国の税収5年連続で最高を記録 税収の上振れは政治的に不都合?
7月1日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、上がり続ける国の税収について意見を交わした。
“税収の上振れ”という政治的にやっかいなものを財務省はつぶしたい
2024年度の国の一般会計税収が75.2兆円程度となり、5年連続で過去最高を更新したことが分かった。見込み額からの上振れ幅は約1.8兆円となる。企業業績が好調で法人税が伸びた。消費の拡大や物価高を背景に、消費税も拡大した。賃上げの効果で所得税も堅調だった。
財務省が近く公表する。24年度の税収は補正予算を編成した昨年11月時点では73兆4350億円と見込んでいた。23年度の税収は72兆761億円だった。
(寺島アナ)「過去最高を更新した税収の伸びということですが、田中さん、これはどう受け止めてらっしゃいますか?」
(田中氏)「要するに“税金の取りすぎ”だと思うんです。そこに岸田政権のときの定額給付金による所得税の落ち込みが入っているはずなんですが……。たしかに伸びは減速していますけど、堅調に推移しているわけですよね。それだけ経済が名目の金額としては膨らんできている、ということです。それだけ見ると明るいですが、国民からお金を取りすぎている結果、消費の低迷という形で経済が安定しきれていない状況で、世界経済のトランプ関税の中に日本号は船出しているわけです」
田中氏は税収の上振れについて注意すべき点があると指摘。
(田中氏)「注意すべきなのは、今年度予算の規模について。財務省としては税収の上振れについて認めたくないわけです。今の私のように“税収の上振れがあるから税金の取りすぎである”と財務省批判がありますので。今年度予算の規模は歳入が78兆円くらい税収増を見込んでいるんです。昨年度に比べて9兆円くらい多く見込んでいて、その内の大部分は国債の消化にまわります。つまり税収の見積もりをできるだけ大きくすることによって税収の上振れを抑えて、実際の予算には“国債の消化”という実際にはやらなくても良いようなことにお金をまわすということです」
田中氏は2025年度の税収の上振れについて予測。
(田中氏)「2025年度の税収の上振れは、あまり無いような気がしますね。経済自体が落ち込む可能性があり、なおかつ今年度の予算規模をできるだけ増やしていますので。“税収の上振れ”という政治的にやっかいなものを財務省はつぶしたい。“補正予算をやる”といっても昨年度の税収の上振れ部分でやりますから。来年度の税収の上振れをできるだけ抑えてしまうので、ひょっとしたら無い可能性もありますね」
〈出典〉
24年度の国の税収75.2兆円、5年連続で最高 企業業績が好調 | 日本経済新聞