「淡水魚の体調不良に塩が効果的?」渓流魚飼育に必要なアイテム10選
渓流魚を飼うということは金魚やメダカを飼うのと同じ機材だけでは不可能である。ただ金魚などを飼える機材がすべて使えないかというとそうではなく、基本的に水槽飼育としてはやっていることは同じなので必要な機材を追加することで十分飼育することができる。そこで渓流魚を飼育すると思ったらそろえておきたいアイテムをご紹介したい。
水槽
ガラス製のものとアクリル製のものがあり、比較的安価なのがガラス水槽。アクリル水槽は価格が上がるが破損しにくく水槽自体の重量が軽くなる。
たとえば90cm規格水槽ではガラス製では重量が30kgを超えてくるがアクリルでは10kg程度で持ち上げるだけなら片手でも可能。
価格との兼ね合いも
渓流魚は活発で縄張り争いも強いためできれば90cmの規格水槽以上が理想だが、そうなると他の機材が必然的に大型化するので価格は跳ね上がる。今回は一般的な60cm規格水槽で話を進めていこう。60cm水槽の場合ガラス製でもアクリル製でもどちらでもいいが後述する保冷のためにフレームがない水槽を用意したほうが良いと思う。
水槽台
意外とこれを軽視する方がいるが、60cm以上の水槽をセットするなら必ず一緒に準備をしておきたいのが水槽台。なぜならば水というのは想像以上に重く、他の機材を含めると軽く成人男性一人分と同じくらいのとてつもない重量物となるためだ。
しかもメーカーの水槽の補償についても水槽台に設置しないと対象外になってしまうため必ず専用のものを用意したい。
硬い床が適している
なお水槽台の下の床材はカーペットや板床など硬質な床材がより適している。どうしても設置場所が畳の床しかない場合はホームセンターでコンパネ材という板を購入し、先にそれを敷いてから水槽台を設置する。
水平に設置する
ちなみに水槽台をセットした段階で必ず水平に設置されているか水平儀などを使って確認したい。水平が取れていないようなら水槽台の下に薄い板などを場所に応じて枚数を調整して敷いて対応する。脅すようだがこれがいい加減だと水槽の水漏れ、最悪水槽のガラス崩壊につながるためとんでもない事態に発展する可能性がある。水槽は水平を絶対に保つ。これはマストな要件だ。
フィルター(濾過槽)
様々な様式のフィルターがあるが、こと渓流魚についてのフィルターとしては外部フィルターの一択だと思う。もっと強力なオーバーフローの設備があれば最強だが、このシステムは上級者向きと思っていい。
この後に説明するクーラーは内部を通過する水を冷やすことしかできないため、このフィルターについているポンプの力を利用して水槽の水をフィルターからクーラー、クーラーから水槽まで循環させる。
大きめがベター
外部フィルターに関しては指定されている水槽サイズよりも大きめのフィルターを準備しよう。中の濾材は機材によってセットされているものでも十分だし、追加で濾材を加えるものでもOK。
バクテリアを繁殖させる
フィルターの役割は水中のゴミを除去することもあるが、中心は濾材中にバクテリアを大量に繁殖させることにより、有害物質の無害化と水質の安定をさせることにある。
水槽用クーラー
このアイテムこそ自宅の水槽で渓流魚を飼育するために必要不可欠なもの。冷却方法として主に2種類あり、ペルチェ素子を用いて熱を放出させるペルチェ式クーラーと、冷蔵庫と同じ原理で水を冷やすチラー式クーラーがある。
チラー式で決まり
渓流魚飼育の場合、かなり強力に水温を下げる必要があるためチラー式クーラー一択である。しかも水温を18度以下に設定する必要もあるのでメーカーは限られる。
水温は15度
なお経験上一番失敗のない水温は15度。これより温度を下げてもいいのだが、電気代がかかるため15度が妥協点かと思う。夏場はもちろん冬でもこの水温設定で。
筆者が使用しているのはゼンスイのZCシリーズ。強力に温度を下げるパワーを持ち、しかも故障が少ない(というかほぼ無い)のでオススメである。正直お手軽な価格とはいいがたいがここは妥協をしないほうが失敗は減る。一番小型のZC100から最強のZC1300まであるがニジマスやイワナなどの高水温に強い種類なら一番小型のクーラーで室内エアコンと併用でも対応できると思われる。
