相模原市 下水道破損 警戒高まる 20年後、5割が耐用年数超え
これまで指摘されてきた下水道施設の老朽化問題が改めて浮き彫りに――。相模原市は2月4日、埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け、下水道施設の緊急点検を開始した。相模原市内に埋設される下水道施設は他都市に比べ比較的新しいとされるが、今後20年で5割が耐用年数を超過する。喫緊の課題にどう対応するのか、各自治体の警戒が高まっている。
1月28日に埼玉県八潮市で道路の陥没によってトラックが転落した事故は、腐食して破損した下水道管内に土砂が流れ込んだことにより、道路下に空洞ができたことが原因とみられている。
埼玉県の発表などによると、陥没現場の下水道管は直径4・75メートルのコンクリート製。1983年から使われ、さいたま市の一部や川口市の一部、春日部市など周辺の12市町から排出された汚水が流れ込んでいるという。
全国で陥没事故頻発
公共施設やインフラの老朽化は全国的な社会問題となっている。
国土交通省の資料によると、2022年度末までに整備された全国の下水道管路の延長は約49万キロで、そのうち耐用年数の50年を超過した管路は全体の7%にあたる約3万キロあるという。10年後には約19%にあたる9万キロが耐用年数を超過し、20年後には約40%にあたる20万キロに達するという。
また下水道管路に起因する道路陥没も相次いでおり、2022年度には約2600件発生したという。そのほとんどが深さ50センチ未満だった。
相模原は最大2m
相模原市内の下水道整備は1967年にJR相模原駅周辺を中心に着手された。その後、77年から99年までの間を建設のピークとして整備が進み、2023年度末時点で整備総延長は約2900キロに及ぶ。
相模原市の23年度下水道事業報告書によると、法定耐用年数50年を超過した管きょの延長の割合を示す管きょ老朽化率は4・54%で全国平均の7%を下回っている。ただ建設が特定の時期に集中しているため、今後20年間で老朽化率は50%に及ぶという。
相模原市は下水処理場を有していないため、神奈川県と相模川流域の12市町で運営する「相模川流域下水道事業」に参画し、市内で発生する汚水を左岸幹線と座間海老名幹線で茅ヶ崎市内にある柳島水再生センターまで運んでいる。
市下水道保全課の担当者によると、「相模原市は上流域にあたるため、今回の事故現場のような大規模な下水道管路はない」として、市内で最大の管径は2メートルで南区内に1路線3キロが埋設されているという。
緊急点検を開始
相模原市では2月4日、この事故を受けて要経過観察箇所の再点検と管径2メートルの下水道管の点検を開始した。2月中をめどに埋設された地上部のたわみやマンホールの沈下などを点検し、汚水管についてはマンホール内からの目視点検や写真撮影を行うとしている。