広島の二俣翔一(磐田東高出身)「サード定位置狙う」プロ5年目は勝負の年。オフは巨人・岡本和真に“弟子入り”も
広島の二俣、24年は80試合出場
広島の二俣翔一内野手(磐田東高出)がプロ5年目の2025年、スタメン定着を期す。20年の育成ドラフト1位で入団し、22年11月に支配下契約。24年は80試合に出場し、年間を通じてほぼ1軍に帯同。122打席に立ち21安打、打率1割9分6厘。4月のヤクルト戦でプロ初本塁打を放った。新シーズンに向けて、チーム日本一への貢献と定位置確保に照準を定める。
守備で万能ぶり発揮
「チーム的には(9月に失速し)悔しい結果。自分ももうちょっとやれたんじゃないかという思い。打率だったり、チャンスで1本の打点だったり。もう少し数字を上げられたのかなというのがあります」と納得はしていない。
ただ、守備については内外野の計6カ所(一、二、三塁、遊撃、左翼、右翼)で出場するなど、万能ぶりを発揮した。「正直、守備固めで出ることになるとは想像もつかなかった。守備で信頼されているんだなと。それがなかったら、緊迫した場面で出されなかったのかなと。そういうところで1軍にずっといられたのかなと思うので、守備を頑張ってレベルアップできて良かった。どこのポジションが怖いというのはなかった。いろんなポジションができて自分のプラス材料になった。ただ25年の目標は定位置確保。一つのポジションにこだわり、サードで勝負したい」
打撃で貢献できる選手に
守備ではある程度の手応えを得ただけに、課題はバッティングだ。「(9月のチーム失速時は)悔しかった。点が取れなくて。ピッチャーとバッターがかみ合わなかった。その中でも勝ち抜かなきゃいけないのに」
シーズン終盤に打撃フォームを変更。「コーチに(打席での構えが)力が入っているように見えると言われて変えてみたんです。低い位置で構えて打ちにいく時に上げる。動きながら、動から動にできるようにイメージしながら、そういうフォームになった。それが良かったので続けてやっています。今までも打撃フォームを固めたりこだわったりすることはなく、いろいろ試しながらやってます。練習や試合の打席で気づき、悩みながらコーチと意見交換して改良しての繰り返し。困った時の引き出しにもなる。(5年目は)バッティングでチームに貢献したいです」
その試行錯誤が徐々に実を結びつつある。「(シーズン)最後の方で巨人の大勢さん、中日のマルティネス選手からヒットを打てた。プロの150キロ、155キロの速い真っすぐをしっかりヒットにできた。速い真っすぐへのアプローチが課題だったので、最後に打てたことで自信になった。来年につながる2本になった」とうなずく。
巨人・岡本に“弟子入り”
オフシーズンは巨人の主砲、岡本和真内野手の自主トレに参加する。シーズン途中の7月に東京ドームで岡本選手から承諾を得たという。「同じ右バッターで守備もうまい。自分はホームランバッターというよりアベレージで、外野の間を抜く長打を狙っていくタイプだけれど、岡本さんにいろんな面で教わりたい」と楽しみにする。
ドラフト1位は同学年
広島にドラフト1位で入団する佐々木泰内野手(青山学院大)ら大卒新人は同学年。「ユニホームを着てない時は同級生として仲良く話したり、飯行ったりしたいなというのはある。でもグラウンドに出ている時は絶対に負けないという気持ちと、自分の持っているものをしっかりアピールしていきたいと思っている」とやるべきことに集中する。
「チャンスはグラウンドに転がっている。ものにできるかどうかは自分次第。自分の野球人生がどうなるか、その1日で決まってしまう。5年目も危機感を持ってやっていきたい」と一日一日に勝負をかける。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)
【取材こぼれ話】プロを目指す静岡県の高校生は、社会人入りも視野に入れてしばしばヤマハ(浜松市)の練習に参加しています。ヤマハの選手に「今まで練習参加した高校生の中で最も印象に残った選手は?」と尋ねると、高校時代は捕手だった二俣選手の「爆肩」を挙げる選手が多く、二俣選手の強肩のインパクトは鮮烈だったようです。