佐々木尽が挑戦する世界ウェルター級王者ノーマンJrが早くも来日、36年ぶり注目の大一番
6月19日に世界戦ラッシュの大トリ
プロボクシングの現役世界王者が7人もいる日本では毎月のように世界戦が行われているが、特に5月、6月はビッグファイトが目白押しだ。
まず5月4日(日本時間5日)に井上尚弥(大橋)がラスベガスのTモバイル・アリーナでラモン・カルデナス(アメリカ)に8回TKO勝ち。同28日には井上の同門、武居由樹がユッタポン・トンデイ(タイ)に1回TKO勝ちで2度目の防衛に成功した。
6月8日にはWBCバンタム級王者・中谷潤人(M.T)とIBF同級王者・西田凌佑(六島)による日本人同士の統一戦。世界戦ではないが、那須川天心(帝拳)のプロ7戦目もある。
そして、大トリを務めるのが佐々木尽(23=八王子中屋)だ。6月19日、東京・大田区総合体育館でWBOウェルター級王者ブライアン・ノーマン・ジュニア(24=アメリカ)に挑戦する。
王者は5日に早くも来日。外国人選手は通常、1週間から10日前の来日が多い中、2週間前に日本に到着したのは気合の表れだろう。世界的には無名に近い佐々木だが、王者に油断や慢心はなさそうだ。
国内でのウェルター級挑戦は36年ぶり
王者の圧倒的有利と予想されているにもかかわらず、この試合が注目される理由は階級にある。
リミット66.68キロのウェルター級は、ミニマム級からミドル級までの13階級で唯一、日本から世界王者が誕生していないクラス。軽量級では日本は世界トップレベルにあるものの、スピードもパワーも必要な中量級、特にスーパースターの多いウェルター級は世界挑戦すら難しい。
実際、日本人が世界ウェルター級王座に挑むのは、2009年10月にウクライナでWBAウェルター級王者ビチェスラフ・センチェンコ(ウクライナ)に判定負けした佐々木基樹(帝拳)以来16年ぶり。国内に限定すると、1989年に東京・後楽園ホールで尾崎富士雄(帝拳)がマーク・ブリーランド(アメリカ)に4回TKO負けして以来、実に36年ぶりなのだ。
佐々木の強打は通用するか
佐々木は19勝(17KO)1敗1分けのハードパンチャー。力強い左フックは世界レベルで、どんな相手でもまともに当たれば立っていられないパワーを秘める。
ただ、ディフェンス面の不安は拭えず、無敗王者のアッパーの餌食になる可能性も十分。本人と佐々木陣営以外で、佐々木の勝利を予想する人間はかなりの少数派だろう。
36年前、東洋太平洋王者で世界ランク1位だった尾崎は、ブリーランドに全く歯が立たず、無残なKO負けを喫した。佐々木が日本ボクシング史を塗り替える可能性は低いと言わざるを得ないが、世界ウェルター級王者が日本のリングに上がることだけでも価値がある。
王者が観光気分で日本を訪れ、油断してくれればつけ入る隙もあるだろうが、2週間前に来日したことを考えると過度な期待は禁物。佐々木の強打がどこまで世界に通用するのか、しないのか、湧き上がる高揚感を胸にしまい、静かにゴングを待ちたい。
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記事:SPAIA編集部