深夜のサンシャイン水族館で『アクアリウムは踊らない』作者・橙々さんがここだけの裏話を明かす──気になる次回作についての話題も? 「アクアリウムは目覚めない」トークイベントレポート
2025年10月10日~11月3日にかけて池袋・サンシャイン水族館で開催中の、ゲーム『アクアリウムは踊らない(以下、『アクおど』)』とのコラボイベント『サンシャイン水族館×アクアリウムは踊らない 体験型ホラー水族館 「アクアリウムは目覚めない」』。
深夜のサンシャイン水族館を舞台に、『アクおど』にまつわる謎解きラリーや特別装飾、作品のBGMが館内で放送されるなど、水族館が恐怖の空間へと変わるという体験型のホラーイベントとなっています。
その開催期間中となる10月25日に実施されたのが、『アクおど』の作者・橙々さんを招いてのトークイベント。その開始時間はなんと夜の22時! 『アクおど』とのコラボ期間中、サンシャイン水族館では、夜間特別営業として18時15分~21時の時間帯に営業しているのですが、トークイベントはさらに夜も更けた閉館1時間後に実施されました。
トークイベントの会場となったサンシャイン水族館 本館 大水槽「サンシャインラグーン」は、四方のどこを見回しても魚たちに囲まれた空間。作品にピッタリのその場所で、橙々さんご本人から制作秘話やコラボレーションの裏側についてのお話を聞くことができる、非常に貴重なイベントとなっていました。
【写真】橙々さん登壇「アクアリウムは目覚めない」トークイベントレポート
サンシャイン水族館のロビーが『アクおど』内に登場していた
約10倍という高い抽選倍率をくぐり抜けた、幸運な参加者が集った会場。そんなワクワクがあふれる空間に、作者・橙々さんが登場しました。夜の遅い時間に集まってくれたファンに対して労いの言葉が掛けられつつ、様々なテーマに沿う形でトークは進行していくことに。
まず橙々さんが語ったのは、コラボイベント開催地である池袋の思い出。橙々さんが関東に住んでいた頃、毎年「池袋ハロウィンコスプレフェス(池ハロ)」にコスプレ側で参加していたという意外な過去を告白しました。
ゲームを制作するよりも前にサンシャイン水族館を訪れたこともあったそうで、その後『アクおど』を作り始めてから「(この水族館で)自分のゲームでイベントができたらいいな」と夢見ていたと語る橙々さん。今回まさにその夢が実現した形となった、と語ります。
なおトークショーが行われた当日には、橙々さんも一般の参加者に混ざって営業時間中の館内をお忍びで回っていたそうで、『アクおど』とも縁が深いクラゲのゾーンを一番のお気に入りとして挙げていました。また、コラボ開催にあたってはサンシャイン水族館側から様々な提案があり、想像していた以上の『アクおど』愛がヒシヒシと伝わってきたのだとか。
橙々さんのトークで会場の熱がさらに高まったところで、話題はゲームの制作秘話へ。Nintendo Switch™版・Steam版で追加されたアナザーストーリーに登場する滝が流れるエリアは、実はサンシャイン水族館のロビーがモデルになっていることが語られました。
ただしアナザーストーリーを作っている時点では、サンシャイン水族館とのコラボの話は影も形もなく、その後にコラボが決まった流れだったため「勝手に使っちゃってすみません」という申し訳なさに苛まれることになったそうです。
また、橙々さんはロビー以外にも、サンシャイン水族館ならではの水槽である「天空のペンギン」や「サンシャインアクアリング」の再現を試みたものの、技術不足によって実装が叶わなかったことも告白。同時に「もし次回作が作れたら(実装を)頑張りたい」と、次なる作品に向けての意欲を覗かせる発言も飛び出していました。
また、「(橙々さんは)どれくらい魚に詳しいのか?」という話題が飛び出すと「決して魚に詳しいわけではない」と念を押すように語った橙々さん。やはり“水族館を舞台にしたホラーゲームの制作者”という立場上勘違いされやすいそうで、ご友人らと水族館に行くと、必ずと言っていいほど解説を求められてしまうとのこと。その度に水槽のパネルに書かれていることをそれっぽく説明してごまかしている、と独自の対処法を明かしました。
