静岡駅前には世界的芸術家の作品 静岡市中心部に集中する裸婦像 市長が違和感
■静岡市の難波市長「裸婦像多すぎる」、「時代遅れ」
時代の変化に伴い、世界的な芸術家の作品が議論の的になっている。JR静岡駅前の広場に設置されているルノワールによる裸婦の彫刻像などに対し、静岡市の難波喬司市長が「市内に裸婦像が多すぎる」、「時代遅れ」と指摘した。市民の間でも撤去すべきと考える人は多く、設置の在り方を検討する時期を迎えている。
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静岡駅南口の駅前広場には、裸婦の彫刻像2体が設置されている。静岡市によると、フランス印象派の画家ピエール・オーギュスト・ルノワールと彫刻家リシャ―ル・ギノの共作。いずれも世界に14体しかない貴重な作品で、1994年度の駅前広場整備の際に、広場のシンボルとして設置された。
静岡市内には他にも、常磐公園や駿府城公園周辺に裸婦像がある。国内外から観光客が訪れる静岡市の中心地に複数の裸婦像が設置されていることに異議を唱えたのが、静岡市の難波市長だ。今月、静岡市議会第2会派の創生静岡から予算要望を受けた際、次のように話したという。
「静岡市内には裸婦像が多すぎると感じています。海外からの観光客が来た時、この街は何だろうと違和感を覚えてしまいます。あんなに目立つ場所に設置している街はないのではないか」
ルノワールの裸婦像をめぐっては、市議会9月定例会でも議題になった。市議の1人が、再整備の計画を進めている静岡駅南口広場の象徴として等身大のガンダム像の設置し、その費用は裸婦像2体を売却して捻出する提案をした。
■駅前広場再整備計画では裸婦像残す方針 静岡市民は…
静岡市はスペースの不足や渋滞を理由にガンダム像の設置を「現時点で考えていない」と答弁し、ルノワールの裸婦像は再整備後も市民や観光客の目に触れる場所に置く方針を示した。
静岡市民からは「世界的な芸術家の作品が駅前にあるのは観光客に向けたアピールになる。マイナス面よりプラス面の方が大きいと思う」、「彫刻の前で写真を撮っている観光客を見たことがある。駅前の象徴として一定の効果はあるのではないか」などの意見がある。
それに対し、「ジェンダーや男女平等が叫ばれている時代を考えると、ふさわしくないと感じる。公共の場ではなく美術館に展示した方が良いのではないか」、「静岡市自体が芸術の街をうたっているわけでもないのに、市内に裸婦像が多いのは違和感がある。観光客誘致につながっているとも思えない」といった撤去を支持する声の方が割合は高い。
裸婦像については静岡市以外でも議論となっている。兵庫県宝塚市では宝塚大橋の大規模改修に伴い、一時撤去した裸婦像を再び設置するかどうか意見が分かれた。「女性蔑視にあたる」という声が上がる一方、「芸術作品として長年親しまれている」という主張もあった。結果的に橋の整備計画で裸婦像の再設置は見送られた。
(SHIZUOKA Life編集部)