クレカポイントで海外旅行。誰も言わない本当のコスパを試算したら
1ドル160円台だった歴史的円安もひと段落し、海外旅行の割高感も随分と和らいできました。カード決済のポイントで海外旅行に行く方法は今や常識となりましたが、ネットなどで喧伝されているコストの計算には「?」も多く、実際にいくつかの費用が含まれていないことも珍しくありません。
そこで本記事では、クレジットカードを使って海外旅行に行こうと考えている方を対象に、コスパの計算方法について解説した上で、目的地別にお勧めのクレジットカードを紹介します。
コスパの定義について
クレジットカードを使って航空会社の特典航空券を発行するにあたり、何をもって「コスパが良い」とするのかは、人によって違います。そこで本記事では、特典航空券を発行するための「コスパの良いクレジットカード」を、以下のように定義します。
行きたい時期に特典航空券(ビジネスクラス or ファーストクラス)を発行できる行きたい場所への特典航空券を発行できる上記を満たした上で、できるだけコストをかけずに特典航空券を発行できる
これを踏まえた上で、さっそくクレジットカードのコスパの計算をしてみましょう。
その計算方法、合っていますか?
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ポイントを貯めて特典航空券を発行するためのクレジットカードは、基本的に年会費が高額になる傾向にあります。従って、その中からコスパの良いクレジットカードを選ぶためには、正しいコストの計算方法を身に付けなければなりません。
そこで、以下の設定をもとに特典航空券の発行コストを計算する練習をしてみましょう。金額や必要マイル数は実際のものとは違いますが、おおよそ近似値となっているはずです。
年会費5万円、還元率1%(100円の決済につき1ポイントが付与)のクレジットカードを使って年間300万円を決済1ポイント=1マイルで交換可能目的地はバンコク2人分の特典航空券(ビジネスクラス)を発行するのに必要なマイル数は12万マイル燃油サーチャージ等は10万円
クレジットカードのポイントを使って特典航空券を発行するためには一定のコストが必要ですが、そのコストが実際いくらになるのかは、海外旅行に行かない場合との差額によって算出されます。まず、上記のクレジットカードを使って特典航空券を発行するコストを計算してみます。
設例のクレジットカードを使って特典航空券を発行するためのコスト=カード年会費5万円×4年+燃油サーチャージ等10万円=30万円
これに対し、海外旅行へ行かず、同額を年会費無料・還元率1%の楽天カードで決済した場合、以下のポイントが付与されます。
海外旅行に行かない場合に付与されるポイント=年間3万円×4年間=12万円(相当)
30万円+12万円=42万円が、クレジットカードのポイントを使って特典航空券を発行するためにおおむね必要となるコストになります。
無料宿泊券は本当に無料か?
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クレジットカードの中には、年に1泊分の無料宿泊券がついているものがあります。その代表が、アメックスプラチナやアメックス・ゴールドプリファード、Marriott Bonvoyプレミアムカードなどです。
マイルを貯めるためにこれらのカードを使った場合、どのようなコストがかかるのかを考えてみましょう。
4泊分の無料宿泊を含めたコスト
アメックス・ゴールドプリファードやMarriott Bonvoyプレミアムカードの年会費は、おおむね5万円程度です。これらには毎年1泊分の無料宿泊券がついているため、無料宿泊券で年会費をペイしてしまうこともそれほど難しくありません。例えばアメックス・ゴールドプリファードであれば年間200万円を、Marriott Bonvoyプレミアムカードであれば年間150万円を決済すれば、無料宿泊券が付与されます。
では、実質的に年会費は無料か、というと実はそうでもありません。先ほどの例をもう一度見てみましょう。
4年の間に4泊分の無料宿泊券をもらい、国内の高級ホテルに毎年泊まった場合、ホテル代以外の支出が必要になります。ホテルまでの往復交通費や食費、観光などの費用やお土産代などをすべて合計すると、宿泊費以外に5万円くらいは財布から出て行ってしまうのではないでしょうか?
