海の京都・宮津の幻のお酢『富士酢』 老舗の技と宮津の恵が凝縮「飯尾醸造」【蔵見学】
雑誌やテレビのグルメ本に必ずといって登場する全国的にも有名な老舗の醸造酢。海の京都・宮津市に明治26年創業。こだわり抜いた製法や素材を駆使した珠玉の醸造酢。
海の京都・宮津にある全国的に知られる老舗醸造酢
全国的にも有名な京都府宮津市にある醸造酢メーカー。
かつて一世を風靡したグルメ漫画『美味しんぼ』やグルメ番組でも紹介されるほどの全国的にも有名な醸造酢『富士酢』。
今回はお盆で旅行の途中に立ち寄りました。
明治26年創業の老舗のお酢屋さん。山と海に囲まれたのどかな場所。お酢造りに恵まれた環境なんでしょうね。
この時はタイミング悪く、お盆休みのため、お店での購入は叶いませんでしたが、普段はこちらでもお酢を販売されていて、事前に予約すれば蔵見学もできます。
敷地には、酢を醸造する壷ですかね。以前鹿児島の黒酢メーカーを見学した時も、こんな壷で天日醸造してたような記憶が。形はちょっと違いますが。
屋外からも大きなタンクが顔をのぞかせ、周辺にはお酢の香りが漂っていて蔵元ならではな風情。
こだわりの原料と古式製法で結実した『富士酢』
こちらのお酢の主原料となる米は、地元・丹後の契約農家の棚田でつくられた無農薬米を使用。
わざわざ山里の農作業がしづらい棚田で米づくりをするのにも理由があり、生活排水や他の田んぼで使われる農薬汚染を避けるため。
さらに、富士酢の特徴のひとつ。それはJAS規格基準の「米酢」の5倍量の米を使用。しかも、この丹後産無農薬米を。それだけ、米の成分が濃く反映されたお酢だということ。
酢づくりは酒づくりから。こちらでは自社の酒蔵で杜氏による酒づくりを行っています。精米から麹づくり、酒母づくり、そして醪(酒)の仕込み。これは日本酒とほぼ同じ工程。これだけで2か月弱かかります。要は酵母菌による発酵工程。
さらに昔ながらの古式製法『静置発酵』で酢づくりが行われています。
ここからは蔵に120年以上前から住みつく伝家の酢酸菌の登場。酢酸発酵です。富士酢の味や香りの肝であり、個性がここで決まります。
種酢、水、酒づくり工程のもろみを合わせ、40℃に温めて2~3日置くと表面を酢酸膜菌が覆います。
種酢は全体の3分の1の量が必要。その種酢は「鰻屋のタレ」方式で継ぎ足し継ぎ足しで酢づくりが行われ、創業時から代々受け継がれている酢が使用されてるということ。
80日〜120日と、ゆっくり時間をかけて自然にアルコール分を酢にかえていく発酵法『静置発酵』。ほとんどのメーカーでは、人工的に空気を送ることで、酢酸菌の発酵を促し、1日で発酵を終えてしまう工程も、これだけの時間をかけて行います。
さらに熟成蔵に移され、最低でも240日〜300日の熟成期間を要し、完成までにざっと1年以上はかかる計算。それだけの手間暇がかかった珠玉の醸造酢。幻のお酢といっても過言ではありません。
そんな長い工程を経て販売されてるお酢がこちら。左・純米富士酢と右・富士酢プレミアム。
この他にも、黒酢や果実酒など多彩に商品展開されてます。
今回はこちらの代表的醸造酢の2つを試飲してみました。
製法自体は静置発酵、長期熟成でどちらも基本的に同じ工程のようですが、純米富士酢では、「米酢」表示できる米投入量の5倍、富士酢プレミアムは8倍使用。
米投入量多めの富士酢プレミアムはフルーティーで繊細かつ上品な味わい。方や、純米富士酢は旨味力強く、個性的な印象を持ちました。どちらも醸造酢特有の風味が際立ち、宮津の恵みが濃縮されてこのボトルに詰まっているような。
より、お酢の味を際立たせた料理や、あるいはクセのある素材に合わせたマリアージュが楽しめそうな富士酢。宮津に立ち寄られた際にはぜひ蔵元へ足を運んでみてはいかがですか?
詳細情報
住所:京都府宮津市小田宿野373
電話番号:0772-25-0015
営業時間:9:00~11:00 / 13:00~16:00
定休日:日曜・祝日。土曜日が祝日の場合も休業。
公式サイト:https://www.iio-jozo.co.jp/