【おこ】東京のコンビニで鳥取名物『牛骨ラーメン』が売られている件について鳥取県民が全く納得していない理由
以前からたびたびお伝えしているように、私の出身地たる鳥取県中部には『牛骨ラーメン』というご当地ラーメンがある。あまりインパクトはないけど実は意外と個性的であり、それなりのポテンシャルを秘めているのでは? と個人的には感じている次第だ。
しかし鳥取県以外での知名度はイマイチ……というより、ほぼ皆無である。この状況下における鳥取県民の見解はというと「ま、仕方ないよね。だって鳥取には新幹線が通っていないし」といった具合だ。ただ粛々と運命を受け入れる……それが鳥取の県民性。
ところが!!!! そんな穏やかな鳥取県民でもさすがに黙っていられない非常事態が今、東京で勃発しているのである。どういうことかご説明しよう。
・鳥取県民、おこ
それはつい3日前のこと。いつものように近所のファミマ(都内)を訪れると、カップ麺売り場に衝撃の光景が広がっていた。
こ、これは一体…………!?!?!?!?
商品棚の一番目立つ位置に陳列されたカップ麺、その名も『鳥取ゴールド 赤』。以前の記事でご紹介したとおり『鳥取ゴールド』は牛骨ラーメンを模したインスタントラーメンである。みやげとして、また普段の食事として、鳥取県内で広く愛されている商品だ。
「それが都内のファミマで売ってるなんて朗報やん」と思った読者よ、あなたは何も分かっていない。なぜなら……
牛骨ラーメンに「赤」など存在しないのだから。
・鳥取県民、危惧する
先ほど申し上げたように牛骨ラーメンにはあまりインパクトがない。そのため牛骨ラーメンが牛骨ラーメンたりえる条件は“スープの型”が大部分を占めていると言えると思う。鳥取県内のどの店も基本の型を忠実に守っており、アレンジといってもせいぜいチャーシューを乗せるとかモヤシ増量とか、その程度だ。
従来の『鳥取ゴールド』は当然ながら “牛骨ラーメンの基本の型” を再現したものである。
そこへきて『鳥取ゴールド 赤』(3月10日発売)は「チリパウダー&ハバネロを使用したスパイシーな牛骨ラーメン」とのこと。何十年も牛骨ラーメンを食べてきたが、そんな牛骨ラーメンを見たことは一度もない。なんなら牛骨ラーメンは「日本イチ辛さと無縁のラーメン」と呼んでも過言じゃないほど優しい味がウリだ。
むろん「牛骨ラーメン界隈に新風を巻き起こそう」という熱意は評価できる。しかしながら何度も言うように、東京都民のほとんどは牛骨ラーメンそのものを知らないのだ。
この『赤』を牛骨ラーメンだと思われたら俺……納得いかねぇよォ!!!
・鳥取県民、集結する
とはいえ、私の意見が県民の総意みたいな感じになったらもっと困るので、鳥取出身の友人・N田とJ子の見解も聞いてみることにした。ちなみに『鳥取ゴールド 赤』は近所のローソンでも見かけた。謎の大売り出し中である。
N田「うわ、なんだこれ!? このビジュアルで『牛骨ラーメンだ』って気づくのは鳥取県民でも絶対に無理」
J子「これを見た東京の人は『鳥取にはこういう赤いラーメンがあるんだ』って思っちゃうよね。だって商品名に “鳥取” って入っとるもんな。鳥取には無い食べ物なのに……なんかモヤモヤするなぁ」
ホッ。幸い友人たちは私と同じ想いを抱いてくれたようである。『鳥取ゴールド 赤』はオリジナル鳥取ゴールドと同じノンフライ麺に、真っ赤な液体スープと異国臭漂うスパイスを投入すれば完成。
これで「牛骨ラーメン」と当てられる鳥取県民ゼロ人説。
・鳥取県民、困る
で、味はというと……
けっこう辛い。でも「チリパウダーとハバネロ」と聞いてデスソース系の辛さを想像していたら、思いのほか深みのある辛さである。そして、これは牛骨ラーメンを知る者にしか分からないことであるが、辛さの奥底には確かに牛骨ラーメンが “いる”。
「牛骨ラーメンをカップ麺化したものの亜種」という最低限のラインはクリアしていること、鳥取出身者としてご報告申し上げます。
N田「ケバブ屋みたいな匂いがする。俺らの知る牛骨ラーメンとは全く違うんだけど……う〜ん……あ〜、でも、目をつぶってちゃんと味わうと、たしかに牛骨感がある。鳥取で売るぶんには面白いんじゃないかな?」
J子「私には牛骨ラーメンの気配は全く分からない。けど牛骨とか関係なく、普通においしいラーメンだと思う。また食べたい」
カップ麺としては意外にもなかなか美味だった『鳥取ゴールド 赤』。「鳥取」「牛骨ラーメン」という看板を背負っているから「ちょっと待てぃ!」となるのであって、鳥取出身者一同、クオリティの部分に一切の文句はない。
つまり何が言いたいのかというと「できれば『赤』より先に『普通の鳥取ゴールド』を知ってほしかった」ってこと。なお都内のコンビニを10軒ほどパトロールした結果、3月19日現在『鳥取ゴールド 赤』の扱いがある店舗は約4割といったところだった。
『赤』を機に「牛骨ラーメン」が少しでも認知されれば、県民としてこれに勝る喜びはない。ただ何度も言うけど……コレが鳥取には存在しないラーメンだということ、覚えておいていただけると幸いです。よかったら普通の牛骨ラーメンも食べてみてね〜!
参考リンク:寿がきや
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.