あなたなら同調する?たしなめる?→「子どもの悪口」に対する正しい対応方法
臨床心理士・公認心理師のyukoです。子どもが友達の悪口を言っているとき、同調したほうがいいのか、「そんなこと言わない」と注意するべきなのか迷いますよね。子どもがどうすれば苦手な人とも適切に付き合っていけるか。親としてのフォローを考えていきます。
友達の悪口、たしなめるべき?
最近クラスの友達の悪口をよく言うようになった娘。「〇〇ちゃん、男子に好かれようとしていい顔してうざいんだよね。先生の前でも態度違うし。ちょっと成績いいからって調子にのってるんだよ。」聞いててもいい気持ちのしない悪口だけど、ちゃんと聞いてあげたほうがいいのか、それとも「そんなこと言わない」と注意した方がよいのか。
子どもが家で友達の悪口を言っていたら、どのように返答していますか?
・子どもの気持ちに寄り添うのが大切なので「たしかにあの子そういうところありそうだよね」と同調する。
・道徳観を身につけさせないといけないので「人の悪口は言っちゃいけないよ。いつか自分に返ってくるよ」とたしなめる。
・あまり取り合うのもよくないと思い、「へー、そういう子もいるんだね」と話を広げずに聞く。
子どものためにはどのような対応を取るのがよいのでしょうか。
子どもが友達の悪口を言うときの対応について考えていきます。
なぜ悪口を言うようになるのか。
幼児期は嫌なことがあったり、嫌いな子がいても、そこまで長々と悪口を言う子は少ないです。
「あの子は怖いから嫌」と言って避けたり、「今日意地悪された」と言いつつも次の日はケロッとした顔で遊んでいたり。子どもらしいシンプルな付き合いがほとんどでしょう。
一方小学校に入り学年が上がっていくと、人間関係の持ち方も複雑になっていくもの。
好きじゃない友達と一緒に行動していたり、悪口を言いつつも離れられないような子も増えていきます。
特に女の子では「Aちゃんと一緒にいたいから、Aちゃんと仲良しのBちゃんとも仲良くしないといけない」「このタイミングでグループを抜けたら一人になってしまう」など、仲間意識の強さが人間関係を難しくすることも多いんです。
また、小学生以降は仲間内で自分がどのポジションにいるかが重要になってきます。
グループ内での自分を守るためにはときに「共通の敵」を作り、他の仲間との絆を強固にする場合も多く、悪口が共通言語になりやすいんですね。
「子どもの性格に難がある」と考えるのではなく、子どもの年齢ならではのコミュニケーションの壁をどう乗り越えていけるかに目を向けていけるとよいでしょう。
子どもの悪口、親はどう対応すべき?
感情的に高ぶっていたらまず落ち着ける必要があったり、言葉遣いがかなり悪かったらたしなめる必要もあるでしょう。
ただ、一般的な愚痴程度の話し方であれば「見ててもやもやするんだね」「一緒にいるとイライラする?」など子どもの気持ちに寄り添って聞いてあげると気持ちの整理に繋がっていきます。
そのうえで可能であれば、固定的な判断と主観を分ける関わりがあるとよいでしょう。
・「あの子ぶりっこなんだよ」→「ぶりっこに見えるんだね」
・「調子にのってるんだよ」→「どういうとき調子に乗っているように感じるの?」
まだ未熟な段階にある子は「自分が見ている姿に違いない」と思い込み、相手を判断しやすいもの。
しかし少しずつ「自分にはこう見えている、こういうところが自分の気に障るからあの子のことが苦手なんだ」と認識して、苦手な相手との付き合い方を考えていく必要があります。
周囲の大人が聞き方を工夫することで、自分の気持ちと考え、客観的な事実と主観を分けて認識する力を育んでいくのも大切なんですね。
また、悪口の内容を聞いていると子ども自身のコンプレックスが反映されているケースも多いです。「ちょっと頭いいからってさ」「かわいいから調子にのってるんだよ」などの言葉の背景には、自分にはないものを持っていて羨ましい気持ちも隠れているかもしれません。
子どもの気持ちを理解し、友達付き合いを陰から支えてあげられるといいですよね。
yuko/臨床心理士・公認心理師