男性のセクハラ被害、3人に1人が経験 「告発するのが恥ずかしい」「信じてくれない」などの声も
ウェブギフト(東京都豊島区)は11月20日、男性が受けた職場でのセクハラに関するアンケート調査の結果を公表し、男性の3人に1人が職場でセクハラを受けた経験があることがわかったと発表した。
一方でセクハラ被害の目撃は全体の2割程度にとどまり、被害者の半数が「誰にも相談していない」ことも調査結果から明らかになった。同社は「企業は『セクハラ被害者=女性』という固定観念を改め、男性被害者の声にも耳を傾けるべきだ」と指摘している。
「体を触られる」「性行為の強要」、男性セクハラ被害の実態
調査は10月22日から29日にかけて20歳代以上の男性を対象にインターネットのアンケート調査で実施し、300人から回答を得た。
職場でのセクハラを経験について、「ある」と回答した男性の割合は全体の30.7%に上った。
アンケートに寄せられた主なセクハラの内容は以下の通り。
・体を触られる
・性行為の強要
・プライベートなことを聞かれる
・性的な質問をされる
・「男なんだから!」といった性別を理由にした押し付け
・容姿を馬鹿にされる
「体を触られる」では、「相談をしたときに、上司から肩を組まれたあとに下半身を触られ、抗議をしたら『冗談だよ』とごまかされた」(40歳代男性)、「女性上司を含めた飲み会でパンツ一枚でお酌を強要され、酔ってきてから股間を触られた」(30歳代男性)など過度なボディタッチに不快感を覚えたといった回答が多く見られた。
また、「性行為の強要」では、「年上女性から、仕事の弱みを握られて性行為を強要された」(30歳代男性)など、社内での立場を利用して性的行為を要求するケースがあったほか、「プライベートなことを聞かれる」では、「既婚女性に、『なぜ結婚しないのか』をしつこく聞かれた」(60歳代以上男性)などの声が寄せられた。
「性的な質問をされる」では、「社会人1年目の時、性体験の有無を聞かれ、『ない』と答えると、ことあるごとに『童貞だから』といわれた」(30歳代男性)、「上司に風俗に行くタイミングや回数を聞かれた」(40歳代男性)など、プライバシー侵害のケースが目立った。
「性別を理由とした押し付け」では「上司は女子社員がミスしても何も言われないのに、私が少しでもミスをすると『男のくせに使えねえ』などと罵声を浴びせられた」(50歳代男性)など、「男らしさ」を過剰に要求するといった、性別を理由に不当な扱いをするケースがあった。
少ない目撃経験「明るみに出ていないセクハラ被害も」
ほかの同僚男性のセクハラ被害を目撃した経験については、「ある」との回答は、全体の21.7%にとどまった。同社は「セクハラの被害経験者の割合に比べて、目撃者の割合が低いことから、実際には明るみに出ていないセクハラ被害が潜在的に存在する可能性も示唆される」と分析している。
また、セクハラを受けた経験がある人が、セクハラ被害を誰に相談したかについては、112人中60人が「誰にも相談していない」と回答し、半数近くが被害を打ち明けず、一人で被害を受けた事実を抱え込んでいた。
アンケート調査では、「男性のセクハラ被害は周囲が信じてくれない雰囲気がある」(40歳代男性)、「告発すること自体が恥ずかしい」(30歳代男性)などの声が挙がっており、女性以上に被害を恥ずかしく感じ、セクハラ被害を訴えにくい側面が浮かび上がった。
求められる「セクハラ基準の明確化」
職場でのセクハラ防止策については、「セクハラの基準を明確にする」ことを求める声が207人と最も大きく、次いで「社内に相談窓口を設ける」(151人)、「加害者の処罰を明確にする」(140人)と続いた。
同社は「セクハラ防止には、何がセクハラに当たるのか基準を明確にし、加害者への罰則を設けることも重要だが、根本的な意識改革なくしてはセクハラ防止には不十分。性別に関係なく、一人ひとりの尊厳を守る職場作りが問われている」とコメントしている。
ウェブギフトの発表の詳細は同社のプレスリリースで確認できる。