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「ゴミが無い釣り場にゴミは捨てられにくい!」あなたがゴミを拾うことで始まるプラスの連鎖とは?

TSURINEWS

美しい海の風景(提供:TSURINEWSライター井上海生)

海やその他の釣り場は、多くの釣りアングラーにとって、自然の中でリラックスできる貴重な空間である。しかし、近年では釣り場の環境が悪化し、ゴミが散乱しているケースが増えている。美しい自然環境が損なわれる中、一日一善の心がけで、釣り場でゴミを拾うことの有意性を考えてみよう。一人ひとりの美化の心がけで、単に環境を保護するだけでなく、地域社会にも良い効果を与えられるはずだ。

一日一善で目に見えて景観改善

釣り人がゴミを拾うことにより、釣り場の景観が改善され、清潔な環境が維持されると、他の人々もその影響を受けてゴミを捨てにくくなる。沿岸の釣り場全体の美観が保たれると、自然に、ゴミのポイ捨ては不適切だというムードが漂う。そうなれば、釣り場からはもうゴミが増えることはないはずだ。

見えるゴミひとつを拾っていこう(提供:TSURINEWSライター井上海生)

たとえば、「1日10人がゴミを拾う」という行動が続けば、年間で3650個のゴミが減ることになる。これは、アングラー以外にもその周辺を訪れる人々にとって実際に「目に見える景観改善」となり、さらに美化の意識が広がる可能性がある。このような善意の循環により、美しい海を守っていきたい。

「割れ窓理論」で美観が維持?

「割れ窓理論」という社会心理学の理論がある。この理論は、「環境が乱れた状態に放置されると、それがさらなる悪化を招く」というものだ。具体的には、ガラス窓が割れたまま放置されていると、周囲の人々はそれを無視して次々と悪化させていくという現象、その繰り返し……。

この考え方をもとに、「割れた窓を修復しよう」という治安改善運動が、かつてアメリカで実際に取り組まれた例がある。地域の建物群の、割れた窓を一つひとつ修復し、美観を保ち続ける――そうして再生された新しい眺めの街の中では、清潔感と緊張感あるムードが保たれ、犯罪が起こりにくくなる。

きれいな釣り場にはゴミが捨てられない(提供:TSURINEWSライター井上海生)

この割れ窓理論を、釣り場にも適用したい。ゴミを放置することが当たり前の状態では、さらにゴミを捨てる輩が増える可能性があるが、逆にゴミがきれいに片付けられた状態が維持されることで、捨てにくい雰囲気が生まれる。釣り場が清潔な状態が保たれることで、さらにゴミが散らばりにくくなるという効果が期待できるのだ。

釣り場が拡がる可能性も

釣り場でゴミを拾う行動は、地域住民や他の利用者に良い印象を与え、釣り場への理解と支援を得やすくする。これが地域社会にもポジティブな影響を及ぼし、年々縮小されがちな釣り場の保護や拡大にもつながるかもしれない。

沿岸の釣り場はコロナ禍の中でさらに荒らされ、はては釣りものが白い目で見られがちな雰囲気すらある。アングラーたちには、自分の趣味と環境を守るために、善意ある立ち振る舞いが求められる。ゴミを拾うことで、釣り場の美しさや利用性が守られ、次の世代にもその環境を引き継ぐことができる。

釣り場の未来を守るために

釣り場の環境が年々悪化している現状において、釣り場でゴミを出さないという意識を高く持つことはもちろん、進んでゴミを拾おうとすることは、未来の釣り場を守るための重要な活動だ。自分たちの世代だけが釣りができればいいのではない。次の世代へと美しい自然環境を引き継いでいくためにも、一人ひとりができることから始めていきたい。

魚釣りを未来へつなごう(提供:TSURINEWSライター井上海生)

ちなみに今のペースでゴミが増え続けていくと、近い将来に、海の生物の量よりも海中ゴミの量が上回るという悲しい未来予測もある。ウミガメなどは、レジ袋をクラゲと間違えて誤食し、窒息死してしまう例もあるようだ。まずは陸上から、自分がゴミを出すことはしない、そして小さな善意的心がけとして、目に見えているゴミを拾う。そのように沿岸を美化していけば、海中ゴミもだんだんと少なくなっていくだろう。いつまでも楽しく遊んでくれる魚たちを守るためにも、ひとつ頭においておきたい。

<井上海生/TSURINEWSライター>

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