ヤクルトのドラフト補強ポイント 1位指名はポスト村上宗隆か、即戦力のエース候補か
投手陣は先発、リリーフともに改善の兆し見えず
2年連続で最下位とゲーム差なしの5位に終わったヤクルト。課題の投手陣のやりくりに苦しみ、556失点、防御率3.64はともにリーグワーストで、打線がリーグ2位の506得点と力を見せるも投打がかみ合わない苦しいシーズンとなった。
2020年からチームの指揮を執る高津臣吾監督は、今年が2年契約の最終年となっていたが、球団と新たに1年契約を結ぶことで合意。就任6年目となる来季に向けてチームの立て直しを図る。
10月24日に開催されるドラフト会議は、その来季に向けてチームの戦力を強化する最重要の場となる。本稿では、現時点で在籍する選手のポジション・年齢等の分布表から戦力を考察した上で、指名候補も含めヤクルトのドラフト補強ポイントを考えていく。
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2年ぶりの優勝を目指した今季も投手陣が振るわなかった。先発では開幕投手を務めたサイスニード、エースの小川泰弘が不調。2年目の吉村貢司郎が自身最多の9勝を挙げ、奥川恭伸が3年ぶりの復活勝利を挙げるなど明るい話題もあったが、先発防御率は4.02で12球団唯一の4点台と改善の兆しが見えない。
即戦力として期待されたドラ1ルーキー・西舘昂汰は9月にトミー・ジョン手術を受けており、来季もリハビリに多くの時間を費やすことになるだろう。質・量ともに足りていない先発陣を強化するためには、1位で即戦力投手を獲得することが必須といえる。
一方のリリーフ陣も防御率3.64はリーグワースト。大西広樹が自己最多となる60試合に登板して防御率1.34、山本大貴も自己最多44試合に登板して防御率1.42と躍進したが、田口麗斗や清水昇ら実績組の不振が誤算だった。
開幕時は先発ローテ入りしていた小澤怜史を抑えに配置転換せざるを得なくなるなど、苦しい台所事情を強いられ、最後まで勝ちパターンを確立することができなかった。先発同様、即戦力となる人材を指名しておきたい。
ポスト村上の獲得必須、外野には世代交代の波
捕手では正捕手の中村悠平が91試合でスタメンマスクをかぶり、7年目の松本直樹が自己最多の60試合に出場した一方、期待の4年目・内山壮真がケガの影響もあり、24試合の出場にとどまった。ただ、陣容としては悪くなく補強の必要性は低い。下位から育成にかけて素材の良い捕手が残っていたら指名するだけで十分だろう。
続いて内野手。一塁と三塁には絶対的レギュラーのオスナと村上宗隆が君臨しており、北村恵吾、西村瑠伊斗と期待の若手も控えている。ただ、チームの4番でもある村上が2025年オフにもメジャーへ移籍する可能性が高く、その後釜育成には緊急を要する。今ドラフトでも将来の4番候補を確保しておきたいところだ。
二遊間では23歳の長岡秀樹がショートで全試合スタメン出場を果たし、打率.288をマークするなどチームの中心的選手に成長。その一方で、二塁レギュラーの山田哲人が今季も不振から抜け出すことができなかった。29試合で先発出場した武岡龍世も打率.177と打撃で苦しんでいただけに、打撃型の選手獲得を検討しておく必要があるだろう。
外野手はレフトでサンタナが122試合に先発出場していた一方、センターは西川遥輝の53試合、ライトは丸山和郁の47試合が最多とレギュラー不在の状況。塩見泰隆が故障に苦しんだ面もあるが、42歳の青木宣親と山崎晃太朗が今季限りで現役を引退するなど世代交代の波が押し寄せている。今ドラフトではカテゴリー問わず、外野手を複数名確保しておきたい。
優先するのはエース候補?村上の後釜?
以上により、以下の3つを優先補強ポイントとして挙げたい。
1.即戦力の先発投手
2018年以降6年連続で投手を1位指名しているが、投手陣の底上げがなかなか進まない。今年も即戦力候補を1位指名する場合、その筆頭となるのが関西大の最速154キロ左腕・金丸夢斗だ。「世代最強左腕」の呼び声高い即戦力の逸材で競合必至だが、獲得できれば1年目から2桁勝利を期待できる。
また、愛知工業大の最速159キロ右腕・中村優斗を狙うのもありだろう。先発でも常時150キロ超の速球を投げ込み、スライダー、フォークのキレも抜群。新たなエース候補として1年目から先発ローテを任せられる。
2.“ポスト村上”将来の4番候補
村上の後釜を1位指名するのであれば、青学大・西川史礁外野手がその筆頭候補となるだろう。大学日本代表の4番も務めた強打者は、長打力とミート力を併せ持ち、センターを守れる守備力も兼備。1年目から外野レギュラーを張れるだけの実力は十分にある。
村上と同じサードで人選する場合は、同じく青学大の佐々木泰が候補となる。調子の波は激しいが、捉えた打球は右方向でもスタンドへ放り込める天性の長距離砲。将来の4番候補として十分な素質の持ち主だ。
3.即戦力リリーフ
リーグワースト防御率のリリーフ陣にも即戦力を1枚加えておきたい。社会人なら安定感のある竹田祐(三菱重工West)、球に力のある木下里都(KMGホールディングス)らが候補。大学生なら宮原駿介(東海大静岡キャンパス)、安徳俊(富士大)らが候補となるだろう。
※表の年齢は2024年12月31日時点
※育成選手、引退及び退団が発表された選手は含まず(10月7日時点)
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記事:SPAIA編集部