ただ本来は強力なクーラーがあるほうが稼働時間も短くてランニングコストと故障リスクも下がるため、お財布の許す限り大型のものを準備したい。
ちなみに自宅の60cm水槽で使用しているのはZC500。
ライト
水槽内を美しく照らすライトも必要。というのも渓流魚を自然光で飼育できるのは理想だが、魚たちは日照時間の長さによって繁殖のトリガーが働いてしまう。場合によっては寿命が短縮されてしまう可能性があることと、光の不足のために骨の発育に異常が生じて変形を起こす可能性があるので必要なアイテムだ。ただ渓流魚飼育だけで考えるなら高価なものは必要ない。
また追加アイテムとして点灯、消灯時間が調節できるタイマーを併用して水槽内の明るい時間を管理しよう。
カルキ抜き・トリートメント剤
水槽で使用する水は水道水を利用する。ただそのままの水道水は人が直接飲用できるように微量の塩素で殺菌されている。その微量の塩素が魚にとって致命的な有害物質になるので、それを取り除くカルキ抜きやトリートメント剤を使用して魚にとって安全な水にする必要がある。
筆者は通常の水替えにはテトラパーフェクトウォーター、魚をお迎えした移動中や水槽導入直後には魚の粘膜を保護するテトラアクアセイフ、残念ながら病気が発生したときはトリートメント剤が薬の薬効を阻害するのでシンプルなカルキ抜きと状況によって使い分けている。もちろんシンプルなカルキ抜きだけですべてに対応することも可能だ。
保冷アイテム
少しでもランニングコストを抑えるため水温を低く保つためのアイテムとしてスタイロフォームとフィルター等を接続するホースには保温用のパイプカバーを使用する。
これらはホムセンで購入できるのでスタイロフォームは水槽の外枠に合わせてお店でカットしてもらい、水槽底面、背面、側面に隙間なくピッタリ密着させることによりクーラーボックスのように水槽を保冷させることができる。先の水槽のところでフレーム付きではない水槽を推した理由もここにある。
またフィルターに保温シートを巻いて結束バンドで固定し、できるだけ冷気の放出を防ぐ。
砂利や石
水槽内のレイアウトとして砂利や石を配置して生息している環境に近づけると、渓流魚本来の色彩が出るため準備したい。まだお迎え直後のおびえる魚にレイアウトで隠れ家も提供できる。
これらの砂利や石は水道水で洗浄したのち、煮沸してから使用すると水槽の水の濁りを抑えられる。なお砂利はあまり厚く敷きすぎると汚れが蓄積しすぎるためやや薄めにしいたほうが良いだろう。他アク抜きをした流木を配置しても雰囲気が出る。
水替え用品
水槽が安定した後もきれいな水を好む魚なので定期的な水替えが不可欠。その際に便利なのが水作から発売されているプロホース。サイフォンの原理で水槽の汚れた水を楽にバケツに移すことが可能。渓流魚は排泄物も多いので、底層に溜まった汚れを効率よく吸い出せる。
あと、100均で販売しているメラミンスポンジも水替えの際にガラス面のコケや汚れを取り除ける便利アイテム。
魚掬いネット
加えて水槽のリセットの際に必要なのがアクアリウム用の魚掬いネット。渓流魚はご存じの通りわりと力が強く、くねくね暴れるため素手で追い回すと疲弊させてしまう。ネットを使って手早く別の容器に移せたほうが良い。
魚病薬・水質検査用品
新規に水槽を立ち上げると初めはバクテリアの数が少なく水質が安定しないので、あらかじめ魚病薬と水質検査用品を準備しておくと安心だ。水質検査というと何やら物々しい雰囲気だが、テトラテスト6in1というアイテムを使用すれば、水槽の水にキットの紙をくぐらせるだけで1分かからず確認できる。
また釣り針の傷や水槽内の環境が落ち着くまでは病気が発生することもしばしば。魚体に異常が見られないか日ごろから観察して、必要に応じて薬も躊躇なく使用しよう。
なお、ちょっとした体調不良の場合、食塩を水槽内に溶かし浸透圧を利用して魚の負担を減らすこともできる。入れる塩の分量は水量の0.5~0.8%。ちょっと難しそうだが実は簡単で、60cm水槽の場合水量は60L弱なので、1kgの食塩の袋から半分くらいを水槽にぶち込めばOKだ。初めはこんなに入れて大丈夫か?と不安になるが全く問題はない。
<藤村/TSURINEWS編集部>