【倉敷観光】ハンドメイドでも人気の畳縁の工場見学&ミニ畳づくりを体験
畳縁(たたみべり)をご存じでしょうか。畳の角の摩擦を防ぎ、畳を敷き合わせる際に隙間ができないようにする役割がある、側面に付けられた布のことです。旅館などで見かける畳縁は単色の深い色をしているイメージですが、最近は様々なデザインが登場していて、ハンドメイドの素材としても人気があります。倉敷市児島は、畳縁の国内シェアの約8割を占めており、倉敷観光のお土産にも人気です。今回は、畳縁シェア日本一の「髙田織物株式会社」にお邪魔しました。畳縁の工場見学、ミニ畳の制作体験の様子や工場直営のショップをご紹介します。
有名企業からの注文実績がすごい「髙田織物株式会社」
「繊維のまち児島」に会社、工場、ショップがある、髙田織物株式会社は畳縁の種類とシェアで日本一。1890年頃(明治時代)から繊維製造を始め、1950年に畳縁の製造に着手しました。現在は畳縁の製造、販売に加えて、10名以上の団体向けに工場見学とミニ畳の制作体験も行っています。
髙田織物は実績も半端ない!本来の用途だけでなく、オーダーメイドのオリジナルの畳縁も製作しています。自治体や有名企業とコラボレーションし、カード入れ、コインケース、小物入れなどを作っています。超有名ハイブランドからの依頼もあったそうですよ。
年間2,000人が訪れる工場見学
工場見学には年間2,000人が訪れるそう。初めに案内されたのは、整経工場です。ここでは、仕入れた糸を織機にかけられるように、ビームに巻き直していきます。ベースとなる黒の糸や色を出したり、模様をつけたりするカラフルな糸がたくさんありました。
整経工場の次に訪れたのは、実際に畳縁が織られている第1工場です。扉の外まで機械音が聞こえてきます。工場の中には、50台の織機が均等に配置されています。古いものでは約40年前から使っているものもあるそうで、壊れたら修理をして大事に使っています。
機械の上部にある紙は、柄を出すための“紋紙”といわれるものです。小さな穴がたくさん開いています。畳縁の設計図のようなもので、工場にはものすごい数の紋紙がありました。昔は木製のものを使っていたそうです。
紋紙をセットしたら、1つの機械で同時に同じデザインを最大6本織ることができます。列ごとに糸の変更ができ、色違いのデザインも作れます。縦糸で色や模様を出していきます。
児島といえばジーンズをイメージされるのではないでしょうか。こちらはデニム生地の畳縁です。1分間に約50cmの速さで織られていきます。
工場には合計約100台の織機がありますが、機械にもそれぞれ個性があるそうです。そのような少しの違いも見逃さず、繊細な仕事をされている職人の方々。写真は、糸をつなぎ合わせる作業の様子です。
第2工場にやってきました。こちらにも約50台の織機があります。最新の機械を導入していて、紋紙が電子化されています。より複雑な柄に対応でき、通常の1.5倍の速度で織り進めることができます。その他、単色のみを織る機械では、綿を使用した落ち着いた色味の畳縁を製造していました。それらは、主に無形文化財の建物や旅館で使われています。
最後に訪れたのが、艶付工場です。綿の糸は切れやすいため、強度と艶を出す作業が行われていました。
写真は、糸に糊を付けている様子です。天気や季節によって、湿度や温度が変わるため、糊の濃度を調整しています。綿の畳縁は、糸の段階でこのように手間と時間がかかっています。約40分の工場見学でしたが、70年以上続く技術と伝統がどのように繋がれてきたのかを体感することができました。工場見学楽しい!
世界に1つだけのミニ畳を作ろう
髙田織物ではミニ畳作りもできます。まず、約80種類のデザインの中から好きな畳縁を選びます。私は、ハンドメイド作家の方がデザインした飛行機のものを選びました。たくさんあるので好みのデザインが見つかりますよ!
