女性ばかりの職場でも無理解だった…。「妊娠してすみません」という空気
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ライターの“セイコ”です。42歳のとき、派遣社員として忙しく仕事をこなしていたなか、新しい命を授かりました。派遣という立場上、退職は覚悟した上で、自ら望んでの妊娠でした。
派遣、シフト制の職場で高齢妊娠の選択肢は退職のみ
当時の私の仕事の内容としては、問い合わせ対応窓口のテレフォンオペレーター業務で、最終取りまとめの男性社員1名以外は、全員女性の職場。
座り仕事ということもあり、正社員の産休ほどではないにしても、ある程度出産の近くまで働いてから辞めたいと考えていました。しかし、会社はそれを良しとするような環境ではありませんでした。急な体調変化の可能性を考えると、残業シフトに参加させることが困難という判断により、退職を告げられました。
「高齢初産ですし、お体をお大事に」という上司の言葉で会社を去ったのは、まだ妊娠4ヶ月になるかならないかのときでした。
女性の職場といっても理解が得られるわけではない
妊娠・出産・育児を経験している女性と未経験の女性では、ずいぶんと妊娠に対しての理解に差があるものだと感じます。私自身も例外ではなく、妊娠や出産を経験する前と後では、その理解に雲泥の差があり、今思うと反省することばかりです。
直属の上司は全員女性で、1人は若い正社員。ほかに経験の長い独身の契約社員と20歳のころ出産し、その後に社会復帰して現在は子どもも中学生になっている契約社員の3人でした。そして派遣会社の担当者も未婚の若い女性。すべて女性でありながら、働きながらの妊娠と出産を経験している人が皆無という状況だったのです。
そんななか、高齢で独身だった私が突然妊娠しても、心から祝福し、仕事との両立を応援してくれるような雰囲気はまるでありませんでした。
幸い、つわりは軽い方だったので、初期に少し出血があり4日間欠勤した以外は休まずに出勤しました。それでも、早く代わりの人員を募集したいという雰囲気を感じずにはいられませんでした。
感じてしまう「妊娠してすみません」という空気
職場の人に妊娠を告げると、「おめでとう」という言葉の裏に「人手が計算できなくて困ったな」という思いが感じられました。とりたててそれを隠そうともしない職場だったと思います。世間一般的にこのような会社の方が多いのかもしれません。高齢妊娠だったこともあり、「本当に妊娠してすみません」というしかありませんでした。
「派遣社員である以上、契約どおりのことが遂行できない場合は、やはり退職すべきであろう」という意見は私もそう思うし、もっともだと思います。しかし、妊娠が理由で欠勤をされるとシフトの組み直しが面倒という、隠れた理由が裏にあったのを感じました。
妊娠したことで「何かあったら面倒だな」と思われ、早々に退職を勧められたように感じずにはいられませんでした。非常に悔しく、残念でした。
私が本当に優秀で、有能な人間なら、このような扱いはされなかったのでしょうか。モヤモヤとした気持ちのままハローワークにしばらく通いました。失業保険を受給するためではなく、職を探す目的で!
でも妊娠中に新しい仕事につくことは、夢のまた夢でした。
妊娠・出産・育児はワンセットです。私自身、経験を通して、女性が妊娠、出産を経て働くことの難しさを痛感しました。妊娠による本人の体調不良や育児における子どもの体調不良…、当たり前のことなのに、現状ではまだまた迷惑なものとして認識されているように感じます。妊娠中や育児中の女性が働きやすい職場環境…。そこには、まだ多くの課題があると思いました。
[ セイコ * プロフィール]
年齢的にも娘1人かと思っていたら、まさかの2人目を授かり、現在5歳と3歳の姉妹を育児中です。仕事も育児も試行錯誤の日々。在宅にて広告マンガ制作やライティング、ときどき動画制作などをしています。
※この記事は個人の体験記です。記事に掲載の画像はイメージです。