「遺伝」の正体って一体何なに?【眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話】
そもそも「遺伝」とは何?
遺伝が「あなたらしさ」を形づくる
人間は父親の精子と母親の卵子から、それぞれ本の染色体を受け継いで生まれてきます。そのためか、「遺伝」は親から子へと世代を通して受け継がれてきた特徴や体質、親と子を似させるものといったイメージが一般的です。
しかし、精子と卵子がつくられる際には染色体が分裂して、そのどちらかひとつがランダムに選ばれる「減数分裂」が起きます。さらに、染色体のランダムな組み換えも起きるため、両親が持っていたものとは異なる遺伝子の組み合わせをあなたは引き継いでいます(詳しくは30ページを参照)。それは、あなたの中に潜在している、あなた独自のもので、あなたという人間をあなたらしい個性につくり上げていきます。それこそが「遺伝」だといえるでしょう。
こうして子どもが親から受け継いだ、子ども自身の遺伝子の組み合わさり方を「遺伝子型」といいます。どのような遺伝子型を持っているかで、子どもにはさまざまな特徴が現われてきます。そうした特徴のことを「形質」といい、髪の色、体格、顔立ち、パーソナリティなど観察できる形質のことを「表現型」と呼びます。
近年の研究で、どのような遺伝子型がどういった表現型に対応しているか、じょじょに明らかになってきています。しかし、まだまだ未解明なことが多いのが現状です
両親の遺伝子が組み合わさって子どもに受け継がれる
父親の精子と母親の卵子は減数分裂によってつくられます。さらに、遺伝子の組み換えも起き、両親の遺伝子の配列はランダムにシャッフルされます。
そのため、子に受け継がれる遺伝子の組み合わせは父親、母親とは異なる独自のものなのです。
身体、知能、性格、あらゆる形質に遺伝は関わっている
「遺伝子型」と「表現型」って?
遺伝子型
親から子に受け継がれた遺伝子の組み合わさり方のことでAA、Aa、aaといった記号で表わします。どのような遺伝子型を持っているかによって、子どもにはさまざまな「形質」が現われてきます。
表現型
姿や体の部位の形・大きさ、生理的な特性といった観察できる形で現われる「形質」のことです。単一の遺伝子によって決まる形質もありますが、ほとんどは多数の遺伝子が関与しています。
「遺伝」という言葉の語源と、その意味するもの
遺伝という言葉は英語では「genetic」、「heredity」といいます。「genetic」は遺伝子を意味する「gene(ジーン)」が語源で、このgeneに「〜する」を意味する「ate」を付けると、つくり出すという意味の「generate」になります。また、中国語でも遺伝子は「基因」と書いて「ジーン」と読みます。一方、「heredity」は相続、継承を表わすラテン語を語源としていて、派生語に世襲を意味する「hereditary」などがあります。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』著:安藤 寿康