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カルティエから家業へ ポムロール「クロ・デュ・クロシェ」のオーナー、ジャン・バプティス・ブロット=オーディ氏が来日

ワイン王国

カルティエから家業へ ポムロール「クロ・デュ・クロシェ」のオーナー、ジャン・バプティス・ブロット=オーディ氏が来日

ボルドー地方ポムロールの「クロ・デュ・クロシェ」より、オーナーのジャン・バプティス・ブロット=オーディ氏が来日し、試飲会を開催した。

ポムロールの現在を感じる

©️Mayu Ono

銘醸ル・パン、ペトリュス、トロタノワ、ラフルール を隣人に持つ「クロ・デュ・クロシェ」。ジャン・バプティス・ブロット=オーディ氏の来日を機に、彼のワインを試飲した。酸が素晴らしく、テンションの高い美しいポムロールだ。

生産量は約20,000本と少なく、日本では、まだまだ知られていない造り手だが、ヨーロッパでは非常に有名で、2005年には、エリザベス女王の即位50周年記念行事でも、1983年ヴィンテージがサーブされている。

最近では、英国の権威あるワイン誌『デカンター』で「10ベストポムロール」の一つに選ばれ、人気にますます拍車がかかっている。

カルティエから家業へ

ボネランの特製ケーキで100周年を祝う、ブロット=オーディ氏

昨年、創立100周年を迎えたクロ・デュ・クロシェ。長いファミリービジネスの歴史を誇るが、ブロット=オーディ氏が家業に戻ってきたのは、2005年。それまで勤めていた「カルティエ」では、南アメリカ勤務も含め、インターナショナルな経験が豊富で、日本にも関与していたことがあるという。財務、デザイン、時計など、社内の異なる部署も経験。お会いすると、ワイン一筋できたボルドーのワインピープルとは異なる雰囲気を醸し出している。

ワイン造りとマーケティングと、非常にバランスの良い方で、人の話をきちんと聞き、よく気の付く方だ。

こんな方はどんなワインを造るのだろうと、お会いしてすぐ興味が湧いてくる!

他のポムロールと何が違う?

ブロット=オーディ氏にまず質問したのは、他のポムロールと異なることは何かということ。長年ワイン業界に従事している身として、差別化は非常に大事だと思うからだ。即座に、説得力のある返事が返ってきた。

カベルネ・フラン様

答えは、カベルネ・フラン。クロ・デュ・クロシェは、他と異なり、カベルネ・フランが3割近く入っている。前述の超有名なシャトー の中には、メルロ100パーセントのところもある。もちろん、カベルネ・フランがブレンドされているシャトーもあるが、ブロット=オーディ氏のカベルネ・フランは、ブルークレイというスペシャルな土壌に植えられている。

10年に2回ほどしか偉大な年にならない品種、カベルネ・フランをマニアックに追求してきた彼が、目を輝かせて語る"カベルネ・フランストーリー”にどんどん引き込まれていく。

ブルークレイ土壌

実際は、青というより緑がかった色の粘土であるブルークレイは、冬の間に土壌の水を吸い、夏に土中に水を戻すことができる。これは、近年の夏の暑さと乾燥、そして水が嫌いで、水はけの良い土壌を好むカベルネ・フランの特性を考えると、好都合だ。

この素晴らしい土壌のためであろう、クロ・デュ・クロシェのカベルネ・フランの区画は、何と13世記からブドウ畑だったのだ。ポムロールでは、現在ブドウ畑になっている場所で、昔は他の作物が植えられていたケースも多い。

樹齢と畑と酵母

公式には1957年という記録がある、なかにはそれより樹齢の高いカベルネ・フランを持っていることはラッキーだとブロット=オーディ氏は言う。70年代や80年代くらいまでの素晴らしいカベルネ・フランは、現在ではもう入手できないからだ。

そして恵まれた土壌にあぐらをかかず、さまざまなことを実践している。
畝ごとに異なる種類のカバークロップを植えたり、カベルネ・フランの収穫時期をずらしたり、オーガニック栽培を導入したり、ビオディナミを実践したり、どの酵母がきちんと発酵の役目を果たしているかなどを細かくチェックしている。

もう1杯と手が出る

その結果、テンションのある、酸味と果実味がバランスよく融和され、もう1杯!と飲みたくなるワインができた。お父さまと喧嘩をしてまでも諦めず、引き抜かず、カベルネ・フランに感じた可能性を追求してきた成果だ。

©️Mayu Ono

ポムロールは長年飲んでいてよく知っている!という方にこそ、ぜひ飲んでいただきたいと思う、カベルネ・フランが主張しているポムロール。とりわけ近年のヴィンテージに魅力を感じるのは、私だけではないと思う。
以下は、試飲したヴィンテージの中で、最も素晴らしいと感じた2018年と20年ヴィンテージのテイスティングノート。

初夏にもぴったりの、テンションの高い『2020年』

■『Clos du Clocher 2020』
濃く、黒みがかった紫色。ピュアな果物のノーズには、芍薬の含みがあり、テンションの高さを感じさせる香り。フルボディで、がっしりとした骨組みを持ち、素晴らしく美しい酸味。目の詰まった果実味には、ブラックベリーやプラムなどの熟したフルーツの含みがある。タンニンはしっかりとしているが、かなり融和し、全体的にまろやかさを感じさせる口当たり。フィニッシュにはブラックペッパーの含みが。図形でいうと、縦型の長方形に二等辺三角形をのせたような風味のストラクチャー。

■『Clos du Clocher 2018』
濃いルビー色を呈し、リムは中くらいの濃さ。温かみのあるノーズには熟した果物、スパイス、スミレの香りがあり、アーシーな含みも。イニシャルでは、ビロードのような口当たりが印象的で、偉大なストラクチャーとタンニンを持つ。タンニンはかなり融和しているが、まだしっかりとしている。粘着度を感じる舌触りのクリーンな果実味、酸度は中くらいで、後味はスパイシー 。洗練されたワインで、プラトーに入るのは4〜5年くらいかと感じる。

ブロット=オーディ氏によると、来年には、偉大なヴィンテージ2024年を含む100周年記念セットを世界に向けて300ケースのみ販売するとのこと。日本には何ケース入ってくるのか、今から発売が待たれる。

テンションの高い、ポムロールの現在を感じるクロ・デュ・クロシェの新ヴィンテージに、来年会えますように!!

text by Mami
Instagram: mami_mamie

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