かなしん 高瀨理事長インタビュー 「店舗基盤に密着度高める」
かながわ信用金庫の経営戦略が際立ち始めた。合理化やコスト削減を理由に数多の金融機関が店舗の統合や縮小を進める中、既存店の維持を声高に唱えている。「店舗を基盤に地域との密着度を高める」という従来の方針を堅持していく考えとともに、新年の展望を高瀨清孝理事長に聞いた。
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──昨年6月、新理事長に就きました。
「会長(平松廣司氏)が築いてきた強固な基盤があり、それを守りつつ発展させることが私の役割です。経営状況については、法人向け融資が堅調で健全性が向上したことで順調に推移しています」
──大手金融機関を中心にコスト削減などを目的とする店舗の撤退が目立ち始めています。
「地域密着の金融サービスが信用金庫の根底にある理念。『店舗なくして地域を守ることはできない』という考えに変わりはありません。きめ細やかなフェイストゥフェイスの訪問活動を中心に、身近に相談できる体制を保つことでメインバンク化を推進していきます。ただ店舗を継続していくために体制の見直しは必要です。一部の店舗で昼休業を取り入れています。効果的な人員配置を行いつつ、多くのお客様にご利用いただける仕組みを整えています」
──経営課題に解決策を示すコンサルタント業務やビジネスマッチングに力を入れています。
「事業承継や再構築、起業や創業の相談を顧客サポート部のフォローで各営業店を中心に取り組んでいます。販路拡大や新しいビジネスを創出するためのビジネスマッチングも主体的に進めているところです」
──地域振興にも挑んでいます。
「金融サービスだけでなく地域全体を盛り立てるのも我々の責務。当金庫の呼びかけで立ち上がった『三浦半島地域活性化協議会』があります。産官学金言の連携で活性化のアイデアを生み出して、実行していきます。2月に三浦半島に点在するクラフトビールのブルワリーをバスでめぐるツアーを企画。交流人口の拡大を狙います」
──店舗スペースを活用してアート作品を展示しています。
「横須賀美術館の所蔵品のレプリカの展示を栄町支店、横浜営業部、藤沢営業部の3店舗で行いました。横須賀に足を運ぶきっかけを創出するほか、店舗スペースを利活用する実験的な試みです。お客様が来店したくなるような付加価値の提供を模索しています」