月探索の未来!各国が協力している「アルテミス計画」とは?【眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話】
着々と進むアルテミス計画
アルテミス計画第1弾(アルテミス1)として、2022年にNASAの有人宇宙船「オリオン」が、無人飛行で月面に近づき、深宇宙環境での点検が行われました。オリオン宇宙船はアルテミス計画や、将来の火星探査も想定してNASAが開発した有人宇宙船です。この飛行により、オリオンは地球から26万8563マイル(約43万2210キロメートル)のポイントに到達し、有人飛行用に設計された宇宙船が到達した最遠距離を記録しています。
2024年5月に予定されているアルテミス計画第2弾(アルテミス2)では、その後新たに開発が加えられたオリオンにNASAの宇宙飛行士3名と、CSAの宇宙飛行士1名の計4名を載せ、月周回飛行を行う予定です。アルテミス計画第3弾(アルテミス3)は、初の女性と白人ではない人種の2名の宇宙飛行士を月面に着陸させ、長期的な月探査を行う予定となっています。しかし、予算の問題や技術開発の遅れに加え、2019年ごろからはじまった新型コロナウイルス感染拡大により、2025年の実現を目指していたこの計画ですが、2026年以降になる公算が高いといわれています。いずれにせよ、もしこの計画が実現できたら、月面に人が降り立つのは、アポロ計画以降約50年ぶりとなります。
日本は2019年10月、アルテミス計画への参加を表明しました。アルテミス計画において日本は、ゲートウェイ居住棟などへの機器の提供およびゲートウェイへの物資補給を担当することが決まっています。また、探査機が取得した月面データの共有、有人与圧ローバの開発など、将来の有人月面着陸や持続的な月面探査の実現に向けた準備を進めています。
月資源への注目は世界的なものとなっていて、アルテミス計画以外にも、中国、インド、ロシアなどが月探査をしたり、中東が宇宙開発投資を行ったりと、月への探査や開発に世界が熱くなっています。このようなことから、いよいよ宇宙探査の新時代が幕あけしたといってよいでしょう。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』 著:渡部潤一