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【吉川弘文館「本郷」第178号】「文化財」としてのシズオカの酒。静岡県が「吟醸王国」になった理由は

アットエス

静岡新聞論説委員がお届けするアートやカルチャーに関するコラム。今回は2025年7月1日に発行(表4表記)された吉川弘文館のPR誌「本郷」第178号を題材に。

奇数月発行の同誌。昨年9月発行の第173号から筆者が寄稿している。「文化財取材日記」というお題が与えられ、静岡県内の「食の文化財」とも言うべき「酒造り」をテーマに書いてきた。全6回の約束だったので、今回が最終回である。

1986年の全国新酒鑑評会で静岡県の17蔵が入賞し、そのうち10蔵が金賞に輝いた。快挙に貢献したのが、静岡県工業試験場、現在の静岡県工業技術研究所沼津工業技術支援センターが開発した「静岡酵母」である。筆者はまだ未成年だったこともあり、当時のことは全く覚えていない。だが、もし今、同じ結果が出たら震えるほど感動するだろう。各蔵がそれぞれに品質改善に努めた結果だろうが、静岡酵母の認知度も飛躍的に高まった。

静岡酵母の香りの説明として「バナナやメロンのよう」という形容がある。確かにそうだ。ただ、重要なのは香りの強さがちょうどいいことである。強すぎず、弱すぎもせず。杯を鼻に近づけると「ほんのり」香る。まさに鼻腔をくすぐる、というヤツだ。食欲がそそられる。

今回の記事では、他県では見られない、行政機関が県内の蔵元と連携してオリジナルの清酒酵母を生み出す取り組みの過程を追った。あまり知られていないが、「静岡酵母」は代を重ねている。初代は今から50年ほど前に見いだされた普通酒用「SY-103」と純米酒用「NO-2」だった。最新の「HD-101」は7代目だという。

現在、「8代目」の開発プロジェクトが進んでいる。2024年5~7月に実施したクラウドファンティングでは目標金額の2倍に当たる約200万円が集まった。「静岡酵母」の未来に今、全国の日本酒ファンから熱い視線が注がれている。

(は)

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