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「鰻と梅干しは食べ合わせが悪いのは迷信!?」【医学的な側面から考える「食べ合わせ」】

TBSラジオ

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新進気鋭のコラムニスト、ジェーン・スーが、生活情報や人生の知恵をナイスなミュージックと共に綴る番組。

ゲストは、医療ジャーナリストで医師の森田豊さん。

食べ合わせについて医学的見地から考える

例えば「鰻と梅干し」は、一般的に「お腹が痛くなったりして食べ合わせが悪い」とされていますよね。
しかしこの食べ合わせ、実は全くの迷信で医学的な根拠もなく、さらに栄養面から考えると、とてもすばらしい食べ合わせなんです。
鰻はビタミンA、B1などを多く含み、疲労回復に効果的。梅干しに含まれるクエン酸は、胃酸の分泌を促し、鰻の脂分の消化を助けてくれるので、むしろ一緒に食べることをオススメしたいくらい。
なぜこの食べ合わせが悪い言われてきたかというと、昔は、鰻の脂っこさと、梅干しの酸味が刺激し合って、消化不良を起こすのではないか、と考えられていたからなんですね。
さらに、サッパリとした梅干しが食欲を促すので、高価な鰻を食べすぎてしまう、なんてことになり、「贅沢につながるから」という意味から食べ合わせが良くないと言われてきたようです。
ちなみに、鰻との食べ合わせで一番オススメできないのは、「桃」
桃に含まれる有機酸は脂肪の吸収を妨げ、脂の消化に悪影響を及ぼす可能性があると考えられています。ですので、鰻を食べた後、すぐに桃を食べると胃腸に負担がかかるので、できれば避けた方がいいでしょう。

今回はこの「鰻と梅干し」や「鰻と桃」のように、「実は食べ合わせが良いもの」、そして「意外にも一緒に食べることをあまりオススメできないもの」を、医学的見地から考えてみようと思います。
※「一緒に食べることをオススメしない」というのは、一緒に食べることで重大な健康被害を引き起こすというものではなく、両者の栄養がしっかりと取れないというものになっています。ご自身の食生活の参考にしてみてください。

『味噌汁の具の定番「ワカメ」と「ネギ」は一緒に摂取しない方がいい!?』

幾度となく味噌汁で見た組み合わせですが、実は、ネギにはカルシウムの吸収を阻害してしまうリンや硫化アリルなどの成分が含まれています。ネギをワカメと一緒に食べることで、ワカメに含まれているカルシウムを十分に摂取できなくなってしまう可能性があるのです。
体内のリンとカルシウムのバランスを調節するには、ビタミンDがオススメ。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けるので、リンを過剰摂取した時に効果があります。ビタミンDを多く含む食材は、キクラゲ、しらす干し、青魚などになります。

「ワカメ」と「ネギ」のように、定番の組み合わせでも栄養面から見たら「あまり良くない」というものが身近にあるんです。他には例えば、「ほうれん草」と「ゆで卵」もそれに該当します。
ほうれん草は鉄分が豊富で、女性に多い貧血の対策にはとてもよい食材です。しかし、ゆで卵と一緒にたべると、鉄分の吸収が妨げられる可能性があります。原因は、卵をゆでる際に卵白から発生する硫化水素に含まれる硫黄が、ほうれん草に含まれる鉄分の吸収を妨げることがあるから。
ただ、硫黄は卵を割ればすぐに気化して空気中に飛んでしまうので、卵の殻を割って調理する目玉焼きやスクランブルエッグ、オムレツなどであればその心配は無用になります。レバーやひじき、煮干しなど、鉄分を多く含む食材を食べる際にも、ゆで卵との食べ合わせには注意しましょう。

『居酒屋メニューでお馴染みの「枝豆」と「チーズ」もオススメできない!?』

お酒を飲む方だと居酒屋でも頼みがちですが、「枝豆」と「チーズ」もオススメはできません。枝豆に含まれているフィチン酸が、チーズに含まれるカルシウムの吸収を妨げてしまう可能性があるんです。日本人はカルシウム不足といわれていて、カルシウムを上手に摂取しないと骨粗鬆症の原因にもなってしまいます。
本来、チーズは小魚などよりもカルシウムを効率よく摂れる食品ですから、それを無にしてしまうのはもったいないんです!また、枝豆に含まれるフィチン酸は、カルシウムだけでなく、鉄などのミネラルの吸収を阻害してしまう恐れがあります。枝豆は栄養面において非常に優れている食材ですが、鉄分の多い食材とは一緒に食べない方がいいかもしれません。

同じタイミングで食べる機会が多いものだと、お刺身や寿司のネタの組み合わせで「イクラ」と「ホタテ」なんかもあまり良くないんです。ホタテなど二枚貝全般に含まれるアノイリナーゼという酵素に、イクラに豊富に含まれているビタミンB1を破壊してしまう可能性があるためです。
ホタテだけでなく、赤貝、アサリ、ハマグリなども同様ですが、火を通すことによってその働きは失われるので、加熱した場合は心配がいらなくなります。
また、アノイリナーゼの作用は、ニンニクやネギに含まれる硫化アリルによって妨げることができるとされているので、もし貝の刺身をいくらと一緒に食べるのであれば、ニンニクやネギを薬味に使うのもいいのではないでしょうか。

『実は「生ハム」と「メロン」は奇跡的によくできた組み合わせ!』

「生ハム」と「メロン」は、イタリアやスペインの伝統的な食べ物ですが、ハムの強い塩味がメロンの甘みで和らげたり、あるいはメロンの青臭さをハムの風味で消すといった、味覚上の意義から発達した料理とも言われています。この「生ハム」と「メロン」の組み合わせ、医学的にみても実はとても好ましいんです!まさに奇跡!
生ハムは多量の食塩、すなわち塩化ナトリウムを含みます。塩化ナトリウムの取りすぎは、高血圧などの原因になるとも言われていますが、メロンにはカリウムが多く含まれており、体の中の食塩として存在するナトリウムを排出する働きがあるのです。生ハムの塩分をメロンが調節してくれることになり、栄養上、医学的観点からも好ましい食べ合わせなんですね。
他には、例えば「とんかつ」と「キャベツ」のペアですね。キャベツには、塩素、硫黄などが含まれ、これらには、消化、吸収を助けてくれる働きがあります。キャベツ特有の成分であるビタミンU(キャべジン)にも、胃酸過多によるむかつきを抑えてくれる作用があります。
キャベジンと聞いて胃腸薬を思い出す方も多いと思いますが、ビタミンUは抗潰瘍作用、胃腸病全般の予防や回復に効果的なので、胃腸薬にも配合されているんですね。

『納豆を熱々のご飯にかけることは、実は好ましくない!?』

この組み合わせは、過去にこの番組でもお話しさせていただいたことがありますが、納豆にはナットウキナーゼという成分があり、血栓症の予防に効果が期待されています。
このナットウキナーゼですが、50度以上の温度で働きが鈍くなり、70度ではほとんど働かなくなることがわかってきました。熱々のご飯は50度以上になってしまうことが多いので、あまりオススメできません。
通常、人がご飯を美味しいと感じるのは「40~48度のほんのり温かいごはん」という研究結果も出ているので、炊き立ての熱々でなければ大丈夫です。

(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)

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