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【デザインあ展neo 佐藤卓さん】第1回 タイパ時代でも「分からない」が子どもの心を動かす

ママスタセレクト

NHK Eテレの番組「デザインあ」の世界が進化を遂げ、2023年にスタートした「デザインあneo」。その番組の総合指導を務めるのは、数々のヒット商品や文化的プロジェクトを手がけてきたグラフィックデザイナー・佐藤卓さんです。

2025年9月23日(火)まで、「デザインあ展neo」が、東京・虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45階にある「TOKYONODE(東京ノード)」で開催中。今回は、大人気の「デザインあ展neo」に込めた思いや、子どものデザインマインドを育むために親ができることについて、幅広く伺いました。

子どもは「理屈を超えて面白いかどうか」にすごく敏感

―「デザインあ展」は一期(2013年)、二期(2018年~2021年)、そして今回の「デザインあ展neo」で三期目の開催となりました。待ち望んでいたファンも多いと思いますが、“neo”ならではの魅力はありますか?

佐藤卓さん(以下佐藤さん):最大の違いは「動詞」をテーマにしていることですね。「来場者がどう感じるか」を大切にしているのは変わりませんが、今回は「あるく」「すわる」「たべる」など、行為そのものを切り取って展示にしています。体を使って体感してもらう作品が多く、これまでよりも一層、来場者の五感に訴える内容になっていると思います。

― 私自身、子連れで「デザインあ展neo」を実際に体験しましたが、子どもたちがデザインに関してさまざまな思考を巡らせ、夢中になれる工夫が凝らされているのを感じました。子どもたちを楽しませるために、 総合ディレクターとして意識されたことがあれば教えてください。

佐藤さん:「理屈を超えて面白いかどうか」という点には、最も注力していますね。多くのクリエイターの方々と一緒に展覧会を組み立てているので、面白いアイデアがいっぱい活かされているのですが、やっぱり子どもは理屈を抜きにして面白いか面白くないかに敏感だと思うんです。大人が「なるほど」と思うような解説よりも、「何これ?」って思わせる瞬間が大事だと思っていて、展示でもそこを大切にしています。

ー 理屈を超えて面白いとは、頭で考えるよりも作品を観て感じるというイメージに近いでしょうか?

佐藤さん:そうです! パッと作品を観たときに、何かを感じてもらえるというか、「面白そうだな」と思ってもらえる作品にするという点は、やはりクリエイター全員で考えているところですね。

「何でも分かりやすく」の世の中で「分からないこと」が人の心を惹き付ける

―「分からないけど、面白そう」という感覚ですね。

佐藤さん:まさにそう! 今の世の中って、何でも分かりやすくが求められるでしょう。でも、実は人って「分からない」ものにこそ興味を持つんですよね。 今回の展示も、「えっ、何これ?」と感じる作品が多いと思うんですが、同時に分からないことが、見た人の心を強く惹き付ける役割も果たしているんじゃないかなと。

けれど世の中的には、「分からないもの」は許されない空気になっていて、実は世の中をどんどんつまらない方へ向かわせている気がするんですよね。でも本当は、「分からないこと」にこそ、魅力がある。「魅力的な分からなさ」という言い方を私はするんですが、分からないからこそ興味が湧いて、自分で考えたくなる。それが思考の入り口だと思うんです。

ー 「分からないこと」を悪として明確な答えばかり追い求めていると、考えること自体をしなくなって、アイデアが出なくなりそうですよね。

佐藤さん:実はアイデアというのは無限に出てくるものですし、日常生活のありとあらゆるところにデザインは存在していて、アイデアソースは無限にあるんですよ。特に自然の少ない都会では、ありとあらゆるデザインで当たり前の生活が成り立っているわけですよね。

それを勉強チックに知らせるのではなくて、遊びの中から気付いてほしいんです。 面白いと思ってもらう入り口としての役割が今回の展覧会だったりするので。 「日常生活って、いろいろなデザインで成り立っているんだ」という事実を面白がってもらいたいですね。

この世の中に、面白くないことは何一つない

ー 根底に「面白がってもらいたい」という佐藤さんの純粋な気持ちがあるからこそ、今回の展覧会が多くの人の心を動かしているのではないかと思いました。

佐藤さん:伝わっているのなら嬉しいです。この世の中には、面白くないことは何一つないと思うんですよ。面白くできるかできないかは自分の問題だというのは、何十年も仕事をしてきて実感しています。だから、どんなものでも面白くできると思っています。

もしかしたら、子どものまま大人になっちゃったからかもしれない。それによって、周りの人には大変迷惑をかけているんじゃないか……というふうには思うんですけどね(笑)。

取材、文、撮影・編集部


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