創業は昭和47年。那珂川市最古レベルの老舗喫茶店「エデン」【福岡県那珂川市】
いつの時代でも「カフェ」という存在は人々をトリコにします。近年のSNS人気も相まって、おしゃれなカフェ巡りを楽しむ女性も多い中、脚光を浴びているのが「昭和レトロな喫茶店」や「ネオ喫茶」と呼ばれるお店。中年以上の方はノスタルジックを感じ、若者にとってはおしゃれなカフェにないレトロ感が斬新だと感じるんだそうです。この記事では福岡にあるそんな「昭和レトロを感じられる喫茶店」や「ネオ喫茶」をご紹介していきたいと思います。
国道385号線沿いの一角に佇む「エデン」
今回ご紹介する「エデン」の場所は福岡県那珂川市片縄。
福岡市博多区と柳川市を結ぶ国道385号線(通称:けやき通り)に面しています。
向かいにはベスト電器那珂川店、並びにはパチンコ屋さんやMEGAドン・キホーテがあります。
こちらが「エデン」の外観。多くの車が行き交う国道385号線沿いにひっそりと佇んでいます。
色褪せた「チモトコーヒー」の看板。
チモトコーヒーとは創業1927年を誇る日本有数の老舗コーヒー豆卸会社。かつての喫茶店のコーヒー豆と言えば、このチモトコーヒーを採用しているお店が多かったんです。
切り出した木のプレートも年季が入っています。毎朝9:00〜11:00はモーニングサービスが実施されています。
昭和の名残りが感じられるノスタルジックな店内空間
ドアを開けて入店すると、まさに「昭和の喫茶店」という昔懐かしい雰囲気が漂っています。
木造りのカウンター。並んでいる椅子からも長い年月が感じられます。
窓側には4人掛けのテーブル席が2つ。プランターが置かれた窓からはひっきりなしに車が行き交う国道が眺められます。
入り口横の本棚にはコミック雑誌がぎっしり。コーヒーを飲みつつ漫画を読み耽ってみるのも良いですね。
カウンター裏のカップボードやレトロ調のランプシェードも良い味わいを醸し出しています。
金属製のランプシェードもありました。重厚かつクラシカルなデザインです。
壁に飾られているエデンの詩は、常連さんからのプレゼントなんだとか。
こちらのジグソーパズルも常連さんの作品とのこと。こうして常連さんたちに長きに渡り愛され、良き拠り所になっているんです。
なんと!懐かしの「テーブルゲーム」も現存してます!
そして何より注目したいのが「テーブルゲーム」の席。
このテーブルゲームが昭和後期の喫茶店でよく導入されていたもので、文字通りテレビゲームができるテーブルなのです。
100円玉を入れるとゲームがプレイでき、中でもインベーダーゲームは社会現象になったほどでした。
ちなみにこちらのテーブルゲームのジャンルは麻雀とのこと。今でも電源を入れると画面が映るんだそうですよ。(実際にゲームができるかどうかは不明とのことでした)
エデンの歴史
おっとりした関西弁の店主・日高澄子さんにお話を伺いました。
元々、日高さんは大阪に生まれ育ち、以前はご両親とともに大阪で理髪店を営まれていたそうです。
やがてご両親が「土地を買って商売がしたい」という思いから、土地代が高い大阪を離れ、澄子さんのお母様の出身地である福岡で土地を探していたところ、現在の那珂川市片縄に移住されることになったんだそうです。澄子さんが23歳の時でした。
そして理髪店から喫茶店へと業態変更し、昭和47年(1972年)に「エデン」を開業されました。
店名はジェームズ・ディーンの映画「エデンの東」に由来するそうですが、詳しくは分からないんだそうです。
開店から数年後の店舗付近の写真。青い屋根がエデンの場所。現在の国道385号線も当時はこんなに細い道だったのです。
当時の那珂川市片縄周辺は田園地帯で、開店当初は「どうしてこんな田んぼの真ん中で喫茶店をはじめたの?」と言われることも多かったんだとか。
そんな中でも、那珂川市では珍しかった喫茶店とあって、那珂川町役場(当時)の方をはじめ近隣住民の方が足繁く通うようになりました。
その後、お店の前の国道385号線が拡張されて以降、近隣にも大型店舗が増え続け、現在のような街に移り変わっていったそうです。
ちなみに、先代であるお父様(御年92歳!)は今でも時折お店を手伝ってくださっているんだとか!
老舗喫茶店らしい懐かしさを感じるメニューの数々
それではメニューのご紹介。
毎朝9:00〜11:00はモーニングセットがあり、12:00〜14:00は焼肉・ハンバーグ・唐揚げ・焼きそば・野菜炒め・とんかつの6種類のランチセットがオーダーできます。
そのほかトーストやミックスサンドといった軽食やドリンクも充実しています。
今回はちょうど朝の時間帯だったので「モーニングセット」をオーダーしてみました。トーストに目玉焼きとサラダ、そしてコーヒーが付いて税込550円と実に良心的な金額です!
オーブンで焼き上げたトーストはバターがじっくり染み込んだふかふかの食感。目玉焼きとサラダ、そしてドリップコーヒーまでいただくと、十分にお腹が満たされました!
親子二代にわたって50年以上愛され続け、今では那珂川市内の喫茶店でも最古レベルの存在となった「エデン」。
「いつまで営業を続けるか分かりません」と店主の日高澄子さんは笑いますが、この日も頻繁に常連さんが来店されていました。そんな常連さんたちにとっての良き居場所として、1日でも長くお店が続くことを願っています。
エデン
住所:福岡県那珂川市片縄4丁目15
TEL:092-952-4167
営業時間:9:00〜18:00
定休日:お正月のみ
喫煙:不可