次回作についての話題も飛び出した質疑応答のコーナー
次に行われたのは、事前に募集した質問入りのボックスから1枚をランダムで選び、それに橙々さんが回答していく質疑応答コーナー。橙々さんは「クソマロだったら破り捨てるので」と配信者ならではのコメントで笑いを誘いつつも、質問を書いた本人のすぐ近くまで移動し、その場で回答をするというファンサービスで会場を盛り上げます。
まず「今回のコラボで譲れなかった点は?」 という質問には「謎解きゲームで、スーズとレトロを絶対に脱出させないでください」と「(ゲーム内には)二人を脱出させたくない人がいるので」と回答。さらっと『アクおど』ストーリーの核心に触れそうになったところで、「まだ(ゲーム)やってない人いる? (もしいたら)諦めてください」と、これからは容赦なくネタバレをしていく宣言をして笑いを誘います。
今回のコラボのこだわりポイントについては、キャラクターパネルの背景が、水族館の雰囲気に馴染むような青になっている点を挙げ、中でも5人のメインキャラクターたちが並んでいるペンギンの水槽前は、綺麗に写真が撮れるオススメの撮影スポットとして紹介します。
続く「『アクおど』以外で次回作を作るとしたら?」という質問には、「ホラーゲームクリエイターって言っちゃってるので、ジャンルは変わらずホラーでブレずにいこうかな。これでいきなりパズルとか恋愛ゲームとか作り始めたらビックリすると思うので(笑)」と、引き続きホラーゲームを作っていくことを明言しました。
……と、ここまでは意外にも(?)全体的に真面目な質問が多かったのですが、最後の質問で「今日の朝ごはんは何でしたか?」という“クソマロ”を引き当てる橙々さんの“神引き”っぷりに客席は大爆笑。
この日の朝、橙々さんが食べたのは「チョコ」だったそうですが、実はこの質問には8月30日に実施されたバスツアーで、まったく同じ質問が参加者へのクイズとして出題されていたという前フリが存在していました。その際に橙々さんは「アイス」と回答し、全員を不正解にしていましたが、今回についても「もしこれがクイズだったら、また全員不正解にさせてたかも」とコメント。さらなる笑いを誘っていました。
直筆サイン入りグッズをかけたジャンケン大会の後には、気になる発言も……?
質問コーナーの後には、直筆サイン入りフライヤーをかけたジャンケン大会も実施。橙々さんとのジャンケン対決に勝ち残った2名の幸運な参加者に、橙々さんご本人からフライヤーが手渡されました。
そのジャンケン大会がスピーディに進行されたことを受け、まさかの「追いマロ」(追加質問)の時間が設けられました。そこで選ばれた「一番のお気に入り特別衣装は?」という質問に、「スーズの水着」と回答する橙々さん。
スーズたちの水着衣装は、2024年の夏コミのフロンティアワークスブースで販売されたグッズ用の描き下ろしイラスト。水着衣装はフロンティアワークスから発注されたものとのことですが、橙々さんからも以前から「(水着を)描かせてください!」という希望を出しており、前のめりで引き受けたという経緯があったのだそう。とくにスーズは、水着姿を描くまで可能な限り肌を見せないように気をつけていたこともあり、一層気合が入っていた、と当時の心境を明かす橙々さん。制作に込めた熱も、お気に入りの衣装となった要因となったようです。
館内の暗さとは裏腹に、明るく楽しい雰囲気で進行された今回のトークイベント。最後には橙々さんから「実は、今後の『アクおど』について、私は皆に言えないことがまだまだあります!」「そこは是非期待していただきつつ、今後も『アクおど』をよろしくお願いします」と、新たな展開を匂わせる発言も飛び出しました。客席から驚きの声が湧き起こり、興奮冷めやらぬ中イベントは締めくくられました。
【取材:米澤崇史】