これは “当たり” だ! 「アマハガン ウィスキーハイボール」はコンビニハイボール缶最優の一角!! スモーキー感と飲みやすさの両立
近所のファミマで酒コーナーを漁っていると、実に興味深いものを見つけた。「アマハガン ウィスキーハイボール」だ。価格は327円。
えっ、コンビニのハイボール缶でアマハガンってマジ? 一般人にどれくらい認知されているんだ……? まあ、最初からウィスキー党向けに売ってる可能性はある。
何にせよこれは試さずにはいられない。さっそく飲んでみることに。
・長濱蒸留所
アマハガンと聞いてピンとくる一般人は、滋賀県民か、普段からウィスキーを好んで飲む層の2択だろう。これは滋賀県の長濱蒸溜所が売っているウィスキーのブランドだ。
私は特にピート臭の強いウィスキーしか飲まないのだが、4年ほど前にアマハガンを知り、「アマハガン ワールドモルト エディション ピーテッド」というバージョンを飲んだのだ。
それはブレンデッドウィスキーとしてよくできていて、非常に好印象だった。初見で美味かったので、以来、私のアマハガンシリーズへの信頼は厚い。しかしコンビニのようなあらゆる人種がやってくる売り場では、ネームバリューも重要だと思う。
アマハガンは、例えばアードベッグやタリスカーなどのように、その辺のスーパーでも見かけるようなものではない。ブランド自体が新しい方なので、一般の知名度は低いと思われる。
よくわかんないという理由でスルーされるリスクもある気がするが、しかし逆に、初見勢に知ってもらうチャンスになり得るのもまた事実。この試みにはちょっとした冒険がありそう。
ちなみにアマハガンは長濱のローマ字表記を逆にしたもの。NAGAHAMAを逆から読むと、AMAHAGAN。
・7%
まずは成分をチェックしてみよう。原材料はモルト、グレーン、スピリッツ、そして炭酸。おや? スピリッツが入っているぞ。
個人的に、スピリッツが入っているハイボール缶には……外れ率が高い印象を持っている。最近レビューして美味かったハイボール缶といえば、「三郎丸蒸留所のスモーキーハイボール」。
あれは成分表にモルト、グレーン、炭酸しか書かれておらず、そこでチェック項目が1つクリアされた的な感覚がしたものだ。しかし、スピリッツが入っているからといって、常に外れというわけではないのも事実。ここで決めるのは早計だ。
度数は7%。強いとも弱いとも言い難い微妙なライン。数字だけから感じるのは、よく言えば飲みやすく、悪く言えば物足りないみたいな? なかなか惑わせてくる各種表記。
・香り
正直言うとちょっとテンションが下がり気味だが、とりあえず開けてみよう。
おっ?
おぉ……!?
んん~~~~これは上品なスモーキーフレーバー。缶のハイボールは、往々にして開栓時の香りでの勝負が苦手な気がする。そもそもプルタブ缶の形状は、香りを強調するのに特化していないしな。
だからこそ、この小さい飲み口からでもわかる要素は重要だと思うのだ。下がり気味だったテンションが急激に持ち直したぞ。
そして甘い香りも嫌味な感じが無くていい。この甘い香りの傾向も個人的にはチェックポイントだと思っている。
微妙なウィスキーは、家具の工場とかで漂っている、塗料だかが由来の、鼻孔の奥にはりつくような甘い臭いを感じるのに対し、良いウィスキーはちゃんと果物や花のような毒性を感じさせない甘い香りがしがちではなかろうか。
そして今回の甘い香りは、砂糖漬けのデーツみたいな感じだ! これは良い傾向だぞ。
・これは当たり
それではグラスに注いでみよう。これはゴリゴリに冷えた状態だが、炭酸の強度は強くも弱くもなく、普通って感じだ。
ほど良く琥珀色が出ている。美しいですね。
飲んでみると、香りの時点でわかってはいたが、ちゃんとスモーキー! しかし強烈すぎて好みが分かれるようなものではない。これは万人ウケするスモーキーレベル。
スピリッツが諸々の特徴を台無しにするのではないかと危惧していたが、杞憂だったようだ。もしかしたら元のブレンドが相当にストロングなのかもしれない。スピリッツの投入で、飲み手を選ばないクリア感を得た可能性。
そしてどちらかというと、甘口だと思う。ベッタベタに甘いわけではない。糖度レベルで言えば、恐らく白米くらい。そういう仄(ほの)かな甘さだ。
食前、食中、食後のどこで飲んでも、こいつは戦えそう。個人的にはカルディで売っている、パック入りの細切れの生ハムと合わせて飲みたい。
やや散り始めているが、お花見に持っていくなどしても良さそうだ。下手なチューハイよりも良い時間を過ごせるだろう。
今コンビニで買えるハイボール缶の中で、最優の一角だと思う。これは “当たり” だ! 超絶ドライ派なら三郎丸だが、そうでもないならこっち。
なお、温度が上がると、恐らく炭酸は弱くなり、甘みが強くなるはず。この繊細なバランスが崩れてしまいそうだ。氷とセットか、素早く飲むべきだろう。
参考リンク:長濱蒸溜所
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.