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「先生と合わない」と判断する前に…効果的な支援に繋げるための伝え方【公認心理師・井上雅彦先生にきく】

LITALICO発達ナビ

「先生と合わない」と判断する前に…効果的な支援に繋げるための伝え方【公認心理師・井上雅彦先生にきく】

監修:井上雅彦

鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー

先生の得意分野もさまざま……学校での支援、どう連携していくと良い?

学校の先生の中でも、その先生の得意分野やサポートが必要なお子さんへの支援経験などはさまざまです。場合によっては、わが子の担任の先生について、「困っていることをなかなか理解してもらえない」「対応方法がうちの子に合っていない気がする」といったように感じることもあるかもしれません。

発達ナビのQ&Aコーナーでも、以下のような声が寄せられています。

特別支援教育自体が全然わかっていない先生が担任になってしまい不安です。
中度の自閉症でADHDの中3の息子は、支援級の情緒学級です。

https://h-navi.jp/qa/questions/27535

息子の担任のA先生についてなのですが、あまり発達障害の知識がなくて、子どもたちが言うことをきかないと、たびたび怒鳴ります。普段は優しく穏やかなのですが、怒ると別人で、かなり怖いです。普通学級ならそれでも良かったのかもしれないですが、支援学級では、もう少し別の指導もできるのではないかと感じていました。

https://h-navi.jp/qa/questions/159088

小学一年生の母ですが、支援学級の先生との話が噛み合わなくて悩んでます。
子どもが何となく家で言っていることで、親として少しSOSを出していると思われる事があるのに先生は例えで話としかとらえてくれなくかったり、お友だちから隠れて叩かれたり蹴られたり等している事については、お母さんの見たことではなく子どもの意見はどうなんですかと言われ嫌がっていると答えるとそれはお母さんの感じていることではと言われます。

https://h-navi.jp/qa/questions/106823

今回は、学校と連携していくときのコツについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。

経験の浅い先生に特別支援の専門性を高めてほしい……効果的な支援のための伝え方は?

A:支援の経験が少ない先生の場合には、具体的に要望を伝えると良いかもしれません。例えば、「去年こういう支援がうまくいったので、今年も最初のうちはお願いできますか?」というように、具体的な対応方法や手立てを提案しながら相談すると良いでしょう。また家庭で使用しているスケジュールなど、教材をお渡しするのも1つの方法です。

まずはお子さんが今何に困っているか、現状についての認識を先生とすり合わせます。その上で「口頭だけでなく、昨年使ったカードを今年も使っていただけますか?そのほうが、子どもも見返せるので自分でできると思います」など、できるだけ具体的な対応を相談してみると、先生も対応しやすいかもしれません。

またお子さんの特性を共通理解しやすくするためのツールを活用するという方法もあります。その1つとして、LITALICO発達特性検査があります。LITALICO発達特性検査はお子さまの特性について、背景要因と支援のアイディアがカテゴリごとに得られるものです。印刷して学校と共有することで、個別の教育支援計画の参考にしていただいたり、話し合いのときに活用したりすることができます。

担任の先生と保護者とでお話をするだけではなかなか支援が進まない、理解が得られないなどの場合、特別支援学級のほかの先生や主任教員、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラーなどを入れた複数のチームで相談を進めてもらうという方法もあります。

学校での配慮や支援は、その学校や教室の物理的環境や人的資源によっても変わってきます。チーム体制で話し合うことで、お子さんを取り巻く環境の中での実行可能な手立てが見つかりやすくなるかもしれません。

まとめ:学校での支援事例を参考にしてみよう

保護者が学校での支援についていろいろな事例を知ることも、わが子に合う支援を見つけていくことに役立つかもしれません。国立特別支援教育総合研究所による支援例なども参考にしてみても良いでしょう。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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