「わざわざ」と伝えるときの英語表現 –––– go to the trouble to や bother to などのニュアンスをネイティブが解説 【ラジオビジネス英語】
「手間をかけて」「特別に」などの意味を表す「わざわざ」。例えば「わざわざ[はるばる]来る」はcome all the wayとも言いますが、ほかにも「わざわざ」を意味するフレーズはいくつもあります。
今回は「ラジオビジネス英語」8月号の「Lisa’s Expressions」から、「わざわざ」を伝える表現をご紹介します。
go to the trouble to
go through all the trouble to
go to the trouble to
go through all the trouble to
(わざわざ…する、…するために骨を折る)
「わざわざ頑張る」「わざわざ苦労する」というニュアンスの言い方。trouble toを下の例文のようにtrouble of -ingの形にしてもOKです。また2番目の例文のように、for nothingやin vainをつけた「わざわざ…したのに無駄だった」という形もよく用いられます。
Wow! You went to the trouble of making a full-course meal for us.
(わぁ! 私たちのためにわざわざフルコースのお料理を作ってくれたんだ)All the trouble we went through to get a plane ticket was for nothing [in vain] because a storm hit.
(わざわざ苦労して飛行機のチケットを買ったのに無駄だったよ。嵐になったからね)
go out of one’s way to
go out of one’s way to(わざわざ…する、無理をして…する)
「自分の道からそれて…する」「回り道して…する」ということからイメージしてください。「負担になるけれど…する」「手間をかけて…する」といった意味のフレーズです。
My editor went out of her way to come to the airport.
(私の編集者が、わざわざ空港まで来てくれました)
bother to
bother to(わざわざ…する)
「(そんなにしなくてもいいのに)わざわざ…する」という印象を与える表現。文脈によっては、「どういう風の吹き回し?」といった皮肉っぽいニュアンスになります。Don’t bother to . . .の形も一緒に覚えましょう。
She actually bothered to bake a cake for me? I can’t believe it.
(彼女が僕のために本当にわざわざケーキを焼いてくれたの? 信じられないよ)Don’t bother to bring a gift. Just bring yourself.
(わざわざプレゼントを持ってこないで。手ぶらで来てね)
make a special effort to
make a special effort to(…することに特に努力する)
「かなりわざわざ…する」という感じにもなる、フォーマルで丁寧な言い回し。スピーチなどでも使えます。
Thank you for making a special effort to come despite your busy schedule.
(お忙しい中、わざわざお越しいただいてどうもありがとうございます)
specifically
specifically(特に、とりわけ、わざわざ)
「特別に選んだ」「特に指定した」という意味の「わざわざ」に用いられる言葉です。この1語で、伝えたい気持ちを端的に表せる場合もありますね。
I specifically chose this yellow rose for you.
(あなたのためにわざわざこの黄色のバラを選んだのです)
don’t [doesn’t] have [need] to
don’t [doesn’t] have [need] to(わざわざ…しなくてもいい)
簡単ですが、身につけておきたい言い方です。予想外のことや手間のかかることをしてくれた相手に、感謝の気持ちをこめて「わざわざ…してくれなくてもよかったのに」と伝えるときには、例文のように過去形にしましょう。
You didn’t have [need] to bring all those snacks, but we’re all very grateful.
(あんなにお菓子を持ってこなくてもよかったのに。でも、みんなとてもありがたいと思っているよ)
★You didn’t have [need] to do it.(そんなことしなくてよかったのに)と言われたら、何と答えますか?
自分が望んでしたことに対してだったら、素直にこう言ってもいいですね。
I know but I wanted to.
例えば次のような会話もあるかもしれません。
A: I appreciate your helping me. But youdidn’t need togo out of your way to do it.
(手伝ってくれて、ありがとう。でも、わざわざそんなにまでしてくれなくもよかったのに)
B:I know but I wanted tobecause you are special to me.
(わかっているけど、そうしたかったんだ。私にとってあなたは特別な人だから)
Aさんのセリフでは、didn’t need toとgo out of your way toが使われていますね。会話ではこんなふうにもよく言います。ぜひ練習してみてください。
執筆者
リサ・ヴォート
アメリカ・ワシントン州出身。メリーランド州立大学で日本研究準学士、経営学学士を、テンプル大学大学院で TESOL(英語教育学)修士を取得。専門は英語教育、応用言語学。2007年度 NHKラジオ「ものしり英語塾」で講師を務める。現在、青山学院大学非常勤講師。また、写真家としても活躍している。『知ってる英単語で広がる英会話』『CD BOOK ネイティブ感覚で もっと伝わる日常英語』(ともにNHK出版)など著書多数。
※記事公開時点での情報です
■NHKテキスト ラジオビジネス英語 2025年8月号より