海外の方には、日本らしい柄が人気だそうです。選ぶ際に、招き猫は商売繁盛にご利益があり、だるまは病気や災難を防げる縁起物だという意味をお伝えすると喜んでくれるのだとか。
折り目をつけ、クラフトピックで固定し、小さな釘で畳縁とボードを留めていきます。社員の方が丁寧に教えてくれるので、器用でない私でも無事に完成しました。
工場見学、制作体験の詳細
世界に1つだけのミニ畳が完成。大満足です。花瓶やインテリアの飾り台として使ったり、コルクボードのように写真やハガキを貼って飾ったりできます。旅の思い出にもなり、自分のお土産にもなる最高の体験でした。
ミニ畳の制作体験も工場見学と同じく、10名からの申込になりますが、友人家族との旅行やサークルの合宿旅行などで訪れた時など、倉敷・児島観光の候補に入れてみてはいかがでしょうか。国内・海外ツアーや校外学習などでの申し込みも多いそうですよ。
【工場見学、制作体験の詳細】
コース①工場見学のみ(所要時間約40分)
コース②工場見学+ミニ畳の制作体験(所要時間約90分)
コース③ミニ畳の制作体験のみ(所要時間約50分)
※ミニ畳の制作体験は990円(税込)かかります。
※参加は小学生以上からになります。
※日本からの団体申込はお電話で、海外からの団体申込はメールでお問合せください。
【髙田織物株式会社】※工場見学・制作体験のお申込み
所在地:岡山県倉敷市児島唐琴2-2-53
TEL:086-477-7162
営業時間:9:00~17:00
定休日:日曜日・祝日(土曜日不定休)
メールアドレス:info@ohmiyaberi.co.jp
駐車場:あり
畳縁の生産工程について動画で紹介
1,300点以上の品揃え&アウトレット商品も購入できる「FLAT」
工場直営の畳縁ファクトリーショップ「FLAT(フラット)」は、どなたでも立ち寄ることができます。倉敷美観地区にも店舗がありますが、工場直営のショップは種類が豊富!定番の柄だけでなく、現品限りのアウトレット商品を購入できるのも魅力です。
「祝い菊」は特に人気の商品。ハンドメイドの素材として、ワンポイントにすると可愛い!その他にも、裏地を必要としないリバーシブルの畳縁もよく選ばれているそうです。作りたいアイテムによって、畳縁の柔らかさ、硬さ、肌ざわりを確かめて、加工しやすいかどうかも選ぶポイントだそうですよ。
岡山を代表する名所のデザインのカード入れは、観光のお土産にピッタリ!小銭入れとしても使えます。有名武将の家紋の柄などもありました。どれにしようか悩む時間も楽しい。
「ミニ畳づくりキット」も販売中
制作体験に参加できなかった方にも楽しんでいただけるように、ミニ畳づくりキット(2,640円/税込)も販売しています。
「FLAT」では、ハンドメイドレシピも無料で配布しています。もっと詳しく知りたい方には、畳縁のハンドメイドレシピ本も取り扱っていますので、チェックしてみてください。その他、ミニネクタイ、マルシェバッグなど材料がすべて揃っているキットも販売しています。
【FLAT児島本店】
所在地:岡山県倉敷市児島唐琴2-2-53(高田織物株式会社敷地内)
TEL:086-477-6777
営業時間:10:00~15:00
定休日:日曜日・祝日(土曜日不定休)
駐車場:あり
ハンドメイド作家の作品を展示「SQUARE」
FLATの奥にある木造の建物「SQUARE」では、ハンドメイド作家の作品を展示しています。また、これまで髙田織物が自治体や企業とコラボレーションしてきた特注の畳縁も並べられていて、「長野オリンピック」や「ブルーインパルス」といったデザインもありました。見つけてびっくり、眺めて楽しい展示室です。
まとめ
日本の文化を知りたいと欧米やアジアからの来訪者も多く、国内からの人も含めると、年間約2,000人が髙田織物に訪れます。畳縁の製造工程を見せていただいて感じたことは、職人技であること。デザインを起こし、糸を選び、96台もの機械の個性を把握する。天候や季節によって、温度や湿度を調整する繊細な作業もあり、髙田織物の長い歴史と伝統を見ることができました。
倉敷美観地区から車で約30分、児島ジーンズストリートから車で約15分の距離ですので、近くに訪れた際はぜひ足を延ばしてみてください。