エフェソス(トルコ)を訪ねて~作家・秋山秀一「旅の記憶(29)」
訪れた国や地域90以上、海外への旅は223回。旅行作家の秋山秀一さんが、自身で撮影した写真とともに、世界の街を歩いた思い出をつづります。
秋山秀一さん 旅行作家、元東京成徳大学教授、NHK文化センター講師。日本エッセイスト・クラブ常務理事、日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。『鎌ケ谷 まち歩きの楽しみ』『世界観光事情 まち歩きの楽しみ』『ウクライナとモルドバ』など著書多数。鎌ケ谷市在住。鎌ケ谷市国際交流協会(KIFA)会長、鎌ケ谷市都市計画審議会会長。
古代世界の七不思議 アルテミス神殿
ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの時代、トルコ南西部のエフェソスはアレクサンドリア(エジプト)に次いで、東地中海で2番目の都市だった。
エジプトのピラミッドなど、「古代世界の七不思議」のひとつに数えられるアルテミス神殿。
この神殿を中心に繁栄した古代都市がエフェソスだ。
その規模はアテネのパルテノン神殿がすっぽり収まるほど壮大だったが、現在、アルテミス神殿の跡には土台と1本の円柱だけが立っている。
ローマ帝国の名残を留める遺跡内を歩く
南の入り口から遺跡内に入り、石畳の道を西へ歩いていく。
左手の広場は上のアゴラで、右手の劇場のような建物がオデオンである。
さらに通りを西へ歩いていくと、右に、ローマ時代末期の高名な独裁官スッラの孫でエフェソスに貢献があったメミウスの碑がある。
メミウスの碑の向かいには勝利の女神ニケのレリーフが置かれている。
その先に、ヘラクレスの門がある。
その先のトラヤヌスの泉は、2世紀初めにトラヤヌス帝に捧げられた泉で、三角のファサードが目印だ。
お次は美しい彫刻が残るアーチを持つハドリアヌス神殿。
アーチには女神ティケ、奥の正面にメドゥーサが彫られている。
遺跡全体の中心部分にあたるところに、エフェソスのシンボルともいえる壮麗な建物、ケルスス図書館が建っている。
マーブル通りを北へ歩いていくと、石畳に足形が刻まれている。
これは古代の広告にあたるものだ。(文・写真/秋山秀一)