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「雪はどうして白い?」「雪の日は静かなのはなぜ?」冬に知りたい雪の疑問を解決!

さんたつ

1-8富山雪景色①

はらはらと降り積もる真っ白な雪。銀世界に一変した世界は、冬限定の楽しみです。特に、めったに雪の降らない太平洋側の地域では、舞い落ちる雪にロマンを感じる人もきっといるでしょう。そんな神秘的な雪には数々の不思議が詰まっています。「雪はどうして白く見えるのか?」「雪の日は静かに感じるのはなぜ?」など、雪に関する素朴な疑問にお答えします。

当たり前のことのようだけど……どうして?雪が白く見える秘密

雪の積もった景色を美しいと感じるのは、その純白さのためではないでしょうか?

何色にも染まっていない純粋無垢な様は、見ている人の気持ちを落ち着かせる力があるように思えます。ですが、なぜ降り積もった雪は白く見えるのか疑問に感じたことはありませんか?雨はどんなにたくさん降っても無色透明です。

雪も雨と同じく水分なのに、なぜ違うのでしょうか?

都心部の公園にうっすら積もった雪。青い空とのコントラストが効いている。

まず、私たちが物の色を認識できるのは、光が関係しています。太陽や電灯が発する光には、波長の違うさまざまな色が混ざり合っています。物に光が当たる時、そのうち一部の光は反射して私たちの目まで届きます。その光の波長が持つ色を見ているのです。

そのさまざまな種類の色の中で、特別なのが白です。白は、全ての波長の光が反射した時に見える色なのです。

雪の粒一つひとつは雨と同じ透明をしていますが、粒が重なり合って塊になったり積もったりしていくと、粒と粒の合間に空気の隙間ができます。光はこの隙間を通ることで色々な方向へと乱反射するようになり、さまざまな色が混ざり合うため白く見えるのです。

削った氷が積もったかき氷も、雪と同じ理由で白く見える。

雪の日はいつもより静かに感じる……その理由は?

辺り一面、どっさりと雪の積もった日は、いつもよりシーンと静まり返ったような空気を感じるかもしれません。

雪の粒が重なり合うと、粒と粒の間には隙間が生まれます。隙間があることで光が乱反射して雪は白く見えることは先ほどお伝えしましたが、この隙間は周りの音を吸収する作用もあります。このため、雪の日は普段に比べて静かに感じるということが起こります。

雪が降る様子を「しんしん」と表現することがありますが、科学的にも納得のいく素敵な言葉ですね。雪の積もった日は、誰もいない朝早くに出かけると、より一層、静寂な世界を感じられそうです。

早朝の銀世界で静寂を独り占めしたい。

ぼたん雪、わた雪、ざらめ雪。どう違うの?

ぼたん雪、粉雪、わた雪、ざらめ雪……。雪にまつわる日本語は数えきれないほど多く存在します。雪と一口に言っても、その場の気象条件によって少しずつ姿が変わります。

「ぼたん雪」や「ぼた雪」と呼ばれる雪が降るのは、比較的気温が高く、湿気がある時です。

空気が湿っていると雪は水分を多く含むため、雪同士がくっつきやすく重たい雪になります。ボタボタと落ちて、ぼたんの花のように大きな雪のかけらになって降るため、こうした名前が付けられています。水分を含んで積もった雪は「べた雪」や「スノージャム」とも呼ばれます。

首都圏で降る雪は、水分が多く路面状況が悪くなりやすい。

一方で、気温が低く、空気が乾いている時に降る雪を「粉雪」といいます。

北海道など冷え込みの強い地域でよく降る雪で、「パウダースノー」とも呼ばれます。「さっぽろ雪まつり」の時期に北海道を訪れた際に積もった雪を触ってみると、サラサラとしていて本当に粉砂糖のような感触だったことに驚きました。

サラサラとした北海道の雪。「さっぽろ雪まつり」の雪像は水を混ぜて作りやすくしているそうだ。

ほかにも、ふわふわと綿のように降る雪を「わた雪」、降り積もる雪の重みなどによって固くしまった雪を「しまり雪」というほか、積もった雪が融けたり凍ったりを繰り返し、金平糖のような状態になると「ざらめ雪」と呼びます。

大雪やふぶきになると困ったものですが、適度に降り積もった雪道を歩くのは他の季節とは違った発見があるものです。お出かけの際には雪の不思議に思いを巡らせながら、足元にも気を付けてくださいね。

文・写真=片山美紀
参考:
『改訂版NHK気象ハンドブック』/NHK放送文化研究所
『お天気キャスターが教える ふしぎなお天気のいろいろ』/小林正寿(repicbook<リピックブック>株式会社)

片山美紀
気象予報士
大阪府出身。大学卒業後、放送局での勤務を経て気象予報士、気象キャスターに。街歩きをしながらお天気ネタを探すのが趣味。空を眺めようと上を向きがちです。NHK総合「首都圏ネットワーク」などに出演中。

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