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七福神とは?福を招く神様たちに日本美術で出会う!

イロハニアート

誰もが願う幸せや豊かさ。古くから日本人は、さまざまな神様にその願いを託してきました。中でも、七つの異なる福徳を司る神様たちが集まった「七福神(しちふくじん)」は、特に人々の信仰を集めてきた存在です。 美術館では、そんな七福神の姿を絵画や工芸などの日本美術を通して見ることができます。それぞれ何の神様なのか、美術品としてはどのように表現されているかを見てみましょう。

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七福神、月岡芳年(1882年)

, Public domain, via Wikimedia Commons.

七福神とは?


Seven lucky gods. Woodblock print by Kitao Shigemasa. Tokyo, 1772/1780. Chester Beatty Library J 2415

, Public domain, via Wikimedia Commons.

七福神とは、日本で広く親しまれてきた7人の神様の総称です。金運上昇や商売繁盛、長寿などそれぞれが異なる福徳を司り、ご利益があるとして室町時代から現代まで長く信仰されています。

そのユニークな点は、中国やインドから流入した仏教や道教にも影響されつつ、日本独自の神様として成り立っている点です。

寿老人(じゅろうじん)


白髪と杖、そして鹿を伴った仙人のような姿で描かれる寿老人は、長寿を象徴する福神として信仰を集めています。中国の道教に由来する南極星の化身、または老子であるとも言われています。

杖のほかには、不老不死の霊薬とされる桃の実を持っています。また、共に描かれる鹿は神の使いとされ、こちらも長寿を象徴する縁起の良い動物です。

福禄寿(ふくろくじゅ)


長く突き出た額、長いあご髭、大きな耳たぶとユニークな見た目の福禄寿。幸福(福)・地位と財宝(禄)・長寿(寿)の三つの福徳を併せ持つ、たいへん縁起の良い神様です。その由来は中国の道教にあると言われています。

仏教における宝である宝珠と巻物を携え、また、鶴や亀といった長寿の象徴とされる動物が共に描かれることもあります。

弁財天(べんざいてん)


七福神の中で唯一の女神である弁財天は、音楽や芸術、言語(学問)や財福の神として、幅広い分野で信仰を集めています。もともとはインドのヒンドゥー教の神がルーツであり、日本では水の神としても習合しました。

琵琶を奏でる美しい姿で表され、蛇が共に描かれることもあります。

毘沙門天(びしゃもんてん)


甲冑を身につけ、鋭い眼光で睨みを利かせた姿で描かれる毘沙門天。武勇と勝利、そして財福の神として信仰されています。仏教における四天王の一人である、北方を守護する多聞天がルーツです。

右手には宝棒という武器、左手には釈迦の遺骨である仏舎利が入った宝塔を持つ姿が一般的で、足元には邪鬼を踏みつけていることもあります。その力強い姿は、悪を払い、人々を守護する意志を表現しています。

恵比寿(えびす)


鯛を抱え、釣り竿を手にした愛らしい姿は、有名なビールメーカーの商品ラベルにも描かれています。七福神の中で唯一の日本生まれの神様で、漁業の神、そして商売繁盛の神として広く人々に親しまれています。

福々しい笑顔と丸みを帯びた体つきは、見ているだけで心が和みます。鯛は「めでたい」に通じる縁起物であり、恵比寿様の象徴です。

大黒天(だいこくてん)


大きな袋を背負い、打ち出の小槌を手にする大黒天。食物や財福、そして豊穣の神で、インドのシヴァ神の化身であるマハーカーラがルーツと言われています。

米俵の上に描かれることもあり、打ち出の小槌を振ると富が湧き出てくると信仰されてきました。

布袋尊(ほていそん)


ふくよかな腹を突き出した布袋尊は、無病息災や家庭円満などさまざまなご利益があると親しまれている神様です。中国に実在したとされる僧侶がモデルと言われています。

持っている袋は「堪忍袋」とも呼ばれ、何事も堪え忍ぶことの大切さを意味するものです。

七福神と日本美術


日本美術に表された七福神の姿には、日本の豊かな文化や信仰が凝縮されています。作品の中では七福神がいかにして表現されてきたのか、人々のどのような願いが込められているか、注目してみましょう。

絵画


日本画や水墨画、浮世絵といった絵画では七福神がよく題材として取り上げられました。

福禄寿,Fukurokuju

, Public domain, via Wikimedia Commons.

七福神巡りが流行した江戸時代には、絵師たちもその姿を描いています。一人だけを描くこともあれば、全員または数人を一緒に描くこともありました。

七福神。葛飾北斎(1760-1849年)、歌川国貞(1786-1865年)、豊国(1769-1825年)、鳥居清長(1752-1815年)

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彫刻


七福神の根付,Netsuke of Shichi Fukujin

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工芸品にも、七福神をデザインしたものが多く残されています。日本固有の芸術品として、江戸時代の庶民に親しまれた根付(ねつけ)にもモチーフとして取り入れられ、人々の日常生活で身近な場所にあったことが窺えます。

刀装具


武士の魂と称される日本刀の装飾にも、絵柄を取り入れやすい鍔に描かれるなど七福神のデザインが見られます。

七福神のつば,Tsuba with the Seven Gods of Fortune

, Public domain, via Wikimedia Commons.

また、刀身彫刻の例も見つかっています。栃木県足利市にゆかりのある、刀工・堀川国広が打った脇指「布袋国広」は刀剣の裏面に布袋が彫られ、布袋のご利益やそれにまつわる作り手の願いが込められていたのではないか、などと推測されています。


参照:産経新聞「「布袋国広」などの日本刀 5月19日から展示 栃木・足利の美術館」

七福神を日本美術で巡ろう


福徳をもたらす個性豊かな神々の姿は、絵画や彫刻、工芸品といったさまざまな日本美術の題材にもなってきました。美術館で七福神の描かれた作品に出会うことは、福を願う人々の想いに触れ、それぞれの神様の持つ意味や表現を知る良い機会となるでしょう。日本美術を通して、七福神との出会いを楽しんでみませんか。

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