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東京都指定無形民俗文化財の「七草こども流鏑馬祭」が大田区の六郷神社で1月7日に開催。子供たちの本格的な射手装束にも注目!

さんたつ

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子供たちの開運や健やかな成長、立身出世を願う新春行事で、都指定無形民俗文化財の「七草こども流鏑馬(やぶさめ)祭」が東京都大田区の六郷神社で2025年1月7日(火)に行われる。本格的な射手装束に身を包んだ子供たちが的を射る姿に思わず笑顔になること間違いなし。新年からほっこりとした気分を味わおう。

子供たちの成長を願う古き良き行事

多摩川に南面する東京都大田区の六郷神社。社伝によると、天喜5年(1057)に源頼義、義家の父子が白旗を掲げて軍勢を募り石清水八幡にお参りしたところ前九年の役に勝利したので、凱旋後にその分霊を勧請したのが創建と伝わる。その後、源頼朝も文治5年(1189)の奥州征定のときに白旗を立てて勝利を祈願したと伝わり、頼朝が奉献したものといわれる雌獅子頭(めじしがしら)は社宝となっている。

そんな由緒ある古社で毎年1月7日に行われている行事が「七草こども流鏑馬祭」だ。「流鏑馬は江戸時代の文献には載っているものの、いつから行われたかは定かではありません。おそらく雌獅子頭と同じ鎌倉時代に奉納されたのではないかといわれています」と教えてくれたのは六郷神社の宮司・鈴木さん。

古くから脈々と受け継がれてきた流鏑馬だが、子供が主役の流鏑馬というのは珍しい。「当社は東海道と多摩川が交差する、いわば大動脈に位置する場所にあり、川を境に相模の国から武蔵の国へ入る玄関口でもあった。そんな要所でもある六郷という地域には昔から子供を大切にしようという風習があり、武士に負けぬよう子供の武運長久や文武両道を願う行事が多く行われてきたのです」と鈴木さん。実際、六郷神社では1月の流鏑馬のほか6月の例大祭にはこども獅子舞が奉納される。

不思議な的「八方白眼」を射る

祭りの主役は3~12歳からの男児で、2025年は約70人が参加する予定だ。特筆すべきはその出で立ち。綾藺笠(あやいがさ)を被り、直垂(ひたたれ)に両足を保護する行縢(むかばき)をまとった本格的な格好で登場する。「子供たちの装束は、鶴岡八幡宮の流鏑馬の時に大人が身に着ける装束と同じ小笠原流の射手装束。ぜひ注目してください」(鈴木さん)。

境内には異なる8つの眉と目が描かれた「八方白眼(はっぽうにらみ)」と呼ばれる特有の的が設置される。これを矢で射ることで、四方八方、上下左右、東西南北にあるすべての邪気を払うというものだ。射る順番は抽選で決められ、1番目と2番目の男児は鬼の目ではなく、「山越し」といって2本の矢を交差させ的の上を越すように射る。その後、3番と4番が「一の目玉」、5番と6番が「二の目玉」というように順に射っていく。

江戸時代中期から行われている「御歩射」と呼ばれる昔ながらの形式で的を射る。

「10番目までの男児は的の前まで歩いて移動して射る『御歩射(おびしゃ)』といわれる昔ながらの形式で行われています」と鈴木さん。それ以降の男児は流鏑馬の名の通り、木馬にまたがり、裃姿の神社役員の介添えによって的の前まで移動して射る。伝統的な射手装束をまとった子供たちが一生懸命的を射る姿に、会場は温かいムードに包まれる。1963年には東京都の無形民俗文化財に指定された伝統行事、ぜひ現地で観覧しよう。

木馬にまたがった子供たちは介添え人に引かれて的の前まで移動する。

開催概要

「七草こども流鏑馬祭」

開催日:2025年1月7日(火)
開催時間:12:30~15:30頃
会場:六郷神社(東京都大田区東六郷3-10-18)
アクセス:京浜急行電鉄本線六郷土手駅、雑色駅から徒歩7分

【問い合わせ先】
六郷神社☎03ー3731ー2889
公式HP:https://rokugo.or.jp/

取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供

香取麻衣子
ライター
1980年生まれ。『散歩の達人』編集部でのアルバイト経験を経て、2010年からライターとしての活動を開始。あだ名はかとりーぬ。『散歩の達人』では祭り&イベントのページを長らく担当。青春18きっぷ旅や山歩きなどのんびりと気ままにお出かけするのが好き。あとビールや美術館めぐりも大好物。

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