【葉山 イベントレポ】森戸大明神 新嘗祭 - 2000年続く収穫感謝の神事
毎年11月23日、日本中の神社で執り行われるお祭りがあることをご存知でしょうか?
それは新嘗祭(にいなめさい)と呼ばれるお祭りです。
「新」は新穀、「嘗」は神様にお召し上がりいただくことを意味します。
その年に収穫された新穀を神々に奉り、五穀豊穣の恵みに感謝する大祭で、例祭、祈年祭と並ぶ三大祭と呼ばれる日本の神社における最も重要な祭祀の一つです。
2000年以上続く収穫感謝の営み
その起源は稲作が始まった弥生時代に遡ります。
平安時代には国家的祭祀として制度化され、宮中恒例祭典の中でも最も重要なものとされてきました。
今年2025年9月9日、天皇陛下が皇居の水田でご自身が育てられた稲を刈り取られる様子が報じられました。
宮中の新嘗祭では、天皇陛下がご自身で育てられた新穀を神々に奉り、自らもその新穀をお召し上がりになられます。
森戸大明神の新嘗祭
葉山町の森戸海岸沿いに鎮座する森戸大明神でも、今年もこのお祭りが執り行われました。
森戸大明神での新嘗祭は総代世話人の方のみが参列され、一般公開はされていないのですが今回は快く取材を受け入れてくださり、私も神殿に入り、お祭りを見学させていただくことができました。
普段は入ることのできない神殿に足を踏み入れると、しんとした静寂な空気に包まれます。
奥の祭壇には既に、この地で収穫された野菜と共に、今年の新米が供えられていました。
画像出典:森戸大明神
画像出典:森戸大明神
画像出典:森戸大明神
その米は森戸大明神の禰宜が元会長を務めた神奈川県神道青年会が伊勢原で栽培した新米です。
県内の青年神職たちが自ら米を育て、収穫した米を県内の神社へ配布し、この新嘗祭で奉納しています。
境内のおせき稲荷社に奉納された神奈川県神道青年会のみなさんが育てた懸税(かけちから)は、あっという間にスズメが食べてしまったそうです。
画像出典:森戸大明神
祭壇には他にも、地元の米農家やアーティストでありながら葉山で米を育てている真砂氏から供えられた今年の新米が並んでいました。
静かで神聖な神事
定刻になると神殿に総代世話人が集まり、神事が始まりました。
まずはじめに、神職による修祓(お祓い)が行われます。
続いて氏子会からの幣帛料が奉られ、宮司が祝詞を奏上し、宮司と参列した総代世話人全員が玉串奉奠(玉串を供える)を行い、約20分ほどでお祭りは終了しました。
静かで神聖なお祭りからは、先祖から受け継いだ伝統をしっかりと守る神社の姿勢と、日々いただいている豊かな食物への感謝が感じられました。
春の祈年祭と対をなす重要な祭祀
新嘗祭は、春に執り行われる祈年祭(きねんさい・としごいのまつり)と対をなす神事になります。
3月の祈年祭では、これから始まる農作業の無事と豊作を祈願し、そして秋の新嘗祭で、実際に収穫された新穀を神々に奉り、その恵みに感謝します。
この二つの祭祀が、日本の稲作文化を支える神事の両輪となってきました。
森戸大明神でも来年3月、春分の日に祈年祭が執り行われます。
春に豊作を祈り、秋に収穫を感謝します。
この一年のサイクルを通じた神事、次は春の視点から取材させて頂きたいです。
改めて知る米のありがたみ
昨今、米不足が騒がれています。
この新嘗祭の取材を通じて、日本人にとっての米のありがたみと、その収穫を神に感謝してきた日本の文化を改めて認識する機会となりました。
総代世話人のみが参列する厳かな神事を見学できたことは、私にとって非常に貴重な経験となりました。
どうも有難うございました。
森戸大明神 新嘗祭
開催日
2025年11月23日
開催場所
森戸大明神
住所:神奈川県三浦郡葉山町堀内1025
駐車場:あり