そうなれば、無料宿泊券4泊分×5万円=20万円を、先ほどの42万円のコストに加えなければなりません。最終目的地はあくまでバンコクなわけですから、これらのクレジットカードを使った場合の最終的な発行コストは、42万円+20万円=62万円となります。
もちろん、さまざまな高級ホテルに毎年泊まれるわけですから楽しいことは間違いありません。それが目的の方であれば、このような無料宿泊券のついたクレジットカードが最高にコスパが良いカードになります。
ですが、海外旅行を目的にマイルを貯めるのであれば、毎年の支出の分だけ最初に決めた目的地からは遠ざかってしまいます。
ちなみに、福岡空港からスターラックス航空のビジネスクラスを使ってバンコクまで行く場合、だいたい50万円前後で2人分のチケットを購入できます(燃油サーチャージ等込み)。こちらは特典航空券ではないため、自分のスケジュールに合わせて航空券を発行することができます。
実費でチケットを購入すれば、「行きたい時にチケットが取れるわけではない」という特典航空券の最大の弱点を考えなくても良いため、旅程の組み方がずいぶん楽になります。
お勧めのクレジットカード
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これまでのコスト計算を踏まえた上で、お勧めのクレジットカードをいくつか紹介します。
エコノミークラスで旅行をする場合
エコノミークラスで旅行をする場合、目的地に関わらずクレジットカードのポイントを貯めて特典航空券を発行する場合と、LCC等のセールを利用して航空券を発行する場合と、コスト面でそれほど大きな差はありません。
ですから、年会費無料の楽天カードを使って貯まったポイントを支払いに回し、その分でLCCのチケットを購入する方法をお勧めします。他の方法と比べるとそれ程コスパが良いわけではありませんが、確実に好きな場所に行くことができます。
アジアへビジネスクラスで行く場合
アジアへビジネスクラスで行く場合は、前章でお伝えしたようにカード決済で特典航空券を発行するのと、航空券を実際に購入するのと、それほど大差はありません。ですから、セールなどの時に割引価格でビジネスクラスを購入するのが一番の近道です。もちろん、総合的なコスパも、これが一番です。
エコノミークラスの場合と同様に普段は年会費無料の楽天カードを使ってポイント分を決済に回し、割引価格でチケットが売り出されたら購入すると良いでしょう。
欧州へビジネスクラスで行く場合
欧州へビジネスクラスで行く場合、航空券を購入するとかなりの金額になります。従って、クレジットカードを使うしか選択肢はありません。
ただし、ANAのマイルを貯めて欧州行きのビジネスクラスを発行するのは至難の業です。なぜなら、ANAが特典航空券用に開放しているシートの数に対し、希望者が多過ぎるからです。また、JAL系のクレジットカードのポイントは基本的に有効期限が短いため、年間決済額が最低でも500万円くらいはなければ、欧州行きのビジネスクラスを2枚発行するのは難しいでしょう。
となると、第1選択肢は利用者が多い「Marriott Bonvoyプレミアムカード」になります。クレカを利用し続けている限りはポイントの有効期限もなく、ポイントを多数の航空会社に手数料なしで移行できるため、特典航空券の発行のしやすさはクレジットカードの中でもナンバーワンです。ただし、上述のように無料宿泊券の使用に際し別途交通費や飲食代などの支出が必要となるため、その分のコストは考えておかなければなりません。
それ以外の選択肢としては、「キャセイパシフィックMUFGカード・プラチナ・アメリカンエキスプレスカード」がお勧めです。年会費は3万円弱ですが、基本還元率は1.5%と高く、ポイントの有効期限も実質的にはありません。また、マイルが不足している場合は購入することもできる上に、第三者に譲渡することも可能です。
旅の拠点が香港になることと、とりあえずの行き先がロンドンのヒースロー空港になりがちな点は、人によってデメリットとなるかもしれませんが、特典航空券の取りやすさは別格です。
北米(ハワイも含む)へビジネスクラスで行く場合
北米路線も、欧州路線並みにビジネスクラスの特典航空券を発行するのは難しくなっています。特に、超人気のハワイ路線でビジネスクラスの特典航空券を複数枚発行するのは、至難の業です。ましてや自分の休みに合わせて発行するのは、ほぼ不可能ではないでしょうか。
また、欧州線のように多数の航空会社を選択できるわけではないため、ここでは「Marriott Bonvoyプレミアムカード」のアドバンテージはそれ程生かせません。
そこでお勧めなのが、エコノミークラスのチケットを購入しマイルを使ってビジネスクラスにアップグレードする方法です。オフシーズンであれば、この方法でビジネスクラスに乗るのもそれ程難しくありません。
なお、北米行きにはANA、JAL、ユナイテッド航空の3社あたりを利用する方が多いと思いますが、ユナイテッド航空はマイレージのルール変更の頻度が多いため、ここは避けておきます。となると、ANAかJALのどちらかですが、お勧めはJALです。JALはANAと比べると特典航空券が取りやすく、マイルを使ったアップグレードもそれ程難しくありません。
クレジットカードは何でも構いませんが、「JALアメックスCLUB-Aゴールド」あたりがバランスも良くてお勧めです。
まとめ
特典航空券の発行コストは、本記事でお伝えしたように実は結構高くつきます。また、せっかくマイルが貯まっても、空席がまったく見つからない場合も珍しくありません。そうであれば、LCCや実費で購入するエコノミークラス等を上手に組み合わせながら、コスパの良い旅を組み立ててみるのはいかがでしょうか?
そうすれば、選択肢をかなり広げることができるでしょう。