携われるか否か一斉に確認▽状況に応じて緊急放送に番組が変更となる。
同局の藤芳祥子さんは「まず第一にリスナーに対し、命の安全を守るように伝えたい。同時に、安心感も与えたい」と話す。協定に沿った形で行政と連携を取りつつ、常日頃から関係を構築している地元住民と可能な範囲で連絡を取りながら、戸塚区や泉区内の被害状況を発信。安否確認などより細やかな災害時対応を念頭に置いている。
また、戸塚駅、東戸塚駅そばにスタジオを開設していることから、帰宅困難者に向け、交通情報や「一時滞在施設」などを紹介していく方針だ。
「人員を見ながら24時間体制で放送ができれば。発災後すぐは難しいが、現場に取材に行き、現況をリスナーに伝えたていきたい」と意気込みを語る。
3・11も活動
未曽有の被害をもたらした東日本大震災から今年で14年。2011年3月11日、同局の取り組みを本紙2011年4月7日号はこう伝えている。
「戸塚区内でも震度4を記録した3月11日、同局では地震発生直後から午後10時頃まで緊急放送を続けた。余震や停電の情報、スタッフを区内に配置してのレポートなど、戸塚区内に焦点をあてた」
同局では「コミュニティー放送局の最大の使命は発災時の災害情報を的確に発信していくこと。責任を果たしていきたい」とする。